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船通山(島根県/鳥取県)
 
 
静寂な林を行く 
 
 
日 時  2020年10月3日
天 気 曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  10月2日
自宅(10:35)~中国道・松江道(高野IC)~R432~奥出雲町 斐乃上温泉(15:30)泊
 10月3日
斐乃上温泉(8:15)~わくわくプール(8:27)~ 亀石コース登山口(9:22)~ 船通山山頂(10:50-11:10)~ 鳥上滝(11:50)~鳥上滝登山口(12:24)~わくわくプール(13:08)~蒜山へ
 コロナ禍で近場の大海山通いで過ごす日々、大海山の常連さんが九重、大山、石鎚へと出かけられても、我が家は全く腰が上がらない。「県を跨ぐ不要不急の外出はなるべく控えてください」村岡山口県知事、久保田宇部市長がテレビで訴えておられる。せっかく予約していた山小屋をキャンセルしたり、登山予定の地元の自粛要請で夏山を諦めた山友もいる。我が家も自然と夏山の話は出ない。いやテレビで連日「高齢者、特に持病のある人は危険です」とあれだけ聞かされれば、当たり前の事だろう。
 いつの間にか9月も終わろうとしている。近頃のマスコミの話題はもっぱら《GOTOトラベル》&10月から発行される《地域共通クーポン券》 宿泊代が半額になる? どういう事か良く分からないが本当ならまたとないチャンスだ。コロナは気にかかるが《うつさない・うつらない》を心がけこの際、思い切って出かけてみようか・・・。まずは比較的感染が抑えられている近隣県の山を候補に宿探しを開始する。と言っても二人の病院通い(予約)の合間を縫っての申し込み・・・限られた日程の中で何とか船通山、蒜山、比婆山の宿の確保に成功、後は天気だが運を天に任せ出かけるとしよう。
 10月2日
 先日の定期検査の結果受診を終え出発する。久しぶりの遠出に「道中も気を付けて」のEさんの優しい言葉を思い出す。後期高齢者ペア、心して安全運転しなくては。宿へのコースは助言に従い松江道~R432と走る。
 船通山登山口近くの斐乃上荘(日本三大美肌の湯とのこと)に無事到着し「GOTOトラベルとかクーポンとかよく分からないので迷惑かけます」と断ると「いえいえ来て頂くだけで有難いです」との言葉が返りホッとする。コロナ対策にも気を遣っておられるのがよく分かる。
 10月3日
 朝食を済ませ宿を出発する。200m位でわくわくプール駐車場に到着。ここから林道が亀石コース(左)鳥上滝コース(右)と別れ、それぞれもっと上に駐車場があり登山口になっている。しかし両コースを周回するにはここに車を置かないと最後は登り返しになってしまう。
 久々のロングコースで緊張するが頑張って時計回りで周回する事にする。歩き始めてすぐにミゾソバの群生を発見、早々とカメラを取り出し撮影開始、相変わらずののんびりペースとなる。
 ミゾソバなんて珍しくもない見慣れた花なのに、Mも角度を変えては本気で撮っている。こんな平凡な花にすら出会えなかった日々・・・じわじわと喜びが湧いて来る。
白いミゾソバ
 植林の中に続くアスファルトの林道は緩やかな登りだが、寒がりで雪山支度のMもさすがに汗ばんだのか早速衣服調整、いきなり真夏の半袖1枚への変身にビックリ。冬シャツの下はTシャツ・・・合い物の服持ってるよね。 風邪ひかなければいいが。

 人っ子一人出会わない長い林道歩き・・・1台の車が追い越して行く。やっと亀石登山口に着くと先程の車の傍で男性が身支度中だ。良かった! 熊除けの鈴はあるが一人でも仲間が多い方が心強い。ブナ林の中を行く沢沿いの道はしっかりと整備されている。思わず立ち止まって見上げたくなる大木、清らかな沢の流れ、深山の趣に浸るのも久々だ(男性には追い越され、以後山頂まで2人きり)
沢を渡り石段を上がる
 昔カンナ流しの水路だったという横手道を行く。踏みしめる落ち葉がカサカサと心地よい。見上げるブナの大木が色づくのも、もうすぐだ。
 下山後、蒜山に向かう気忙しさをすっかり忘れ、のんびりと久々の広葉樹の林を楽しむ。幹をびっしりと蔽うキノコをつついてみたり(絶対食べられない)登山道に居座る大きなカエルにちょっかいを出してみたり、中々前に進まない。
ブナ林の中を行く横手道
 だが穏やかな道はいつまでも続かずジグザグの急坂となる。息切れせぬよう一歩一歩登って行くとやがて標識の立つ緩やかな尾根へと登り着く。左右に延びる木道、右は帰路の鳥上滝コースへ、そして左へ進めば一頑張りで船通山山頂だ。
 前回は鳥取県側から登ったが、あれから何年経ったのだろう(17年位?)国内でも有数のクライマーだった会員のNさんの追悼登山で大山へ向かう途中、リーダーのO先輩の発案で登ったが、O先輩ほか同行の何人かの方達が旅立たれた。再登頂は嬉しいが、急に寂しくなり今日の天気と同じ気分だ。年の所為かな? あの時の元気だったみんなの顔が思い浮かぶ。
霧がかかった船通山山頂
 降水確率30%の予報通り? 広い山頂部は霧に覆われ7~8人位居た登山者がそそくさと消えて行く。
 比婆山からいつも眺めていた山、今度は眺め返そうと楽しみにしていたのに残念、小寒さもあってゆっくりと寛げない。春にはカタクリの群生が見事らしいが今はフジバカマやウメバチソウが寂し気に咲いている。宿で作って頂いたおにぎり弁当を開く気にならず下山を始める。
ウメバチソウ
 登りの亀石コースでは単独行の男性しか出会わなかったが、下山の鳥上滝コースは何パーティーかと出会う。土曜日なので元気な若者もいる。足場の悪い場所でのすれ違いには神経を遣うが、コロナ感染を意識しながらも交わす挨拶に元気を貰う。平たい岩を敷き詰めたような足元は一見歩きやすそうだが濡れていて油断すると滑りそう。転倒で5度も骨折した身、恐る恐る一歩一歩と時間がかかる。
 それにしても整備されたこの石畳(階段も)作業は大変だっただろう。地元の大海山で小さな手鍬を片手に道普請を楽しむ我が家だが、一体どれだけの人がどれだけの時間をかけて整備されたのだろうとつくづく思う。
石畳の階段を下る
 石畳の続きにある鉄製の階段を下ると小さな滝が現れる。これが鳥上滝? 期待に反してなんとも地味だ。今の時期水量が少ない所為かもしれない。
水量が少なく地味な鳥上滝
 登山口駐車場まで下る。車が数台停まっている。下山途中に出会った若いパーティーも恐らく此処からピストンだろう。両コースとも林道上部に駐車場があるため周回には不便だ。物好きは我が家以外いないかもしれない。
 下りの林道歩きも結構長い。カーブを曲がる度に期待外れで疲れは増すが、ツリフネソウ、フシグロセンノウ、アケボノソウの可憐な花々に慰められる。車で通り過ぎてしまえば、きっと目には留らないだろう。
アケボノソウ
 どうなる事やら不安もあったがなんとか車に帰り着き周回完了、頑張った膝を撫でてやる。片やザックを下ろすや否や取り出したおむすびを頬張るM、3個ともお腹に入ったとは直ぐに疲れは取れるだろう。ひと休憩したら次の目的地、蒜山へと出発しよう。
(文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋))
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