へのリンク
深緑の臥竜山~掛頭山
深緑の林を登って行く
 
日 時  2018年7月17日(火)
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  7月16日
 いこいの村ひろしま 泊
 7月17日
 いこいの村ひろしま(5:30)~ 八幡原公園駐車場(6:10)~千町原登山口(6:35)~雪霊水(8:00)~ 臥竜山々頂(8:27)~展望台往復 ~猿木峠(10:00)~ 掛頭山(10:40-10:50)~ 林道で昼食 ~ 猿木峠(11:57)~ 八幡原公園駐車場(13:15)
 3月末の怪我で主治医からウォーキングも控えるように言われ会の行事も不参加が続いている。「痛みと相談しながら・・・」とようやく活動再開の許しが出たものの脚力、気力の衰えで中々動けない。自分にとって唯一の趣味だった登山ともお別れかと日々落ち込んで行く。Mも「その体じゃあ山は無理じゃろう」と釣りに余念がなく、復活のきっかけがつかめないまま日が過ぎて行く。そこで動いてくれないMに「登山と釣りのセットはどう?」と持ちかけその気になってもらう。近場の山は暑く体力に自信がないため、ブナ林の臥竜山と山陰の朝釣りパックが成立し、期待と不安を抱えて出発する。
 前泊した、いこいの村ひろしまの朝食は断り登山口に向かう。暑さに弱いので少しでも涼しい内に歩きたい。八幡原公園駐車場に車を置き千町原登山口まで臥竜山を眺めながらの車道歩きだ。常盤湖周回中は体のあちこちが痛み苦痛だが、山に向かっていると嘘のように痛みが消え本当に不思議に思う。
車道を歩いて登山口へ
 登山口のススキ野原を突っ切り樹林帯に入った所で「ゆっくり行ってね」と前を行くMに頼む。ところが何でもない小さな沢を渡ろうとしてバランスを崩し流れの中に右足が・・・。我ながら信じられないが目の前のMの呆れ顔に「大丈夫」と平静を装い靴下が濡れてしまった事は我慢する。
登山口のススキ野原から山道へ
 歩き始めは緩やかだが、次第に傾斜を増していく登山道をゆっくりと進む。額から流れ落ちる汗で目が痛いが、次から次に現れるブナ、ミズナラ等の大木に疲れが吹っ飛んで行く。見渡す限り深緑の林・・・あぁ山に帰って来た!!ジワジワと喜びが湧いて来る。再び歩ける幸せをしみじみ噛みしめ雪霊水へと登り着く。
 一番の楽しみだった真夏でも冷たい湧水、何度も何度も喉に流し込む。(みんな汗になるのに)そうだ沢で濡れた靴下を履き替えなくては。
冷たい雪霊水で喉を潤す
 雪霊水から一登り、ここ数年雪の季節しか登っていなかった臥竜山々頂に到着、そのまま展望台へと向かう。
 以前は大きな岩(展望台)の上から眺める深入山や聖湖の景観が美しかったが、せっかく寄り道したのに伸びた木々に視界を遮られ霞もかかって期待外れの状態だ。おまけに聖湖からのコースは鬱蒼と夏草に覆われている。山の状況は刻々と変わって行くのだと実感する。
誰もいない臥竜山々頂
 山頂まで登り返し猿木峠へと出発、なだらかな尾根を下って行く。と山腹をトラバースし雪霊水へと向かうコース(ここからUターン)の分岐標識に出合う。懐かしい! 随分昔の事だが厳冬期のこの辺りで雪に埋もれた標識が見つからず苦労した事が思い出される。10年近くも昔の事だがあの頃はまだまだ元気だったなぁと2人共しばらく標識を見つめ、大雪のあの日を振り返る。(http://ubealpine.fc2web.com/21houkoku/7-garyuu.html

 「アカショウビンが鳴きよる」Mの言葉に耳を澄ますが私にはよく聞こえない。(耳が遠い)確かに鳴き声らしきが聞こえても「ホーホケキョ」「カアカア」の様にはっきりと表現するのは難しい。写真で見た姿を思い浮かべ辺りを見回したが、あの美しい赤い鳥は見当たらない。(ネットで見るとキュロロロと鳴いているとか)

 猿木峠に到着するが時間はまだ10時だ。此処から下山の予定だが掛頭山まで行けそうだ。ところが下山後の山陰の夕釣りに気が飛んでいるのか(?)縦走に乗り気でないMはご機嫌斜めだ。「後で痛いと言っても知らんぞ」と厳しい言葉、もしかして私の体調を案じて? 気遣いは有難いが大丈夫もう少し頑張ってみたい。というのも今年は無理と諦めかけている夏山だが今日歩ければ行けるかもしれない・・・?! この後両者は10m以上離れたまま無言で掛頭山へと向かう。
臥竜山をふり返る
 掛頭山の山頂近くで林道に飛び出るとパッと視界が開け臥竜山から辿って来た稜線が目の前に広がる。足元には今まで目に出来なかった様々な花が咲いている。
 展望のない景色からの解放感で2人ともカメラを手に忙しくなる。「ほら、やっぱり来てよかったじゃろう!」と思わず出そうな言葉を飲み込み、ここはまだじっと我慢。両者、10m以上の間隔を保ったまま変わらない雰囲気で山頂へ。

 スキーリフトの建物までやって来ると1台の車が停まっている。いきなり大きな声で「熊がいました! あそこで写真を撮っていたら」と言われ急いで目を凝らす。指差された方向には何も居ないが実際に目撃されたお2人(ご夫婦?)は余程怖い思いをされたのだろう。発車のエンジンをかけ「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」と明らかに無防備な高齢者を気にされつつ去って行かれた。熊だって驚いて林の奥に逃げただろう。季節外れの静かなスキー場・・・家族4人で楽しんだスキーの光景が思い浮かぶ。度胸のある娘のNはMについてさっさと滑り下りたが、臆病な私とYは取り残されてしまったなぁ・・・。あれから○○年、登山で初めての山頂は物騒で長居は出来ない。早々に立ち去るとしよう。
ササユリを見つける
 急坂の山道を避けた林道で行動食を摂り、そのまま下って行くと思わぬプレゼントが待っていた! 山頂近くでも目にしたアサギマダラが、この辺りに咲き揃ったヒヨドリソウに群がって蜜を吸っている。群れと言っても過言ではないものすごい数だ。アサギマダラのこんな光景は初めてで慌ててカメラを構えたが逃げもしない。この撮影のため昨日も今日もやって来たという地元カメラマン氏も満足げだ。
ヒヨドリソウに群れるアサギマダラ
 林道から再び山道に入り猿木峠まで引き返す。あとは八幡原高原までの下りだけだ。ここでさりげなく「掛頭山まで行ってよかったねぇ」と言ってみる。やったね。「うん」と素直な答えが返って来た。犬も歩けば・・・ではないが、思わぬご褒美にMの機嫌も上向きだ。
 八幡原高原に広がる湿原にも沢山の花々が咲いている。ギボシ、ナデシコ、初めてのクサレダマ(草連玉)等々を楽しみながら駐車地へと向かう。
湿原に咲くクサレダマ(草連玉)
 結局、入山から下山まで登山者には1人も出会っていない。湿原を歩いて行くと「アカショウビンがまた鳴きよる」とM。
 深緑の林、鳥達のさえずり、ササユリ、アサギマダラ・・・様々な出合いが待っていた臥竜山~掛頭山、新たな力が湧いてきた静かな山旅だった。
(  文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋)  )
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu