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東吾妻山(福島県)
朝陽に輝く一切経山
日 時  平成28年8月2日(火)
天 候  晴れ後 曇り時々豪雨
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  8月1日
岳温泉(9:50)~ 浄土平 ~ 吾妻小舎(14:05)

 8月2日
吾妻小舎(4:30)~ 浄土平駐車場(4:40-4:55)~ 姥ヶ原分岐(6:00)~ 
東吾妻山(6:50-7:00)~ 景場平(8:55)~ 鳥子平登山口(9:30)~ 
磐梯吾妻スカイライン ~ 兎平駐車場(10:00-10:30)~ 浄土平駐車場(10:50)~
小野川温泉(山形県米沢市)泊
 4年前の秋、一切経山~東吾妻山登山にチャレンジした。一切経山には登れたものの、楽しみにしていた山頂直下の五色沼は濃い霧の中、まったく見る事ができなかった。また東吾妻山も前日の台風の影響で登山道が大荒れでリタイヤとなり心残りの山旅となった。(http://ubealpine.fc2web.com/24houkoku/65-issaikyou.html)
 《五色沼を見たい。東吾妻山に登りたい》とリベンジを誓ったが、事前の問い合わせで浄土平からの一切経山登山は現在禁止と知る。火山活動が活発になったのだろうか? それにしても五色沼だけでなく酢ヶ平、鎌池の再訪も諦めざるを得ない現実にがっかり、せめて東吾妻山には登りたい。鎌池はそこから眺めるとしよう。
 8月1日
 予報通り朝から天候はぐずついている。今日は休息日、宿は兎平にある吾妻小舎だ。ラッキーな事に管理人のTさんが食料調達中に連絡が取れたため、夕食を作ってくださるそうだ(食事つきは3日前までに予約と聞いていた)午後2時頃には小舎に来られるらしいので、それまで浄土平のビジターセンターで情報収集をする。

 雨が降りしきる中、吾妻小舎に到着する。いつか泊まってみたかった吾妻小舎はガイド本で見た通りの雰囲気だ。80年の歴史があるとの事だが建物は古くても今も登山者に愛されているのが実感できる。今日の宿泊者は我が家だけ、雨上がりの外の景色を眺めつつ、例によってMは焼酎タイム、お相手が喧嘩相手ではつまらないだろうが、忙しい合い間をぬってTさんが来てくださるので話が弾み退屈しない。
吾妻小舎
 夕方5時半、階下の食堂に呼ばれる。「わっ! 凄~い」思わず同じ言葉を発したMとG(珍しく息があった)昔と違い山小屋≒粗食の時代は去ったが、それでも保存食が主体の質素な山小屋もある。テーブルに並んだ美味しそうな料理の数々に2人のテンションも急上昇。おまけに器がプラスチックでなく、趣のある和食器とは参った、参った。味付けもバッチリで言うこと無し。驚きを素直に伝えるとお煮しめは昆布だしとか(いつも手抜きの主婦は小さくなる)楽しいお喋りは尽きないが、明朝も早い。優しいランプの灯りの中、眠りにつく。
Tさんお手製の夕食
 8月2日
 4時半、そっと抜け出すつもりだったがTさんに見送られ吾妻小舎を後にする。10分足らずで着いた浄土平駐車場には人影も無ければ車も無い。それもその筈一切経山の火山活動により、浄土平は夜間滞在禁止になっている。(磐梯吾妻スカイラインのゲートは17:00~7:00閉鎖)吾妻小舎に宿泊できたからこそ早発ち出来る。改めて感謝、感謝。今日の予報は午前9時頃まではAランク(ネット情報による山の天気)昼までに下山出来るよう頑張ろう。
穏やかな山体の東吾妻山
 朝陽に照らされた一切経山の裾を辿りながら4年前下山に使ったコースへと進む。行く手は青空、今日こそ登れそうとワクワクする。この時間他に登山者が居る訳もなく、正に山を独り占め、贅沢なことだ。広々とした姥ヶ原の十字路分岐に到着、吾妻山への登りにかかる。前回登頂を諦めた地点だ。昨日の雨で登山道が川のようになっていないか心配だったが大丈夫、登れそうだ。
姥ヶ原分岐 東吾妻山へは左折する
 鬱蒼とした針葉樹が続く狭くて暗い登山道は長いが、高度を上げるにつれハイマツの中のガレ場となり視界も開けて来る。しかし天気の崩れが早まったのか青空が消え、目の前に漂うガス・・・その中にぼんやりと近づいて来る山頂標識。4年越しの願いがやっと叶ったというのに残念! 《天は2人を見放した?》それでも何かがこみ上げて来てMと無言でハイタッチ。楽しみにしていた大パノラマどころか鎌池さえ見えないが、前回なし得なかった事を何とか成し遂げた喜びが湧いて来る。
山頂はガスの中
 山頂からは景場平へと周回する。どうにかもっていた空から落ち出し雨脚がどんどん強くなる。
深い笹原を下る
 足元がみるみる内に田んぼや川へと変身する。濁流で見えない石を踏み外さないよう必死に下り、ようやく景場平に辿り着く。
 咲き残ったリンドウやギボシが雨に叩かれながら健気に咲いている。いつもならカメラ片手に《下手な撮影、数撮りゃ撮れる》といつまでも撮っていたい湿原の真っただ中だが、Mに急かされ転ばぬよう後を追う。豪雨に敲かれる池塘の水面の造形に一瞬足が止まるが「雷が鳴りよるぞ!」と一喝されダッシュ!(気持ちだけで足はダメ)ハラハラ、ビクビク・・・ようやく鳥子平登山口(磐梯吾妻スカイライン沿い)まで下山する。
雨の景場平
 登山道はまだまだ続くがこの豪雨の中、悪路を行くのは難儀だ。此処からはスカイラインを歩き帰る事にする。時々行き交う車は怖いが、たった一つ良かった事は泥んこの靴が新品の如く綺麗になった事だ。 ようやく雨が小降りになった頃、兎平駐車場まで帰り着く。雨が凌げる場所を見つけ行動食を口にする。食いしん坊の2人でも食べる事をすっかり忘れていた。何を食べても美味しい筈だ。

 浄土平湿原経由で駐車場まで帰り着く。チラホラ観光客が行き交っているが、さすがに登山姿は見かけない。誰1人出会う事が無かった東吾妻山、早発ちしていなければ当然我が家もアタック見送りだっただろう。ズブ濡れの片づけをしていると「斉藤さん」と近づいた車から呼ばれる。Tさんだ。「そろそろ下りて来る頃かなと思って」エー! それって待っててくださったって事!? あまりの天気の急変に心配してくださったのだろうか。(Tさんは北は北海道、南は屋久島まで山岳ガイドとして活躍しておられた)別れ際に手渡された福島産の桃とトウモロコシと「またぜひ来てください」の一言に胸がジンと篤くなる。
浄土平に帰り着く
 さて次の目的地、西吾妻山(登山口は米沢市)に向かう前にトイレに行く。これが悪夢の始まりとなる。排尿後の便器を見て血の気が引く。スイカ色の血尿だ。過去何度か経験した膀胱炎? それとも膀胱癌? 一瞬頭が真っ白になる。どうしよう・・・とっさの思いつきで米沢市(観光課)に電話し病院の紹介をお願いする。「何とかしましょう」のお返事にホッとするが折り返しの電話で、一刻でも早い方がと近場の福島市での受診を勧められる。早速、福島市に同様の事をお願いするが埒があかず、カーナビを頼りに自力で3ヶ所の病院・医院を尋ねる。しかし全て断られ(泌尿器科が無い 昼休み 予約制)慣れない土地で茫然とする。再びの豪雨の中、あちこちと懸命に運転するMに申し訳なく、このまま山口まで帰るしかないのかと途方にくれる。

 が、携帯がなる。その後を心配しての米沢の観光課からだ。事の経緯を話すと間もなく米沢市のK医院に行くよう連絡が入る。偶然にも登山が趣味というK先生の「大変だったね」の一言に涙が出そうになる。詳しい検査の結果、病名は《尿管結石》で30時間以内に排出されるのではと告げられる。石が小さいのか鈍痛で治まっているが原因が分かり心から安堵する。気づけばもう17時半、幸いなことに小野川温泉に宿も取れた。米沢市観光課とK先生のお蔭だ。ご恩は絶対忘れない! 今夜はぐっすり眠りたい。長い長い一日だった。
( 文:斉藤(滋)   写真:斉藤(宗)  斉藤(滋) )
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