へのリンク
北岳バットレス
日 時  2017年8月11日~13日
天 候  晴れのち曇り
メンバー  高田、林
行 程 11日
 07:30芦安温泉に駐車→08:30バスにのり広河原へ(片道1200円)→
09:00広河原出発→11:00白根御池小屋到着→
12:00白根御池小屋テント設営、バットレス取り付き偵察に出発→
12:30大樺沢二俣→13:30D沢→14:30第五尾根支稜取り付き→
16:00テント場着

12日
 03:00テント場発→05:00第五尾根支稜取り付き→
07:00横断バンド通過→07:20四尾根取り付き→
10:00マッチ箱より懸垂→10:40城塞ハングを抜け終了点→
11:15北岳山頂→13:10テント場

13日
 06:00テント場発→08:00広河原→09:30芦安温泉
 ずっと登りたかった北岳バットレス!クラシックルートでも特に人気なこのルート。情報は多いが、怖いのは落石か?渋滞か?高田さんという強力なパートナーと共に出発。
 いつものごとく山口を夜に出発し、芦安温泉についたのは7時ごろ。上の駐車場は一杯との事で、下の方に駐車する。バス停はどこかと心配したが、各駐車場から臨時マイクロバスが出ているとのことで安心。バスに揺られ広河原へ。ここはそれなりの登山客でにぎわっていた。
 白根御池小屋までは登り。2時間ほどで到着。携帯電話の電波は非常に入りづらい。沢山のテントが所せましと建てられていたので、奥の方にこじんまりと設営。
 すぐに偵察へと向かう。この偵察が、非常に有意義だった。二俣までは明瞭。大樺沢をD沢まで歩くが、どれがD沢なのかわからずいろいろと見て回る。1時間ほど歩いたところで、右手から水の流れる大きな沢に出た。D沢だ。バットレス沢とC沢は水が流れていないので、水の流れで判断すると分かりやすい。(降水後の水量の多い時はC沢も流れるかも?)

 それからバットレス方面へ、木々に覆われた踏み跡を頼りに登る。テープも一応あるが、本当にこれが取り付きへの踏み跡なのか疑問が残る。途中まで右隣にD沢が流れるのでそれを頼りにするとよい。
 やがて樹林帯を抜け、チクチクのお花畑に出て、目の前に大きくバットレスが広がる。それをさらに上がると、第五尾根支稜やピラミッドフェースが見えてくる。明るいうちに偵察をしといてよかった!行き当たりばったりで暗いうちにやっていたならば間違いなく迷っていただろう。取り付きまでの時間も大体わかった。翌日の出発を3時と決めた。この日は速やかにテントに戻り、一杯飲んで就寝。
 3時出発。昨日の偵察のおかげで取り付きまでスムースにいった。Dガリー大滝から左にトラバースするように登り、第五尾根支稜に取り付き僅かなテラスでピッチを切る。先行パーティが2組ほど。ここで少し待つ。
 それから2ピッチでDガリー大滝の上部に抜け、もう1ピッチ。ここの1ピッチが苔交じりのルンゼ状。難しくはないが苔がやっかいだ。前のパーティはカムを使っていたが、残置支点もある。
取り付き。バンド部から左にトラバースして第5尾根支稜上を登る
5尾根支稜上部から左のルンゼへ
 ルンゼを抜けると、横断バンドに出る。横断バンドは決して難しくはないが、かなりガレているし、落ちるとまず助からない。岩も脆そうだ。念のためロープを出す。横断バンドへ取り付く所に支点があり、ここから50m一杯にロープを伸ばしたところで、一段高い所にボロボロの残置支点。もう5m進めると樹林帯となり安全なのだがロープが届かない。致し方なくここで1ピッチ切る。
横断バンドはガレガレ
 横断バンドを抜け、樹林帯を少し歩くとガレガレな場所に出る。Cガリーだ。落石の危険が高いので、Cガリーを急いで登る。浮石だらけなので歩きにくい。10分程歩くと、赤いペンキで4の文字。ペンキと取り付きが分かりにくいが、大きくスラブ状(ヒドンスラブ)になっているところを探すと分かりやすいかもしれない。
 ヒドンスラブは最初の方にきれいなハーケンが一つ。それ以上はよく見つけられなかったが、見た目ほど難しくないので慎重に登れば大丈夫。ロープの流れは悪くなるが、取り付きから50m一杯伸ばして第四尾根主稜の大きなテラスの取り付き地点へと行くことが出来る。
ヒドンスラブ取り付き。赤く4の文字
 ここからの一ピッチ、全体を通して最初の登りが核心である。クラックに足をねじ込んで慎重にバランスよく登る。残置ハーケンがあるので、高さもないし落ちても大丈夫かもしれないが、落ちるわけにはいかない。クラックを登るとやさしいスラブである。目の前に大きく三角形に岩が広がり、その形はマッターホルンを思わせる。
 残置支点もあるが、カムもよく効く。登りやすい所を登るとよいだろう。ロープを40m程出したところで、右側に残置支点とスリング。
クラックに足をねじこんで
まるでマッターホルン!?
 次のピッチも簡単なスラブを登る。残置支点は多い。左の方に20m程登ると、再び残置支点。トポでは40mとあるが、どうも短い。ロープの流れが悪くなるので一度きってから、目の前の巨岩を右に回り込むように登る。すると、すぐに残置支点とスリング。どうやらここがトポ上の四尾根2ピッチ目のようだ。我々は2ピッチ目を左の方に登ったが、右の方に登ると直接ここにでてくるようだ。

 次のピッチは、トポには緩傾斜のクラックとあるが、ボコボコしたフェイスにうっすらとクラックがある程度。残置支点を利用し登る。難しくはないが、高度感がある。
 適当な所でピッチをきり、リッジをマッチ箱まで登る。一か所、ホールド、スタンス共に乏しいフェイス状の岩を登るが、ハーケンが連打してあるのでA0で越えられる。
 マッチ箱に着くと、懸垂用に残置スリングが沢山ある支点と、その手前にピッチをきれる残置支点がある。一人ずつ懸垂をしてコルまで。

 コルから、カンテやクラックを利用して登る。一気に枯木テラスの手前まであがる。セカンドで登り意外と悪い箇所があったが、トップの高田さんは流石安定したクライミング!ちなみに、コルからもう一度懸垂をするとDガリー奥壁の取り付きへといけるようだ。枯木テラスより先は、いわゆる崩壊箇所となる。元の形を知らないが、思っていたよりもかなりの部分が崩壊していると感じた。崩壊するとはにわかに信じがたい岩質だと思いながら登っていたが、この光景を見ると人の認識の甘さを思い知らされる。
 きっぱり落ちた岸壁をホールドにトラバースするが、見るからにモロそうだ。グラグラする箇所も多い。崩壊箇所から城塞ハングの取り付きまで難しくはないが慎重を要する。
中央がマッチ箱。左のチムニーが城塞
崩壊した箇所のトラバース
 城塞ハングは見た目よりも悪い。チムニー状を登っていき、見た目からはハングしているようには感じられなかったが実際に登ってみると「なるほど」といった感じでハングしている。残置のハーケンとカムを利用する。一つ、グラグラしているハーケンがあり、トップの高田さんがそれに気づく。流石である。

 灌木を支点にして城塞ハングを登り切れば、登攀終了。渋滞も無く、天気も良く快適なクライミングであった。20分程踏み跡をあがり、登山道に出たならば山頂はすぐ目の前だ。
 山頂に着く。展望は無いが、バットレスを登ってここまでこれたという事で大満足。適格な判断でここまで一緒に登って頂き、オマケにアスパラガスビスケットという美味しい行動食までくれた高田さんに改めて感謝である。
頂きへ
 テントまで2時間ほどの下り。この日飲もうとしてたビールは昨夜穴が開いてテントに飲ましてしまったので、高田さんから小屋で冷えた缶ビールをご馳走になった。ツマミには再びアスパラガスビスケット。やはり美味い。クライミングもさることながら、行動食選びもやはり高田さんは一流だった!
 次はピラミッドフェースにDガリー奥壁を登りたい!
( 写真・高田、林 文・林 )
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu