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長門峡切窓西壁赤い屋根ルート
 
 
山行日  2019年3月30日(土)
天 気  曇り一時雨、のち晴れ
メンバー  内田、鹿野(会員外)
行 程  山口~長門峡9:00~取付9:30~登攀開始9:40~登攀終了~山頂15:00~取付~長門峡~山口
 会の過去の記録で知った赤い屋根ルート。実際の岩壁を見て、こんなところが登れるのかと驚いたことがある。以来、ひそかにチャンスをうかがっていたが、この度、急遽、バタバタと予定を調整してチャレンジすることになった。
 道路から岩壁を観察するが、相変わらずルートがあるようには思えない。準備をしてから出発。1~2年前に鹿野と取付まで偵察に来たことがあり、アプローチは分かっていたつもりだったが、道が崩壊しているため、一か所間違えそうになった。
 1ピッチ目を見ると、見事にブッシュに覆われている。ここ15年以上は登った記録がなく、ルートが荒れていることは容易に予想される。それでも覚悟を決めて、登攀開始。まずは内田が取り付く。

 カムで支点を取りながら、ジェードルを登るが、濃いブッシュが行く手を阻む。乾ききったシダの大株を手で引きちぎり、張り出した灌木の枝をかき分けながらなので、なかなか上に進めない。
 ジェードルを抜けると、右上にテラスが見えたが、上がり口が分からず、一旦、ピッチを切って鹿野に上がってもらった。
 
藪だらけの1ピッチ目下部
 二人ともイバラで傷だらけになりながら、ルートの相談をしていると、大粒の雨が降ってきた。
 一瞬、敗退が頭をよぎったが、間もなく止んでくれたので登攀再開。岩にも影響はないようだ。
 テラスには、ジェードルを抜けると、すぐ右の方へトラバースしてから、上がり込むのが正解のようだ。何とか本来の1ピッチ目が終了。このピッチだけで1時間半以上がかかってしまった。
 
テラスへの上がり口
 3ピッチ(本来の2ピッチ)目はすっきりとしたジェードル。高さは5~6mほどだろうか。
 鹿野はステミングでバランスをとりながら、するすると登っていった。自分もフォローするが、ジェードルの抜け口が思った以上に悪い。最後は左へトラバースすると広いテラスに出た。
 
3ピッチ目を登る鹿野
 ここが「イネムリバンド」なのだろう。そして、鹿野が指した先を見て、びっくり。地面に転がっているのは酒瓶だ!
 昔、ここで酒盛りでもしたのだろうか。二人で往年のクライマーに思いをはせた。
 
こんなところに酒瓶が!
 いよいよここからが赤い屋根ルートの真骨頂だ。
 錆びたリングにアブミをかけて登る。体重をかけるたびに、リング表面の錆が削られて赤茶けた粉が下に落ちていく。自分たちが登りきるまで耐えてくれと祈りながら、赤い屋根のハングを越えた。
 ハングを越えたところに打ってあったハーケンは、ヌンチャクをかけただけで、ボロリと根元から折れてしまった。高度感も抜群で、痺れるような緊張感の中、無我夢中で上のバンドにたどり着いた。
 
赤い屋根を越える
  
 
折れたハーケン
 
 4ピッチ(本来の3ピッチ)目の終了点を内田が間違えたため、またもや時間をロス。正しい終了点に身体を入れ替えてから、5ピッチ(本来の4ピッチ)目を鹿野が登る。手がかりのない薄かぶりの壁で、ここもアブミなしでは突破できない。
 かぶっている上にボルトの間隔が遠く、さらにアブミに立ち込んでも支点が見えない箇所があった。トップはここをどうやって突破したのだろうか。おまけに終了点間際は土に混じった浮石だらけ。このピッチも厳しいクライミングとなった。
 
巧みにアブミをさばいて薄かぶりを越える
 
 とりあえずトポに乗っているピッチは足下となったが、頂上まではもう少しあるようだ。せっかくなのでピークを目指す。
 ブッシュをかき分けて進むと、トンネル状となった大きな岩の裂け目が現れた。見た目は面白いが、難しくはない。
 その上の展望の良いテラスでセカンドの鹿野を迎え入れて硬い握手を交わす。時計は15時。取り付いた時には5時間以上の奮闘になるとは思いもよらなかった。
 
頂上直下の裂け目
 
 下山は懸垂で降りる予定だが、ピークには貧弱な木ばかり。何とか適当な立木を見つけて、懸垂2回で取付地点まで戻る。
 イネムリバンドまでは高度感のある空中懸垂。ロープの流れが速いので、慎重に下った。
 
下りは空中懸垂
 下山後、改めて自分たちの登ったルートを対岸から見るが、やっぱりルートがあるようには思えない。

 今回の登攀を通じて、いろいろな意味で往年のクライマーのタフさに触れることができたような気がする。今回も厳しいクライミングでした!
( 文:内田、 写真:鹿野・内田 )
 
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