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猫魔ヶ岳・雄国山(福島県北塩原村)
猫石から雄国沼を望む
日 時  平成28年7月30日(土)
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  7月28日 
宇部自宅(9:15)~ 中国道・舞鶴若狭道・北陸道 ~ 小矢部SA(20:10)車中泊

 7月29日
小矢部SA(6:20)~ 北陸道・磐越道 ~ 会津若松IC ~ 磐梯山ゴールドライン
 ~ 八方台登山口(15:00)車中泊

 7月30日
八方台登山口(5:05)~ 猫魔ヶ岳山頂(6:15)~ 猫石(6:50)~ 雄国沼休憩舎(8:20)
~ 雄国山々頂(9:10)~ 雄国沼休憩舎(9:50-10:15)~八方台登山口(13:40)
~ 安達太良山登山口
 10年前磐梯山に登るため、八方台登山口駐車場で前泊した。登山者の車が殆ど立ち去った静かな駐車場、不意に磐梯山とは真反対の森から2人の登山者が現れ驚いた。思わずご夫婦らしいペアに「何処に登られたのですか?」と声をかけ猫魔ヶ岳・雄国山を知った。
 退職後、念願だった東北の山旅に出かけ鳥海山、森吉山・・・磐梯山とやって来た時の話だが、初めて耳にする珍しい山名は何故か心に残っていた。ガイド本によればこの二つの山に囲まれた雄国沼の湿原は初夏ニッコウキスゲの大群落に覆われるという。7月も残り僅かとなればニッコウキスゲは期待出来ないが、いつか訪れてみたかった磐梯山の隣組の2座、ようやくチャンスが巡って来た。
 夏山の朝は早い。3時半に目覚めたので身支度を整え、前日会津若松のコンビニで購入したオムスビを頬張る。前夜3台だった駐車場は夜明けと共にみるみる埋め尽くされて行く。
 今日は土曜日、磐梯山を目指す登山者が殆どだろう。我が家は誰に気づかれる事もなく反対側の山道に入る。すぐに登りとなり静かなブナの森を行く。猫魔八方台で少し展望が開けたが単調な道だ。
 ようやく尾根に登りつくと背後に磐梯山が大きく迫っている。早速カメラを取り出したものの逆光のため上手く撮れない(バカチョンカメラ任せで技術不足) 
朝の磐梯山
 我が家にしては上出来の標準タイムで猫魔ヶ岳に到着し一息入れる。天気は好いが少し靄がかかって見下ろす景色がすっきりしない(帰路では裏磐梯の檜原湖を望む事が出来たが)取りあえず記念写真を撮り、まずは水分補給。
 若い頃「なるべく水を飲むな」と誰からともなく教え込まれたが誤りであった事が分かり、今は休息の度に飲むよう心がけている。例によってMにも勧めたが、差し出したペットボトルをいきなり口にして変な顔をしてもそれじゃあ飲めません。ちゃんとキャップを外さんとね(いつも手取り足取りで私がお殿様にしてしまったのか・・・)

 山頂を下り始めると火山特有のゴロゴロした岩の道となる。踏み外せば転倒、骨折だと自分に言い聞かせ先を行くMを慎重に追いかける。と前方が明るくなり猫石に到着だ。
 これが化け猫伝説のある大岩か・・・と見上げれば、Mは既に登攀中。若かりし頃は縦走登山より岩壁登攀派だったので年を忘れ血が騒いだのかもしれないが、思わず「落ちんでよ!!」と叫ぶ。自分ではこの程度目じゃない・・・と思っているようだが、チョッとバランス崩したらアウト。こんな所まで救急車は来てくれないよ。
猫石登攀中
 猫石からは今から向かう雄国沼が見える。沼の畔の休憩舎も早く来いと呼んでるようで心が逸る。
 少し下るとアジサイやヒヨドリソウが咲く平坦な道となり、小さな沢を3度渡る。見通しのきかない灌木帯を行きながら「秋には紅葉が綺麗じゃろうが、此処には来れんのう」とMがポツリ。「何の事・・・?」と思ったら「さっきから見るに此処はヤマブドウが多い」本当だ。右も左も大きなヤマブドウの葉っぱがいっぱいだ。こんなに茂っていたら沢山の実が生るだろう。そういうことか! やっと分かった。つまり此処は熊の生息地、思わずおしゃべりのボリュームをアップする(下山後、地元の方からもこの山域は熊が多いと教えられた)
 ようやく雄国沼の湖面が見えて来た。伝説のイメージに反して広く明るい沼は猫魔ヶ岳の噴火で出来たという。
雄国沼
 湖畔に建つ立派な休憩舎に着いたが人影は無く取りあえず雄国山に向かう。
 7月18日までは喜多方市側の金沢峠まではシャトルバスが運行されていた。きっとニッコウキスゲの大群落を目当てに大勢の登山者が訪れただろう。花(ニッコウキスゲ)のシーズンが過ぎ去って忘れられたような山に、物好きな2人が登っているんだな・・・と思う。
雄国休憩舎を後に山頂へ
山頂への道
 静かな尾根道を山頂目指して黙々と登る。夏山とはいえ高山植物が咲き乱れるお花畑とは無縁のような地味な山・・・と思ったが、見つけた! 大きなヤマユリが咲いている。硬い蕾ばかり目に入っていたのだが、遠来の客を歓迎してくれたのか今を盛りとばかり見事に咲き誇っている。有難う! ホッと心が和む。振り返れば雄国沼が眼下に広がっている。
出迎えてくれたヤマユリ
 誰もいないと思い込んでいた雄国山々頂に登山者2人。雄子沢登山口からで今から八方台登山口に向かうとのこと。いらぬお節介で「下山後は?」と問うと「車2台で来て、すでに配車済み」との事、地元に近い人はこれが出来る。
 我が家も10年位前までは西中国山地の山々でこの手を使ったが、今ではそんなパワーも失せピストン、小回り周回とエコ登山に終始している。山仲間も年と共に減り、車数台で多人数で出かけた頃が懐かしい。

 山頂の展望台のハシゴを慎重に登り、てっぺんに立ったので気が済み下山を開始する。当初は沼を反時計回りして猫石に帰る予定だったが、資料を送ってもらった北塩原村観光課の話では、金沢峠から先は廃道化しているらしい。
 楽しみにしていた湿原の散策も花が期待出来そうにないので諦め往路を戻る事にする。
山頂を後に下山する
 休憩舎まで帰りゆっくりと休む。体力の衰えと共にそうなったのか若い時のようにがむしゃらに歩こうとは思わない(いや歩けない)若い頃は息も絶え々々になりながらも先輩達に付いて行き、沢山歩ける事が嬉しかったが、今は山に溶け込み、こうしてぼんやりと時を過ごす事に幸せを感じる。
 若い時から軟弱だった私だが、見放さず引っ張ってくれた先輩達のお蔭で今も登れているんだとつくづく思う。さて下山といえども帰路もアップダウンの長い道程だ。焦らずのんびり帰るとしよう。
猫魔ヶ岳~雄国山 トラック図
 途中、猫魔ヶ岳で賑やかな子供パーティーに出会う。「コンニチハ」の元気な挨拶に元気を貰う。登山は子供達に様々な経験と思い出をプレゼントするだろう。日本の明るい未来を見た気になり足取りも軽くなる。
 トレーニング不足、長距離運転疲れといろいろ不安はあったが、ゆっくりと歩いたのが良かったのか、元気に八方台へ帰り着く。 
( 文・写真:斉藤(滋)  写真・トラック図:斉藤(宗) )
安達太良山(福島県) → 
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