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山口県山岳・スポーツクライミング連盟
&宇部山岳会創立70周年記念海外登山
ベトナム最高峰 ファンシーパン山(3143M)登山
後編(2019年11月4日~11月6日)
宇部山岳会 西村 亘(山口県山岳・スポーツクライミング連盟 顧問)
 
 第5日目(11月4日)
 登山基地サパに向けて下山、山中行動の最終日である。登って来た道を考えれば、さほど困難ではなく3時間程度で十分と考えていたら、とんでもないことであった。
 2200mのキャンプ1小屋を出て、唯一ポーランドのパーティにあって、20分程度歩いてところの分岐から整備されていないラフコースに入った。
 最初はまさにジャングルの中をやぶ漕ぎで進むのである。一旦2000m付近の小広場を抜けると急傾斜地の連続である。これまでの整備されたコースとはまったく異なり、ジャングルで踏み跡も少なくガイドのルート確認が必要で、常にポーターは後尾に付き見守ってくれている。
 日本では経験したことのない登山ルートである。ジェットコースターのようなダウンヒルの赤土傾斜もあれば、岩場のコースもある。経験を積でいる私達も相当厄介な下山道である。
 驚いたことに、重い荷物を背負った地元の山岳民族のポーターは素足ベトナム草履で、実に巧みに降りる。三点確保が必要な岩壁もスルスルと降り、最後は駆け足で降りているのには唖然とした。
岩場の下山道 ポータと休憩
 ガイドが案内したSinChai Villageに至るコースは山岳少数民族が暮らす集落に出る下山道で、あまり登山客は通らないコースである。お陰で数か所の少数民族の集落生活を垣間見ることができた。
 6時間の行動の後昼過ぎに、チャーターした車にピックアップされ、サパのホテルに帰り、全員無事に登山活動を終了することができた。
 第6~7日目(11月5~6日)
 ハノイに帰り、「ホーチミン廟」「ホーチミン記念公園」「ベトナム民族学博物館」「文廟」「鎮国寺」「ホアンキエム湖」「ボングセン水上人形劇」等を視察。
 大勢のバイク族が、ひっきりなしに次から次に現れては消えていく様は、この国の勢いと生命感に満ちたエネルギーを感じた。
 (想い)

 ① 平均年齢68歳の登山隊であつたが、ほぼ示されたコース標準タイムで全員登頂踏破できたことは、ガイドをはじめハノイの西山氏の友人関係者からも賞賛された。

 ② ベトナムには54民族が居住しているとされているが(人口の86%がべト族…キン族)、サパ周辺には8程度の山岳少数民族が居住し、着帽子と衣装で区分できるとされるが、見分けは難しい。生活様式と生活程度は各民族により異なるようである。

 ③ 登山基地の山麓のサパは世界美しい棚田7選に選ばれた景色が広がるが、僅かな土地(確認した最少は横1m縦80cm程度)も棚田化し、高地急傾斜地の棚田の維持管理は大変で、決して効率的ではなく生産性の低い貧困生活実態が窺える。

 ④ ファンシーパン山の登山は南アルプ北岳3192m(広河原から白根御池小屋から肩の小屋から山頂…高度差1672m)標高程度であるが、体力が要求される登山である。

 ⑤ いわゆる森林限界帯は日本アルプス・富士山では、2500m~2800mとされているが、頂上まで竹、広葉樹等の植生があり、山中はバナナも繁茂している。

 ⑥ 今回は、国内エイジェントを通ず、自力で直接ベトナムでの手配、企画運営行うことが出来たので相当の経費縮減(1人当たり12万円程度)が図られ、協力を頂いたベトナム関係者に感謝します。
ファンシーパン山系
ラオスとの国境付近の山
ジャングルに咲く花①
ジャングルに咲く花②
行程図
(文、写真:西村亘)
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