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蒜山三山縦走
(中国山地の紅葉を求めて②)
雲居平、下蒜山へと向かう
山行日  平成28年10月21日
山 域  蒜山(岡山県・鳥取県)
天 候  曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  10月20日
大山寺(9:30)~ 大山環状道路 ~ R482 ~ 中蒜山オートキャンプ場 車中泊

 10月21日
中蒜山オートキャンプ場(6:15)~ 犬挟峠(6:30-6:40)~ 雲居平(7:50)~
下蒜山(8:50)~ フングリ乢(10:10)~ 中蒜山(11:15-11:50)~
上蒜山(13:00)~ 槍ヶ峰(13:25)~ 百合原牧場(14:45)~ 犬挟峠(デリカ回収)~
休暇村蒜山高原 泊
 大山(船上山~川床)登山を終え蒜山に向かう。
 蒜山には馴染みの宿もあって、以前は山仲間と共に四季を通じ気楽に出かけていた。しかし年と共に遠出が億劫になり、近場の山ばかり登っている内に遠退いてしまっている。前回登ったのは8年前、果たしてどんな様子で迎えてくれるのだろうか? 
 10月20日
 今日は休息を兼ねた移動日なので、大山環状道路沿いの景色を楽しみながら蒜山に向かう。
 紅葉の最盛期にはまだ早いが、色づき始めたブナやカエデの林が美しい。三の沢で車を停め衝立の如く立ちはだかる大山南壁を眺める。雲一つ無い青空の下、一つ一つの尾根や沢が白く輝くように見える。ひときわ険しい槍尾根、若かったとは言え歩けた事が不思議だ。
黄葉が始まったブナ林(大山環状道路から)
 長閑にドライブを楽しみ蒜山の道の駅《風の家》に到着し夕食の買い出しをする。地元産の新鮮な野菜とジャージー牛で今夜はすき焼きにしよう。
 車中泊予定地の中蒜山登山口(塩釜の冷泉)に向かう。無料駐車場が空いてはいるが炊飯棟が無く不便、宿泊地を中蒜山オートキャンプ場に変更する。オーナーの話によれば元は畑だったらしく、広々とした芝生が素朴で気取りも無い。汚れたスパッツや手袋など洗って干し明日に備える。
 いつものようにアウトドアだけ張り切るMシェフのすき焼きでお腹はいっぱい。明日のエネルギーは十分確保出来た筈。
Mシェフのすき焼きをのんびりと待つ
 10月21日
 夜明けの犬挟峠に到着、意外にも2人組のパーティーが既に出発するところだ。一昨日の船上山~川床山行が余程堪えたのだろう。昨日は一日中、大腿が痛く果たして蒜山に登れるのかと心配したが、すき焼きのお蔭?それとも痛み止めが効いた? 今は嘘のように痛みを感じない。

 それにしても予報が外れて今日もガス、どうも天気には付いていない。抜ける様な青空だった昨日を移動(休息)日にしてしまったのは勿体ないが、故障だらけの体を労わりながらの山旅なので仕方ない。降らないだけましだと急坂の鎖場を登り頑張ると次第に展望が開け、雲居平、下蒜山が目の前に現れる。ここは何度来ても気持ちのいい場所だ。岡山の某山岳会と先頭争いした雪中登山(敗れた!)が思い出され懐かしい。
下蒜山への登り
 8年ぶり、やっと着いた下蒜山山頂には人影も無く、山頂標識だけがポツンと迎えてくれる。
 水分補給と記念写真だけでさっさと出発だ。期待外れの紅葉、ガスで展望も今いち、花も咲いていない・・・無いないづくしのせいか湿って滑り易い登山道を2人とも黙々と下る。
下蒜山から中蒜山へ
 雑木林を抜け下っているとガスが晴れ広大な笹原が目の前に現れる。初めての景色ではないが美しさに感動する。
 一面笹に覆われた尾根は中蒜山に繋がっていて、今からあそこを歩くんだと嬉しくなる。しかし見た目に優しい尾根道だが中蒜山への登りは長い。こんなに鎖場があったかな? もうそろそろ着いてもいい頃だがと必死でMの後を追う。山友のSsさんからご主人と犬挟峠~下蒜山~中蒜山~上蒜山をピストンしたと聞かされた時は「信じられ~ん!」と思わず叫んだが、ほんと今でも「信じられ~ん!」目指す山へのトレーニングだったそうだが、往路だけでこんなにきついのに、ピストンなんて!! 
気持ちのよい笹尾根
 中蒜山の避難小屋がようやくガスの中に現れる。山頂標識の前では5~6人の登山者が記念撮影中だ。今日初めての賑やかな人声にホッとするが、残念ながらここもガスで辺りは寒々と殺風景なモノトーンの世界だ。ここに居る人達は殆どが中蒜山登山口からのようだが、みなさんさっさと下って行かれ、あっという間にMと2人取り残される。少し寂しくなったが我が家はこれから避難小屋で昼食タイムだ。

 《①に天気 ②に仲間 ③は選んだ山》とはMの持論だが、確かに天気さえ好ければ・・・といつも思う。こうしてうす暗い避難小屋で2人きりで食べるより蒜山高原を眺めながら食べれば何倍も美味しいのに。おまけに「何にも見えんのじゃけん上蒜山に行ってもしょうがなかろう。ここから下りるぞ」のMの言葉にがっかりする。「さっきもそうじゃったけど、下に行けば晴れちょるんじゃない」と抵抗を試みるが、中蒜山への登りの遅れを思えば強くは言えない。それでも三山縦走したい・・・。

 諦めきれず偵察とばかり小屋の外に出ると、女の人が不自由そうにお弁当を開こうとしておられる。小屋は閉っていると思われたらしく中にお誘いする。我が家と同じく犬挟峠からで上蒜山まで縦走されるらしい。シメタ! 殆どの人が塩釜冷泉登山口に下ってしまい旗色が悪かったが、強い味方が現れた。これから巻き返しだ。一度へそを曲げてしまったら面倒なので、焦らずじっくりと三山縦走したいと伝えて行こう。3人でお喋りしている内にその気になってくれるかもしれない。

 「お先に」と食事中の彼女に挨拶をして小屋を出る。すぐに三叉路分岐だ。「なんにも見えんのに」とブツブツ言ってはいるが、Mの足は上蒜山方向に。良かった! しかしMの言う通り晴れていれば気持ちのいいユートピアもガスの中ではカメラを取り出す事も無い。そのまま上蒜山を越え(三角点はパス)下って行くと例の彼女が追い付いて来て共に下る。同行者のスピードに合わせて頑張ると槍ヶ峰に到着だ。青空が少しだけ覗いて来る。
槍ヶ峰で一休み
 休憩中の彼女より一足先に下り始める。デリカ回収のためタクシー予約をしたいが、待たすといけないので下山後呼ぶ事にする。下るにつれガスも晴れ、下山地の百合原牧場の緑鮮やかな草原が美しい・・・と突然グラッグラッと足元が揺れる。とうとう疲れて眩暈?・・・と思った次の瞬間、携帯が鳴る。熊本地震の時のあの警報だ!!「地震!!」Mが叫ぶ。Mも眩暈と思ったらしい。
 暫くして追いついて来た彼女は転倒したとの事だが怪我はない。余震に注意しながらなんとか下山する。
百合原牧場へと下る
 さて下山したものの携帯が繋がらない。気づけば着信履歴はあるが返信不能で切断されてしまう。困った、タクシーが呼べない! 宿泊予約している休暇村に遅くなると連絡もしたい。ジャージー牛が見守る中、ひと気の無い牧場で必死に携帯をかけ続ける・・・良かった! 休暇村の方に繋がった。ホッとして事の次第を話すとなんと迎えに来て犬挟峠まで連れて行ってくれるらしい。常宿のペンションの都合で今回は休暇村に予約したが、こんなに親切に対応してもらえるなんて本当に有難い! 
蒜山三山縦走トラック図
 宿に落ち着き、部屋の窓から蒜山を眺める。鳥取地震(M6.6)の震源地近くでありながら変わらぬ風景が広がっている。あの尾根の向こうは今頃大変だろう。
 すっきりしない天気、紅葉も今一つで何処か物足りなかった今回の蒜山だが、大切な事に気づかされる。いち早く安否を気遣ってくださった会の加藤理事長や事務局の八木さん。普段は音信不通の娘のNにも心配かけた。こんな我儘夫婦の事なんて誰も気にかけたりしない・・・といつも気楽に出かけていた(気楽の反面寂しさも・・・)しかし2人の携帯に残されていた地震発生後のいくつかの着信履歴・・・。感謝の思いでいっぱいだ。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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