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三倉岳下の岳ノーマルチムニールートほか(広島県大竹市)
 
 
 
山行日  2019年4月27日(土)
天 候  晴れ
メンバー  内田、稲垣(会員外)
行 程  山口~岩国IC~三倉岳キャンプ場駐車場~Bコース~下の岳グレータワー~ノーマルチムニールート~源助崩れ~駐車場~山口
 昨年、グレータワーで満身創痍となって以来、少し足が遠のいていた。
 今回、久しぶりにクラックを登りたくなり、半年ぶりに三倉岳に行ったところ、予想通り今回も心身ともにボロボロになることができた。
 いつものように、きついアプローチに息を切らせ、途中、下の岳に向かってBコースを外れると、何だか様子がおかしい。一旦、登山道に戻ってみると、一つ前の分岐を曲がってしまっていた。
 無事に下の岳に辿り着き、久しぶりにグレータワーを見上げてみると、やはりその美しさに圧倒される。
 今回はその左側面にあるノーマルチムニールートを登る予定だ。グレードは1ピッチ目と2ピッチ目が5.8で、3ピッチ目が5.9となる計3ピッチのルートだ。
 トポによれば殆ど支点はとれないとのこと。それでも、念のためカムを多めに用意して登攀を開始した。
 
下の岳ノーマルチムニー1ピッチ
 1ピッチ目は、出だしの岩を乗り越え、ブッシュを抜けると、きれいな岩溝が上に伸びている。いよいよ奮闘系のスクイズチムニーだ。
 チムニーの広さは自分の体の横幅ほどで、中の岳マルチに出てくるチムニーくらいか。覚悟を決めて、文字通り全身を使ってじわじわと上がっていくと、何と途中からさらに微妙に狭くなっていくではないか。
 
チムニー中間が核心か
 クラックから吐き出されてしまう怖さのあまり、つい奥に入り込みたくなるが、奥に行けば行くほど、スタックして身体が上がらない。そうかと言って、力を抜くとずり落ちそうで、この体勢では休むこともできない。顔の向きを変えるのも一苦労。クラックに挟まったまま、どれくらいの時間が経っただろうか。それ以上は留まることができず、一旦、足場のあるところまでクライムダウン。

 このチムニーを抜けることができるのだろうかと自分に問いかける。それでも、心と身体を落ち着かせ、今一度、覚悟を決めて再チャレンジ。
 核心の狭くなる箇所は、心持ち外側に寄って、ひたすらプッシュでずり上がる。僅か1cmずり上がるのを何度繰り返したことだろう。ようやく核心を越えると、右側に細い溝が走っており、ようやくカムをセットできた。
 効いているかどうかは不安だが、支点を取れたことの安心感は格別だ。チムニーを抜ければ、終了点までは問題なし。長い1ピッチ目が終わった。
 
チムニーに挟まれる稲垣
 2ピッチ目もまた見事なチムニーだ。1ピッチ目とは違って、クラック内にブッシュもなく、すっきりしている。
 フレアした下部に内側から入り込むようにして、チムニーに取り付いた。ここも全身を使って、ひたすらズリズリと身体を上げていく。1ピッチ目よりはマシだと感じたが、それでも支点の取れないチムニー登りはプレッシャーが強く、終了点までの距離がとても長く感じた。この時点で既にお腹いっぱいとなる。
 
左のクラックがノーマルチムニー2ピッチ目となる
 
下部はフレアしている
 3ピッチ目は美しいスラブ。上には菱形ハングが見える。三倉のスラブだからと身構えたが、ボルトは少ないものの、慎重に登れば問題はなかった。フォローする稲垣も危なげない。菱形ハング下の終了点で下の岳ノーマルルートと合流する。
 
3ピッチ目のスラブ
 
フォローする稲垣
 下の岳ノーマルチムニールートはここで終わりなのだが、せっかくなので菱形ハングも登ることにする。といっても、相変わらず途中までは人工で。上部はステミングからハングの左を抜けた。菱形ハングの上でようやく登攀終了。
 
菱形ハングを登る
 
 そこから立木を使って懸垂で降りる。トポには懸垂下降に必要なロープの長さが記載されているのが有り難い。ただ、下降時に2ピッチ目のチムニーの中のチョックストーンにロープをスタックさせてしまい、やむなく登り返すという失態を犯してしまった。
 
この後ロープをスタックさせてしまった
 
 それでもまだ時間があるので、源助崩れへ。モアイクラックとヒップクラックを登る。
 モアイクラックは、前回も触っていたので無事に登れたが、ヒップクラックは最後のオフィズスの抜け方が分からない。結局、カムをつかんで強引に抜けた。
 気が付けば時間も迫っていたので、慌てて下山。帰宅後、ボロボロになった自分の身体を見ると、特に両肩と両膝、そして掌が傷だらけになっていた。
 普段、自分が登っている感覚からすると、下の岳ノーマルチムニーの1ピッチ目と2ピッチ目のグレードが5.8であることに愕然とする。
 特に1ピッチ目は今回登れたからといって、次回も登れるかどうか全く自信がない。これが三倉なのだと、つくづく思い知らされる。
 フェイスとは根本的にグレーディングが異なるのだろう。クライミングには、パワーや技術だけでなく、精神力も必要なのだと改めて考えさせられた。
( 文・写真:内田 )
 
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