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大万木山(島根県/広島県)
 
 
サンカヨウの花
 
 
山行日  2019年5月13日(日)
天 候  快晴
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  5月12日
宇部自宅(13:45)~ 中国道(三次IC)~ R54 ~ 飯南町頓原道の駅(17:50)車中泊
 5月13日
頓原道の駅(5:45)~ 大万木山位出谷登山口駐車場(6:00-7:37)~ 横手コース ~ 滝見コース ~ 地蔵尊展望台(10:07-10:43)~ 大万木山山頂(11:50-12:35)~ 権現コース ~ 横手コース合流(14:01)~ 位出谷登山口駐車場(14:22) ~ 飯南町宿(泊)
 半月板損傷と診断されたのはもう7年も前、今は亡きMa先生が親身に治療してくださったお陰で山歩きを続ける事ができた。が今年の1月、左足の軽い捻挫をきっかけに再発してしまった右膝痛・・・3ヶ月以上経っても治らない。
 激痛というわけではないが大事をとってついつい山もウオーキングも休みがち。このままだと歩けなくなってしまう・・・。ゴールデンウイークを迎え山仲間はあちこちの山へ。私もどこかへ出かけたい。ふとこの時期純白のサンカヨウが咲く大万木山が思い浮かぶ。よし! サンカヨウに会いに行こう。時間をかけてゆっくり歩けば何とかなるだろう。
 5月12日
 登山用の3食分の買い出しを終え自宅に帰ると大好物の淡竹がどっさり届いている。筍には目が無い私だが出発まで時間がない。慌ててお隣に駆け込んだが生憎の留守、こうなったらやるしかない。全てがスローな私だが火事場のバカ力? あっという間にしごを終え大鍋で茹で上げ冷蔵庫に。筍ご飯、天ぷら、煮物、帰ってからが楽しみだ。ドタバタと今回も相変わらずの出発となったが、暗くなる前に宿泊地、頓原道の駅(道路を挟んで向かい側)駐車場に到着する。今夜はここで車中泊。
 5月13日
 目覚めると夜が明けている。何はさて置き大万木山の登山口へと急ぐ。事前の情報によれば昨日(日曜日)は100人の集団登山があった筈、土日程じゃないにしても限られた駐車スペースを思えば早いに限る。手前の門坂駐車場はスルーして更に奥へ。目的の位出谷駐車場は期待(?)に反して静寂そのもの、完全に熊の世界だ。360度新緑の林に囲まれ緑に染まりそうな中、思わず「寂し過ぎ・・・」と口に出る。だがその内誰かが上がって来るだろう。ゆっくりと朝食を摂り沢から引かれたたっぷりの水で洗顔も終わる。美味しい空気を胸いっぱいに吸い込み出発の準備をする。

 そろそろ出発の時間だが予想に反して1台の車も上がって来ない。熊対策用にぶら下げた余りに小さい私の鈴、役に立ちそうにない。「鳴りゃあせんわーや」と言うMに「それを言うなら、しっかり鳴る自分の大きな鈴、忘れんなーや」と言い返す(戦争回避のため心の中で)鈴の替わりに時々笛を鳴らしながら新緑の森の中に続く横手コースを行く。足元にはユキザサ、チゴユリ、ホウチャクソウ・・・清楚な花が次々現れる。
 
雪の結晶のようなユキザサ
 Mの「アカショウビンが鳴きよる」に耳を澄ますと確かに去年、臥竜山で聞いた不思議な鳴き声が聞こえて来る。立ち止まり2人して目を凝らすが何処にも姿は無い。写真で見たあの赤色、すぐにでも見つかりそうなのに。
 権現コースを右に見送り赤松の林を抜け門坂登山口駐車場の上までやって来る。いるいる。駐車場から歩き始めたばかりの2人連れの登山者発見! ホッとする(ここで滝見コースに合流)。 
 
横手コースと権現コース分岐にて
 横手コースから滝見コースへと名が変わり沢沿いに登って行く。時間がたっぷりあるので権現滝に立ち寄るが、これと言って特徴の無いこじんまりとした滝だ。先程見かけた2人パーティーも来られ挨拶を交わす。
 一足先に権現滝を後にし一歩一歩登り返す。と足元の小さな白い花が目に留まる。可愛い! 初めて見た気がして急いでカメラを構える。先を行くMにどんどん置いて行かれそうだが撮っておきたい。焦っているので中々焦点が合わないが運を天に任せてシャッターを押す(ネットで調べるとムラサキ科の立亀葉草で大万木山で多くの方が撮影しておられた)
タチカメバソウ(残念ながらピンボケ)
 お決まりの休憩ポイント地蔵尊展望台までやって来る。膝に負担をかけない様ゆっくり登って来たのに大休止する。単独の男性や3人パーティー等、順次現れたみなさんもここで一休み言葉を交わす。話題の中心は勿論まだ見ぬサンカヨウだ。もう少しで会える筈だと期待を胸に出発、ブナ林を進む。何度歩いても飽きない道だ。
 今は新緑真っ盛り、陽射しを浴びた若葉が輝いている。空気も美味しい! なんて幸せなひと時だろう。ノロノロでも少々膝が痛くても歩ける事の有難みをしみじみと感じる。
 
ブナの林を行く
 緩やかな登りにかかるとようやくお目当てのサンカヨウが現れる。辺り一面の満開とはいかないが登山道の両側に花壇の様に連なっている。林の中の群生は開花までまだ数日かかるようだ。
 ところでさっきすれ違った年配の男性、霧吹きを手にしておられたが、鈍い私は??? チコちゃんが傍にいたら「ボーっと生きてるんじゃねーよ」と叱られそうだがMは気づいていたようだ。サンカヨウの真っ白な花びら、雨に濡れると透き通って来てあたかもガラス細工のようになるという。男性の首には立派なカメラがぶら下がっていたが人口の雨で芸術作品は撮れただろうか? 
 
バカチョンカメラでも恰好だけは・・・
 時間調整(?)の甲斐あって上手くお昼時に山頂着。途中追い越して行かれた方も、まだゆっくりと寛いでおられる。我が家は何時もの様にパン、フルーツ、ハムと決まりきった行動食だがお隣はコンロとコッフェルで美味しいお昼ご飯ができそうだ。
 「山での調理が何より楽しみ」と笑顔で話されるが、我が家もそういう時期があったなぁと思い出す。気の合った仲間と現地で山菜の天ぷら、沢ではソーメン流し、雪山では雑煮等々・・・あの頃はちっとも苦にならなかった。いつしか軽くてすぐ口に運べる物になってしまったが、コンロもコッフェルも出番を待っているかもしれないなぁ。
 
山頂近くに咲くチゴユリ
 下山は20年ぶりに権現コースを下る事にする。このコースはここを初めて訪れた時、何かの理由(林道が工事中?)で滝見コースが通行止めのため歩いたが、20年も昔の事でどんな様子だったか、殆んど憶えていない。
 最短コースなのでその分傾斜はきつくなる。膝の負担を思えば渓谷コース下山が無難だが記憶が失われたコースへのワクワク感が抑えられない。ゆっくり下れば大丈夫と歩き始めて間もなく《タコブナ》が現れる。一口にブナと言っても真っ直ぐ天に伸びるもの、しっかりと横に枝を張り出すもの、何本もに分かれイカやタコの様に枝を伸ばすものと様々だ。若い頃は樹とか花とか全く興味が無かったというMだが、歳と共に《速く登る、歩く》から《眺める、観る、聴く・・・》と変わって来たらしい。 
 
タコブナ
 ブナの大木や真っ白に咲くムシカリに足を止め、野鳥の鳴き声にキョロキョロしながら下って行くとロープが垂れ下がった岩場に出る。難なく降りるMにさっと続きたいが持病の高所恐怖症は中々治癒せず緊張する。ロープを頼りにモタモタと降り立ち見上げてみれば、簡単そうでどうってこともない。そういえば買ったものの一度も履いてないクライミングシューズ、仕舞ったままだが真面目にトレーニングすべきか・・・(いや今さら遅すぎ、無理)
 最大の難関を突破し更に下り、今朝歩き始めの横手コースに合流する。エッ!! おかしい!? コース名の由来となった一番のハイライト権現様の祠を見ていないではないか!! 何処で見落としたのか? 楽しみにしてたのに。またまたドジ、いかにも我が家らしい(後で分かったが祠は例の岩場の上の岩穴の中にあるそうだ。降ることに必死で気付かなかったんだと納得)
 
横手コースに合流 アカショウビンが棲む森
 
 権現様お参りをしそこない、がっかりしたが一番のお目当てサンカヨウには出会えた。ホウチャクソウ、イカリソウ、ユキザサ・・・かわいらしい花々も楚々と咲いていた。姿はみえなかったがアカショウビンも鳴いていた。山全体が緑一色・・・身も心も癒された大万木山の一日だった。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
 
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