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比婆山で初登り
池ノ段への登り
日時  平成29年1月3日
天 候  曇り時々晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)  N(娘)
行 程  比婆山県民の森公園センター(9:20)~ 展望園地(10:05-10:15)~
立烏帽子駐車場(11:35)~ 竜王山(12:20)~ 立烏帽子駐車場避難小屋
(12:50-13:20)~ 池ノ段(13:40)~ 越原越(14:25)~ 
管理道終点(14:45)~ 比婆山県民の森公園センター(15:25)
 久しぶりに自宅で新年を迎え、2日比婆山へと向かう。昨シーズンもそうだったが今年も中々雪が降らず、比婆山県民の森公園センター駐車場はガラガラだ。年末寒波の残雪がどうにかゲレンデを白く覆ってはいるが、スキー場閉鎖は時間の問題だろう。
 「早めに着いたら足慣らしに毛無山に登ろう」と威勢のいい事を言っていたが、3時を待たずしてチェックインOKのサービスに即予定変更、明日に備えて(?)休養日とする。今年もノンビリムードでスタートだ。
 年末からの疲れが溜まっていたのかぐっすりと眠れ気分は上々、新春初登りに出発する。
 今回は久しぶりに同行するNが、まだ登ったことのない竜王山にチャレンジだ。張り切って先頭に立ったものの、笹尾根に向かうコンクリートの坂道がテカテカに凍っていておっかない。
 MとNは難なく山側の安全地帯に渡れたのに怖くて足が進まない。「そこじゃない。こっちを渡れ!」とMのイライラ声に素直に従いたいが、転倒による骨折3度の経験からそう簡単にいかないのを解ってほしい。それにしても普段はまったく運動してない筈のNの身のこなしはやはり若さ故か。
展望園地から伊良谷山、牛曳山を望む
 年末に購入したばかりの合羽(店じまいによる割引品)を「おニューよ」と気づかないNに見せつけると「あっ そうなん。古くなったからこんなボケた色になったと思うちょった」と来た。《ボケた色》とは手厳しい。
 長い間お世話になった、山の専門店の閉店セール初日に駆けつけたが、既に私に合うサイズはこれしか残っていなかった。相変わらずの悪口だが、気づけばNはもう10年以上、同じ合羽で付き合ってくれている(頼りなかった子供がいつの間にか堂々たるおばさんに)
笹尾根のブナ林を行く
 所々雪解けで地肌が現れた登山道を行く。晴れていれば冬枯れの林はもっと明るく心をウキウキさせるだろう。
 曇り空の下、誰1人出会わないが、それでも微かなトレースが人の気配を伝えている。辺りを包む静寂な世界。秋の紅葉時の賑わいが嘘のような立烏帽子駐車場に到着する。
静かな立烏帽子駐車場に到着
 トレースは右方向(池ノ段方面)へと延びているが、竜王山へはここで左折だ。今から向かうなだらかな雪面は真っ白、まだ誰も踏んでいない。やったね! 俄然ファイトが湧いて来る。
 今年は御陵への1番乗りは出来なかったが竜王山なら出来そうだ。昼食は立烏帽子駐車場の避難小屋でゆっくり食べたいのでまずは竜王山へ行って来よう。

 浅からず深からずの積雪を快適に踏んで行く。山頂台地に登り着くと突如現れた踏み跡??? そうか・・・熊野神社(反対方向)から登った人がいたようだ。神社で初詣し山頂へ1番乗りの気分は最高だっただろうな。
 1番とはいかなかったが、冬の竜王山は初めてでそれなりに満足し往路を引き返す。
竜王山々頂
竜王山を後に立烏帽子駐車場へ往路を引き返す
 さすがにお昼を大きくまわるとお腹も空いてきた。昼食の温かいうどんが思い浮かび、足の運びが段々速まって行く。
 帰り着いた避難小屋の手前には3人の人影、今日初めて出会う登山者だ。「こんにちは」と挨拶を交わし、通り過ぎようとすると「何処からですか?」と訊かれる。「笹尾根を登って来て竜王山ピストンして来ました」と答えると、傍らから「年期物だなぁ」と声がする。どうやら私が背負っている木製のワカンの事らしい。独身時代から40年使っているが、実はこの度、かの閉店セールで今風のアルミ製を購入した。出発前Mからそっちを使ってみたらと言われたが、一度も履いた事が無く自信が無いので今まで通りのクラシック製持参となった。考えてみたら後何年雪山を歩けるのか? 早い内にチャレンジしないとアルミのワカン → 単なる荒ゴミになりかねない。 
竜王山・池ノ段 周回トラック図
 貸し切りの避難小屋でうどんを待つが運搬者が現れない。ほんの少し後ろを歩いていた筈だがと、小屋から出て見るとさっきの3人組と談笑中だ。無理もない、やっと会えた登山者だからと理解を示したいが残りの行程を思えば、あまりノンビリも出来ない。うどんだけでも早く欲しい!
 こっちのイライラをよそにニコニコ顔で小屋に入って来たMからうどんを受け取りテルモスの湯を注ぐ。3分間も待てないふくれ顔に気づいたのか「あの人達は長崎らしいが《宇部山岳会?》と声をかけられた」と言う。「Hさん(山口県岳連の読図講習会での講師)と研修(日山協?)の帰り一緒だったと言いよっちゃったから、長崎県岳連の指導員級の人かもしれんのう」とも言う。比婆山という広い山域で出会った、たった一組のパーティーがHさんという共通の知人がいた事で親近感が生まれ、話が盛り上がったのだろうと納得する。私も話の輪に入りたかったなぁ。しかしあの時はうどんの事しか頭に無かったし・・・残念。
 
 小屋を出れば、再び静寂の世界に戻る。薄暗い雲間に少し青空が覗きホッとする。立烏帽子を今回もパスしトラバース道を経て全くひと気の無い池ノ段に登り着く。ここも秋の賑わいが嘘のような静けさだ。目の前に広がる吾妻山、大膳原、御陵の寒々とした景色に急かされ越原越へと出発する。
池ノ段を後にする  遠景は吾妻山、大膳原、御陵
 越原越の分岐まで下る。時間は14時半、御陵に登りブナの純林コースを下りたいが、我が家ペースでは時間がかかりそうだ。雪がたっぷりあれば御陵からスキー場に直に下れ時間短縮も可能だが、少ない積雪では藪でそうもいかない。今日の天気は日も早く落ちそうだ。ここは無理をしないで《思い出の管理道》に下る事にしよう。
小さな橋を渡れば管理道終点だ
 風邪のNを部屋に残し、悪戦苦闘した2年前の深雪の管理道敗退。「わずか1、7kmに3時間半もかかったんよ。行っても行っても同じ景色・・・」と昨日の事のようにNに熱く語ってしまう。
 登れそうになくても深雪に跳び込めたあの頃が懐かしい。今夜はワインで乾杯しよう。
( 文・写真:斉藤(滋)   トラック図:斉藤(宗) )
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