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猫山(ヒメユリを訪ねて)
ヒメユリ
日 時  2017年7月24日
天 候  曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  7月23日
 道後山月見ヶ丘駐車場(13:05)~ 猫山登山口(13:20-13:40)~
比婆山県民の森公園センター(14:15) 泊
 7月24日
 比婆山県民の森公園センター(8:30)~ 猫山登山口(9:10)~
猫山山頂(10:40)~ 展望地(10:47)~ 南峰 ~ 
引き返し地点(11:20)~ 南峰(11:50)~ 展望地(12:00-12:40)~
猫山山頂(12:45)~ 猫山登山口(14:05)
 内  容
 7月23日
 比婆山や道後山に登ればいつも目にしていた猫山、山肌にスキーのゲレンデが見えていて今まで登ってみたいと思った事はなかった。道後山登山を終え宿に向かいながら「帰り道じゃから ちょっと寄ってみる?」とMに提案、猫山登山口に行ってみる。と云うのも道後山で出会ったご夫婦から猫山に《ヒメユリ》という珍しい花が咲いていると教えられたからだ。「10分も歩けば咲いていますよ」の言葉にその位なら行ってみようかなと軽い気持ちだ。

 猫山スキー場の近くの空き地に2台の車、ここが登山口らしい。運よく数人の方が下山して来られた。早速、道後山での経緯を話し《ヒメユリ》について訊ねる。「10分歩いた位では咲いていません。頂上に行かないと・・・」「すっごく可愛いですよ」「本当に素敵ですよ」といろいろ教えてくださるみなさんは、防府からのグループで毎年のようにヒメユリを見に来ておられるという。近くの山までは来ても何にも知らなかった我が家だが、山好き、花好きのみなさんの情報通には感心する。GPSがあるので地図の持ち合わせは無くともなんとかなるが、リーダー格の方が用意して来られた地図、資料を「よかったらどうぞ」と渡してくださる。山口県同志のよしみか有難い。よし明日登ってみよう。防府のみなさんに感謝し登山口を後にする。
 7月24日
 昨日の駐車場に到着し出発の準備をする。お天気はパッとしないが降りはしないだろう。展望が悪くても花が目当てだからと気を取り直し出発しようとしていると、やって来た1台の車、5人の賑やかな中高年グループだ。このグループもヒメユリを見に来たとの事、良かった。仲間が出来て心強い。「また後で」と挨拶を交わし出発する。

 スキー場に沿って植林帯の中をほぼ一直線に登って行く。暑い! 蒸し暑くてたまらないが我慢、我慢、ヒメユリ、ヒメユリと頑張って登る。小さな沢を渡るとようやく平坦道となり石仏が3体並んだ場所を通過する(帰宅後山上さんと知る)しばらくして尾根に取りつき大きく方向転換する。記録に残したいので写真を撮りたいがそうもいかない。実は昨日の道後山で一騒ぎあったのだ。例によってデジカメだからと好き放題シャッターを切っていたら《バッテリーを充電してください》の表示、よくある事だから何時もの様にMに「よろしく」と渡そうとしたら思いがけない言葉が返って来た。「替えの電池はもう無いよ」えっもう撮れないって事? 嘘でしょ、いつかもこんな事で悔しい思いをしたから、予備の電池等カメラ関係の事はしっかりと頼んでいた筈(白山からの続きで予備も使い切ったようだ)今さらつまらない写真を馬鹿みたいに撮らなければよかったと悔やんでも仕方ない。こうなったら「撮りたい時はカメラ貸してね」と頼むことにしよう。ところがまたまた信じられない返事・・・「こっちも充電してくださいって出た」→ 家庭内戦争勃発。カメラの事は全てMにお任せも悪かったが、いつの間にか役割分担が出来ていてカメラの事は完全に頼り切ってしまっていた。やはり自分の事は自分で・・・と少し反省もする。せっかく珍しい花に出会えても写真が撮れなくてはがっかりだが、Mの「表示が出ても数枚は撮れる筈」に僅かな望みを託す。  
ひっそりと佇む石仏 帰路に撮影
 尾根歩きとなって山頂は近いかもと思ったが展望の無いダラダラした登りが結構長い。すべてはヒメユリを見るためと汗ダクダクになりながら辛抱、辛抱。ようやく猫山の山頂にたどり着く。
猫山山頂はガスの中  帰路に撮影
 薄暗い山頂には花の気配等まったく無く、水分補給だけして、そそくさと南峰に向かう。暗い林を抜けると展望が開けた場所に出るがガスが深く視界はきかない。もうそろそろヒメユリが現れても・・・とあちこち目を凝らしながら南峰までやって来たがまるで気配がない。そういえば南峰から少し下ると聞いた事を思い出し次第に足場が悪くなる踏み跡を慎重に辿って行く。道後山でご夫婦が「10分も歩けば咲いています」と言われたのは、登山口からではなく、南峰からの事だったのかもしれない。防府のみなさんが「咲いていますよ」と言われたので群落とまではいかなくても、そこかしこに咲いているのだろうと勝手に思い込んでいた。いくら目を凝らしても目立つ筈の朱色が見つからない。もっと真剣に確かな情報を得ておくべきだったと後悔するが最早どうしようもない。足元の網の目のようなかすかな踏み跡はヒメユリを求めた人達が残したものかもしれない。
南峰への道  帰路に撮影
 どのぐらい探しただろうか? これ以上探しても・・・「もう帰ろうか」Mの言葉に力なくうなずき登り返し始める。こうなったら登山口で出会ったグループに訊いて見るしかない。どこか秘密の場所があるのだろうか? 汗びっしょりになりながら一輪も見つけられない敗北感に打ちのめされながら歩き始める。「おい、見つけたぞ!」突然後ろからMの声。「本当? 見つけた!?」転がるように駆けつけると草むらに隠れるように1本のユリが・・・なんて可愛いんだろう。やっと会えた。嬉しさが込みあがる。「よう見つけたね!ありがとう!!」心からMに感謝する。今まで山で沢山の花を見て来たがこんなにも心震えた事があっただろうか。さぁ失敗しないようにとカメラを向ける。残りの電池で上手く撮れるだろうか? シャッターが切れ思わず良かったと笑みがこぼれる。「見つかってくれてありがとう」とヒメユリにお礼を言う。何だか去り難いがお別れだ。
やっと見つけた1本のヒメユリ
 意気揚々と引き揚げていたらまたまたMが見つける。今度は2本並んでやはり草むらの中に(1本は残念ながら茎が折れている)それにしても私の目はボラ目か全然見つける事が出来ない。登り返していると、登山口でのグループがやって来られ「ありました?」と訊かれる。現状を報告しているとお1人が「あった!」とすぐ近くで見つけられみなさん大喜び。みなさんも噂を聞き初めて来られたようだが我が家同様、簡単に見つけられると思っておられたようだ。あまりの苦戦に疲れてしまわれたのか、下で見つけた3本を話したが1本見られたからもういいと此処から引き返される事に。
草に守られるように咲くヒメユリ
 相変わらずガスって何も見えない展望地でみなさんと一緒に昼食を取る。予想外の大苦戦(ただ、知らなかっただけだが)に話が大いに盛り上がる。小宴会が続くみなさんと別れ下山を開始する。
スキーのゲレンデから見下ろす  帰路に撮影
 ヒメユリを見つけてくれたMに昨日の戦争を忘れ感謝する。もし見つける事が出来なかったなら・・・かなり落ち込んでしまっただろう。改めて、いろいろと教えてくださる方の話はもっと真剣に聞かないと・・・と反省する。話の一部分を聞き取っただけで分かったつもりになってしまい、想像と違う現実に狼狽え焦ってしまった・・・。いい教訓になったと思う。今年の夏は沢山の花に出会えた。身近な山でも素敵な花が待っている・・・と知った山旅だった。 
猫山 トラック図
 (帰宅後ネットで見てみると毎年のようにヒメユリ目当ての登山をしておられる方でも数本、多くても20本位しか見つけておられないようだ。絶滅が心配されている希少な花でかっては十種ヶ峰にも自生していたらしい。あの可愛い花が絶滅しないようみんなで大切に見守っていけたらと切に願う)
( 文・写真:斉藤(滋)  写真・トラック図:斉藤(宗) )
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