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甲川ゴルジュ(伯耆大山山系)
日 時  2017年8月19日(土)
天 候  晴れ
メンバー  池本、内田、坂口(周南山岳会)
行 程 山口~下松SA~庄原~鍵掛峠~江府~大山寺~一息坂峠~
香取~鶯橋~入渓6:30~下ノ廊下6:35~中ノ滝8:45~
中ノ廊下10:05~上ノ廊下(崩壊)10:45~出渓11:30~駐車地点12:10~山口
 甲川の上ノ廊下が崩壊したという噂を耳にしていた。様々な情報によれば、どうやら本当のことらしい。あの上ノ廊下がなくなったのは非常に残念だが、どのようになったのか現状を知りたくて、一年ぶりに甲川を訪れた。
 前夜のうちに一息坂峠に到着し、当日は5時に起床。今回は車を出渓地点にデポし、池本の折り畳み自転車で入渓地点へ戻る。準備をしてから入渓。ウエットスーツを着ているせいもあるが、思ったほど水は冷たく感じない。前日、大山では30mmほど降水があったようで、前回来たときよりも水量は多い気がする。ドキドキしながら下ノ廊下へ。

 最初のポイントである大岩左の水流の段差を突破し、三連釜の滝へ。第一の滝はステップ付きの倒木が流され、簡単には越えられなくなっている。釜を泳いで左岸の様子を確かめてみたが、直登する可能性が見出せず、結局、右岸をショルダーで越えた。
三連釜第一の滝
 第二の滝は泳いで取り付き、右側の水流右の壁を越える。ホールド・スタンスが良くないので、今回のように水量が多い時は難しい。以前あった残置ロープは分からなかった。第三の滝は簡単に右岸から越えられる。
三連釜第二の滝
 その後、右岸にかかる天王滝を通り過ぎ、淵を泳いで奧の滝へ。左岸側のスポットから取り付くが、水量が多く、とても直登できない。ここは激しい水流を横切り、右岸の岩をショルダーで越えた。
天王滝の奧の滝
 次に待ち構えるのは足払いの滝だ。激しい水流が滑らかな岩を勢いよく流れている。これまた泳いで左岸側から取り付くが、安易に足を置くと、名前のとおり簡単に足が払われてしまう。今回はラバーソールがよく効いて問題なかった。左岸側にハーケンが打ってある。
足払いの滝
 続く三角形の岩のC/Sを右岸から越えると、下ノ廊下は終わりだ。甲川は河原が分かりやすい区切りとなっている。廊下では休憩するタイミングもないので、日当たりの良い河原は一休みするにも丁度良い。
 河原を過ぎて、先へと進むと、いよいよ中ノ滝だ。中ノ滝の入口は泳いで取り付き、途中から残置ハーケンを使って、右岸側の岩を越えた。
中ノ滝入口
 大きな岩の重なりの中を進んでいく。次から次へとボルダリングをしている気分だ。すぐに冑滝が現れる。ここも残置ハーケンを利用して、真ん中の滝を登った。再び河原が出てくれば、中ノ滝はおしまい。短いけれど、この区間もなかなか面白い。
 河原を過ぎて、次は中ノ廊下へ。不思議なことに岩の色が赤っぽい。これまでと比べると難易度は下がり、区間も短いが、各自が好きなルートを楽しんだ。
中ノ廊下
 再度、河原歩きとなった後、いよいよ上ノ廊下があった場所へ。既に手前の河原から新しい大きな岩が積み重なり、すっかり雰囲気が変わってしまっている。見ると左岸の岸壁がごっそり崩れており、かつてのゴルジュは見る影もなくなっていた。
 崩壊してから時間も経ち、ある程度、岩は安定している様子だが、それでも気持ちの良い空間ではない。上ノ廊下の痕跡を探しながら通過するが、ここが上ノ廊下だと分かる手がかりは見つからなかった。
上ノ廊下があった場所
崩壊した左岸
 さらに先へ進むと、土石にせき止められた淵が現れる。ここは泳ぐほかないが、明らかに水温が低い。以前の上ノ廊下の冷たさそのままだ。流れはないので、泳力は必要ないが、あまりの冷たさに手先の感覚がなくなるほどだ。
異様に冷たいせき止め淵
 長い淵を泳ぎ切ると、見覚えのある堰堤が出てきて遡行終了。堰堤の上から藪の斜面を登って林道に出た。以前は明瞭な踏み跡があったと思うが、今回は分からなかった。

 上ノ廊下のあった場所は崩壊により劇的に変化していた。それに伴い、想像もつかないほど大量の土砂が流れ出したのだろう。下ノ廊下から妙に砂が多いと思っていたが、区間全体を通してかなりの砂が河床に堆積している。個人的には残念ではあるけれど、やはり沢も自然の一部。時間とともに形を変えていくのだろう。
( 文:内田・写真:坂口、内田 )
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