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樋ノ谷(錦川水系)
日 時  平成28年7月9日(日)
天 候  曇り
メンバー  林、内田
行 程  山口IC~六日市IC~蛇ノ谷~向峠7:55~樋ノ谷8:30~入渓8:45~F18:50~F2斜滝9:30~
F4スラブ状の滝9:55~小休止~F610:40~F7~F8二条の滝10:50~二俣11:20~小休止~
F9~F10平らな斜滝11:35~登山道12:00~向峠12:40~六日市IC~山口IC
 梅雨の時期の沢は本当に悩ましい。今回、計画では蛇ノ谷を予定していたが、出発前に近くの羅漢山の降水状況を確認すると、前日からの大雨で24時間の降水量が130mmを超えている。当然、沢は増水し、沢登りをすること自体、無謀な行為だろう。それでも念のため、現地に行ってみると、やはり入渓するには命がいくつあっても足りない迫力だ。どの沢も似たようなものだろうが、ダメ元で普段は水量が少ないと聞く樋ノ谷に行ってみることにした。
 蛇ノ谷から下流に向かって2つ目の沢が樋ノ谷だ。道路のすぐ横にF2が見えるが、こちらも水量が半端なく、見事な迫力に圧倒される。この状況で果たして無事に遡行できるのか。不安を抱えながらも、とりあえず直登できない場合には巻けば良いからと入渓することにした。

 道路から懸垂下降を交えて沢に降り立つと、F1の上に出てしまったので、さらに急斜面を降りてF1の下に出た。すぐ下の深谷川は荒れ狂う濁流となっており、巻き込まれたらひとたまりもないだろう。
荒れ狂う深谷川との出合
 樋ノ谷の水量も大幅に増えているようで、深谷川まで流されないよう、できるだけ岩の上を伝ってF1に近づいた。
 両岸の壁に挟まれた薄暗い空間の中に大量の水が落ち込んでいる。とても登れる気がしない。
 右岸F1手前に岩の隙間があるので、そこを登って巻いたが、岩が脆いため、途中からロープを出した。
F1手前の岩の隙間を登った
 F1の上から橋の間は、いたるところでゴミが散乱し、本来なら美しい渓相が台無しになっている。
 足早に、かつ増水に身体が流されないよう慎重に進み、道路を越えたところで、再びF2と向き合った。遡行図では四条の滝とあるが、今日はいたるところから水が流れ落ち、何条となっているのか分からない。
 F2で沢は二つに分かれているので、左俣となる左の斜滝を進みたいところだ。
F2右俣にかかる幾条もの滝
 じっくり観察していると、何となく突破できそうなラインが見えてきたので、斜滝の右から取付く。2mほど上がったところで、右足を乗せていた苔が剥がれ、一度、下まで落ちたが、気を取り直して再トライ。
 中間から水の中に突入し、身体が押し流されそうになるのを必死に堪えて、そのまま右端を登った。
F2左俣の斜滝ここから水流に突入する
 その後も水流に苦労しながら進むと、傾斜のきついスラブ状の滝が現れた。F4だ。
 遡行図では左から取付いて中間でトラバースするとあるが、この水量ではとても不可能に思える。そもそも平水時でも、手掛かりのなさそうな滝をトラバースできるのだろうか。
 ここは水流の左に苔に覆われた木の根(幹?)があるので、それを伝って上に抜けた。
F4スラブ滝
 F4のすぐ上には幅広3mのF5が出てくる。小さな釜だが、激しい流れが岩にぶつかり渦巻いているので、入りたくない。とはいうものの、滝の左側は手掛かり足掛かりもなく、登れそうにない。仕方がないので、恐る恐る釜に入ってから、滝の右端のラインを進み、最後は垂れていた蔦を使って抜けた。
F5幅広の滝
 その後も次々と現れる水量の多い小滝を越えていく。平水時なら単なるゴーロに過ぎないのだろうが、これだけ水量があれば面白い。
 F6の次に出てくるF7斜滝の下部は特に水流が一か所に集中しており、簡単に身体が弾き飛ばされてしまう。これだけの水流に突っ込んでいく機会はそうそうない。全身に力を張り巡らせて水圧を突破した。
F7で激流に飲まれる林
 苦労してF7の激流を突破すると、F8二条の滝が現れる。高さは5~6mくらいだろうか。
 左の滝は簡単そうだが、右は水量があり難しそう。ここは右側の滝にトライ。これまた右端から取付き、流芯に入らないように上がっていくが、落ち口に抜ける手前で水流に入らなければならない。おまけに左岸の岩は脆く、フレーク状のホールドもグラグラしている。
 水の中にホールドを求めて、じわりと越えた。
F8二条の滝
 F8の後はしばらく平凡な渓相が続く。
 700m付近の二俣で小休止してから、分岐を左に進むと、斜滝F9が現れる。普段はトユ状となっているのかもしれない。中間部の傾いた平らな岩が特徴的だが、特に問題なし。
 さらに進むと、これまた人工物のように平らな面を持つ斜滝F10が出てくる。高いスタンスにハイステップで乗り込んで、その見事な斜面を越えるのが面白い。
 コツがあるのだろうか、林は難なくクリアしていた。
 その後、トユ状の滝や分岐を二つほど越えると、源流域となり、10分も経たずにちょうど十王のコルに出た。下山は登山道を使って一気に向峠に降りた。
F10平らな斜滝
 増水していたせいで、久々にアドレナリン全開の沢登りとなった。
 何度か水流に弾き飛ばされたが、四肢に力を張り巡らせて、激しい水圧を突破できた時の喜びは大きい。遡行を終了してみれば、大した距離的ではないのに、全身ヘトヘトになっていた。
( 文・写真:内田 )
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