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飯豊山(飯豊連峰 新潟県/山形県/福島県)
 
草月平のニッコウキスゲ
 
 
山行日  2019年7月29日~7月30日
天 候  7月29日 曇り一時雨  7月30日 曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  7月27日
宇部自宅(9:00)~ 中国道・舞鶴若狭道 ~ 三方五湖PA(17:25) 車中泊
 7月28日
三方五湖PA(5:50)~舞鶴若狭道・北陸道・磐越道(西会津IC)~ 福島県西会津町弥平四郎登山口 祓川駐車場(15:15) 車中泊
 7月29日
弥平四郎登山口(5:40)~ 祓川山荘(6:05)~ 松平峠(9:00)~ 疣岩山分岐(11:00)~ 三国小屋(12:35-13:00)~ 切合小屋(15:28)泊
 7月30日
切合小屋(5:57)~ 本山小屋(8:55-9:12)~ 飯豊山頂(9:32)~ 駒形山 ~ 御西岳 ~ 御西小屋(11:39)~ 水場往復 泊
 新潟から山口に引っ越して来た山友達Oさんはいつも「飯豊はいいです」と言っていた。12年前その言葉に誘われ初挑戦、飯豊本山には登れたが悪天で最高峰の大日岳は諦めた。
 Oさんイワク「大日岳まで、いや、せめて御西小屋まで行けてたら・・・」以来、飯豊に登った気がしないまま今日に至っている。不調の膝を抱え今年の夏山はどうしょう・・・答えを教えてくれるように届いたメール、吾妻小舎管理人高橋さんからのお誘いだ。東吾妻山なら登れそうだし高橋さんにもお会いしたい。近くには宿題を残したままの飯豊山もある。だが我が家にとっては超難関の山で自信が無い。
 そんな折、我が会の加藤理事長率いる熟年精鋭部隊が飯豊山に挑戦と知る。みなさんお馴染みのメンバーだ。なんだか仲間が出来たようで嬉しくなる。加藤隊が3泊4日なら我が家は4泊5日かければ行けるかも・・・夢だった再挑戦が現実の事になりそうだ。
 7月27日

 台風が発生したらしい。日延べするかと悩んだが予定通り出発、三方五湖PAで車中泊。
 7月28日

 予定の時間に西会津ICで磐越道を下りる。事前に西会津町商工観光係に送って頂いた写真入り案内図を頼りに弥平四郎集落に向かう。要所々々で写真(29枚もあった)に導かれ山深い集落に無事到着する。
 カーナビだけでは中々辿り着けなかっただろう。案内図の他、登山ルートの最新情報等貴重な資料も送って頂けた。担当の方の細やかなお心遣いが本当に有難い。
 集落に入り大阪屋(下山後に宿泊予定)に挨拶を済ませ更に奥の祓川駐車場へと砂利道を進む。恐らく我が家だけと覚悟していたのに駐車場には10台もの車が停まっている(だが誰も下山して来なかった)まったく明かりの無い人里離れた山の夜、寂しいが満天の星空が美しい。
 7月29日

 今回こそと荷を減らしたつもりだが、やはりそうはいかない。4日~5日分の行動食(食いしん坊)の他、着替え一式、飲み物、多量の薬(持病薬の他、過去の苦い経験から突然の発病に備えて内服薬&外用薬まで、意外に重い)と心配性の高齢者は疲れを覚悟で担いでしまう。
 当初、前回と同じ大日杉小屋~地蔵岳コースを歩くつもりだったが、弥平四郎口コースは比較的楽だと知り変更、違う道を歩くのも楽しみだ。
慎重に沢を渡る
 緩やかなブナ林を進んでいると若者が元気に追い越して行く。なんと速いことか。しかし祓川山荘に着くと彼はしょんぼりと立っている。「当てにしていた水場が無いので汲みに帰ります」なんと彼は全く水を持っていないようだ。2L担いでいる私だがさすがに分けてあげられない。空身の彼ならすぐに追いついて来るだろうと申し訳ないが出発する。と歩き始めて間もなく小さな沢が・・・今さら振り返っても彼はいない。他人事ながら悔しい。しばらくして追いついて来た彼も苦笑いだ。
松平峠を後に主尾根への登り
 
 ガイド本のコースタイムを信じている訳ではないが、なんと長い登りが続くことか。比較的楽なコースとは言ってもさすが飯豊、松平峠ですれ違った若いパーティーも相当疲れた様子だった。
 主尾根まで2時間はかかるでしょうと言われガクッ!!今日は三国小屋泊りかもと弱気になる。おまけに雲行きが怪しくなりとうとう落ちて来た。疣岩分岐を過ぎ稜線歩きになると恐れた雷まで近づいて来る。そして遂に追い打ちの悪魔(痙攣)出現、激痛で一歩も踏み出せない。どんどん遠ざかって行くM(強い雨足、雷で気づいていない)何もこんな時にと自分の太腿に腹がたち叩くが全く無駄な行動(分かっているが)
 雨が止み苦しみながらもやっと三国小屋に到着だ。と朝の水汲みの若者が「カメラ落ちてなかったですか?」と訊いて来る。かなり先まで行ったのに失くした事に気づき引き返したという。疲れて足元ばかり見てたので「無かった」と伝えるが雨具を着る時落としたかもと小走りで消えて行く。
 他人事ながらこっちまで疲れが倍加、椅子に倒れ込む様に座り込むと見かねた小屋の管理人さんから「切合小屋まではまだまだアップダウンがあるから無理しない方がいいよ」と声がかかる。Mも心配顔だ。う~ん・・・でもここに泊まると明日がきつい。それにまだ時間もある。頑張る事にする。
三国小屋(遠景)から切合小屋に向かう
 縦走路の所々に現れる岩場、もたついてはいられない。切合小屋には程々の時間に到着しないとと頑張っていると、かの若者が再度追い付いて来る。「無かったです」とまたまたしょんぼり顔で置き去りにしていたザックを担ごうとする。
 「もしかしてそのザックに入ってません?」慌ててザックをひっくり返した彼「ありました!!」良かった、良かった。いつもの私と同じだね。彼も自分で自分を忙しくするタイプかな。「申し訳なくて先へと追い越せない」と変に遠慮の彼、本山小屋泊りらしい。早く行かないと我が家の後にいては今日中には着かないよと笑顔で見送る。 
咲き残っていたヒメサユリ
 切合小屋に着くと佐藤、長谷川両管理人さんが笑顔で迎えてくださる。
 三国小屋で居合わせた年配の男性に「ヨレヨレになっても何とか行き着きます」と伝言をお願いしていたのだ。12年前もそうだったが小屋の管理人さんは本当に優しく心が和む。到着出来た安堵感で、口にする冷え冷えのビールのなんと美味しい事か。今夜はぐっすり眠れそう。
切合小屋から飯豊本山方面を望む
 7月30日

 冬の積雪は数10mと聞く豪雪地帯とあって切合小屋は真夏でも水が溢れている。
 朝食(ご飯、味噌汁、生卵、海苔)後、贅沢な(?)歯磨きを終え気分はすっきり、いよいよ飯豊核心部への一日が始まる。残念だが天気は今日もパッとしない。小屋を出て小さな雪渓を渡り、草履塚を越える。御秘所の岩場はゆっくりと慎重に通過、黙々と登る。
御秘所を通過する
 本山小屋でコーヒー(400円)タイム、元気を取戻し山頂に向かう。
 一面霧の中、頑張ること20分、標柱と小さな祠が見えて来た。2日がかりでやっと辿り着いた本山山頂、今回も深い霧で覆われている。まっいいか、帰りは晴れるかもしれない。
12年ぶりの飯豊山山頂
 大嵓尾根を右に分け御西小屋へと下り始める。いよいよ初めての風景が待っている。
 Oさんから何度聞かされた事だろう。お花畑が素晴らしいと・・・。いやいやもっと強烈だったのは、ここで激しい雷雨に襲われたという体験談だ。隠れる場所が全く無いこのだだっ広い草原でバリバリ、ドカンとやられたら確かに生きた心地はしないだろう。恐怖の体験談の影響か、次第に濃くなる霧の中、段々とペースが上がって行くMを必死に追う。ニッコウキスゲ、ヨツバシオガマ、クルマユリ・・・この花園はカメラ片手にゆっくりと歩く筈だったのに。
 半日しか歩いていないのに疲れてしまった。まだ誰も着いていない御西小屋の2階に上がり、Mが沸かしてくれたコーヒーを飲む。贅沢な時間だ。あまり大きくない小屋だがどの位混むのだろう?「避難小屋なのでその時にならないと分からない」と管理人さんは言っていた。
 午後、水の補給で小屋から下った水場まで往復する。切合小屋の様に小屋のすぐ傍とはいかないが冷たい水が湧いているだけでも有難い。2人で明日の分までたっぷりと担ぎ上げホッとする。
 
御西小屋でのコーヒータイム
 さぁ、ゆっくりと休もう。明日は本命の大日岳だ。小屋をすっぽりと包んでいる霧、どうかあす朝、消えていますように。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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