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山之口谷(宮崎県市房山)
山行日  平成28年8月27日(土)
天 候  曇り時々晴れ
メンバー  林、内田、鹿野(会員外)、松田(会員外)
行 程  駐車地点4:55~入渓5:20~6:35山之口大滝(百間滝)~977m二俣8:15~
1300m付近二俣11:00~11:25出渓11:45~登山道12:20~12:30市房山山頂12:40~
避難小屋13:10~5合目~登山口14:15~駐車地点14:30
 山之口谷。宮崎県の沢についてほとんど知らなかったが、「九州の沢と源流」によれば、滝の数は九州一とのこと。難易度も高そうだ。
 今回、鹿野と松田が計画していた山行に林と一緒に参加させてもらった。
 8月26日金曜日の夜、山口を出発し、途中、高速道路のPA・SAで鹿野と松田を拾って、九州自動車道を南へ向かう。
 人吉ICを降りたところで、買い出しをしてから、山之口谷のある宮崎県西米良村へ。市房山登山口を過ぎて、槇之口と田出之川原の間の空き地に駐車した。軽く一杯やってから1時半ごろ就寝。

 27日は4時に起床し、準備をする。滝の数が多く、山頂まで1300m超の標高差を登らなければならないため、どれほど時間がかかるか分からない。少しでも早く入渓したいので、暗い中を出発した。
 山之口の民家の横を通って山之口谷へ。入渓して10分ほどで少しずつ明るくなり始めたので、ヘッドライトを外す。
 沢は黒っぽい岩肌の大きなゴーロが続く。鹿野が尋常でないペースで先を進むため、ついていくだけで精一杯。今回は水量があるのか遡行図に記載されていた伏流は確認できなかった。
 30分ほどで最初の滝である3条6m。その後もゴーロを進むと、すぐに15m滝が現れた。ここから滝のオンパレードが始まる。水平方向への移動距離よりも垂直方向への移動距離の方があるのではないかと錯覚するほど。これだけの規模の滝が連続する沢は初めてだ。
連続する斜滝
30m斜滝
 時間短縮のため基本的にはフリーで、それぞれが思いのルートで進む。
 しばらく積極的に滝を登り続けると、前方の空が明るく開けてきた。山之口大滝(百閒滝)だ。見上げるほど大きく、思わず声が出る。さすがに登れそうにないので、左岸から巻いて、落口に抜けたが、結構な傾斜と不安定な石に苦労した。すぐ下に後続がいるので、絶対に落石できない。
山之口大滝(百間滝)を左岸から巻く
 大滝の落口に降り立つと、目の前から再び滝の連続が始まる。ようやく太陽が昇ってきたのか、時折、沢の中に陽の光が当たるのが嬉しい。
 引き続き、次々と現れる滝を4人が競い合うように越えて進む。力量のあるメンバーなので、できるだけロープを出さずに登った。二回ほど支沢が入ってくるが、いずれも水量が多い方へ進めば良いので分かりやすい。
これくらいの滝はロープなしで進んだ
難しい滝では鹿野がトップで登る
 そうして本流を進むと、遡行図にも記載される997m付近の二俣に出る。ここの分岐も両俣に滝がかかっている。ここは予定通り右俣へ。
 右俣にかかる滝は、まずは鹿野が登り、松田がフォローする。今回、少しでも効率的に進むため、ロープを2本用意したので、そのまま支点を利用して、林がトップ・内田がフォローした。右岸を登り、そのまま落口の左横に抜けるが、落口の手前が気持ち悪い。
右俣の35m滝を登る
 標高1000mを超えたくらいか、高度差で大体半分ほど登った頃、ようやく初めての小休止。行動食でエネルギーを補給する。気がつけば、入渓してから約3時間半が経過しており、お腹も空いていた。
 その後も出てくる滝は全て直登する。いくつ滝を越えたか分からなくなる頃、35m滝が現れた。
 ここでもロープ2本を使って、内田・林と鹿野・松田ペアで登る。左から取付き、中間でシャワーを浴びて右へトラバース。内田はロープの流れが悪くなったことで、そこから右往左往したが、鹿野はトラバースした先でピッチを切り、すっきりとしたラインで登っていた。
高度感のある35m滝
 1300m付近では、くの字50m滝が現れる。下から見るとさすがに大きく開放的だ。傾斜はそれほどでもないので、上部まで詰めてからロープを出した。ここは林がトップでいき、シャワーで越えた。
50m滝上部を登る林
 くの字50m滝を越えたところが二俣となっている。水量はかなり減ってきた。少しでも頂上近くに詰め上がりたいので、右へ進む。次第に水流は細くなり、最後は岩屋のような場所で伏流となった。ここで装備を解除して小休止。現在地は1400m付近だろうか。
 山頂を目指して、水の枯れた沢を進む。藪漕ぎはないが、ジョギングシューズに濡れた岩は滑りやすく、疲れの溜まった足は上がらない。重たい身体に鞭打ち、ようやく登山道に出ると、5分ほどで山頂に着いた。4人で硬い握手を交わし、記念撮影をした後、下山開始。あとは登山道を降りるだけだ。
山頂にて仲間と
 しかし、ここからが本当にきつかった。はじめのうちは早足で下るだけだったのが、鹿野にスイッチが入ってしまい、途中から一気に加速。トレラン並みのスピードで駆け下り始めた。林も頑張るが、自分はとてもついていけず、マイペースで下る。
 槇之口ルートは林道から下は、現在ほとんど歩かれていないようで、不明瞭な箇所や荒れている箇所もあり、疲れた身体に負担が大きい。二人に遅れ、ヘロヘロになって登山口に到着。
 最後、無事に車までたどり着き、靴下を脱ぐと、かかとの下に血を吸ってぷっくり膨れた山ビルが張り付いていた。
 

 一日で標高差1300m超を遡行するのは非常にハードだったが、数え切れない滝の連続を楽しむことができた。これもひとえに素晴らしい仲間のおかげだと感謝したい。
 夜の宴では、心地よい達成感のもと、松田シェフの料理を肴にお酒を飲み過ぎてしまった。
( 文:内田・写真:鹿野、林、内田 )
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