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雨飾山の紅葉を訪ねて
朝陽に輝く紅葉
山行日  2015年10月10日
山 域  頸城山群(新潟県糸魚川市 / 長野県小谷村)
天 候  晴れ後薄曇り
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋)
行 程  10月9日
 道の駅あらい(新潟県妙高市)~ 道の駅小谷(長野県小谷村)~ 雨飾山登山口(下見)
~ 鎌池散策 ~ 山田旅館(泊)

 10月10日
 山田旅館(3:00)~雨飾山登山口(3:10-5:45)~ 荒菅沢(あらすげさわ)出会( 7:20)
~ 笹平(8:45)~ 雨飾山々頂 (9:20-9:50)~ 荒菅沢出会(11:35-12:00)
~ 登山口(13:55)~ 道の駅小谷(車中泊)
 10月9日

 道の駅あらいのコインランドリーで洗濯を済ませ、北陸道経由で一路雨飾山へ。(林道妙高小谷線は通行止め)道の駅小谷で昼ご飯を済ませ、下見のため登山口に向かう。
 紅葉で人気の山とあってウイークデーにも関わらず満車状態を確認し、近くの名所鎌池に立ち寄る。散策後お食事処≪ぶな林亭≫で、好物のぜんざいを食べながら貴重な情報を得る。明日は土曜日なので路肩駐車で大変な程、登山者が押しかけるだろうとのこと(早立ちを覚悟しなくては・・・)

 当初の予定では雨飾山登山は今日で、下山後の宿泊のつもりで予約していた山田旅館に向かう。
 450年以上の歴史があり国の登録有形文化財に指定されているという江戸時代建築の本館は風格がある。部屋に案内され早速探検開始、廊下、お風呂、囲炉裏のある茶の間とカメラに収めて行く。興味のないMはおそらく焼酎タイムだろう。(深田久弥も宿泊したと帰宅後NHKの番組で知った)
 10月10日

 3時に宿を出て10分で到着したが、登山口駐車場は前日からの滞在者で既に空きスペースは無い。200m下の駐車場には1番乗りだが次々車が入って来る。今更眠れそうもないので身支度を整え夜明けを待つ。
 荷は軽くてすむが久しぶりの日帰り登山に気合が入る。(雨飾山には避難小屋が無い)楽々登山を続けていると、そのうち山小屋のある山しか登れなくなってしまうかも・・・。よしっ! 今日は頑張るぞ!

 薄明るい中いよいよ出発する。歩き始めは平坦でウオーミングアップに丁度いい。
 小さな沢沿いの木道を進むとやがてブナの根っこが露出した急坂となり、後続パーティーにドンドン追い越される。
 緑の林の中の赤や黄色が登るに連れ増えて行き、いつの間にか辺り一面黄色と赤の世界に・・・。10m行っては立ち止まり、また立ち止まり、一向に進まなくなる。今までも八甲田山、尾瀬ヶ原、巻機山・・・と紅葉の山を訪ねたが雨飾山って凄い! いつか岡山の友人が「雨飾山の紅葉は素晴らしい」と言っていたのも頷ける。疲れなんて吹っ飛ぶ(いやいやノロノロペースだからあまり疲れていない)
紅葉真っ盛り
 ≪荒菅沢へ30分≫の標識発見、元気が出る。
 気持ちのいい樹林を行くと目の前が開け、眼下に荒菅沢が見え始める。沢に下ろうと向きを変えた瞬間、ワァー!絶景! 山腹を覆う紅葉の向こうに雨飾山と大岩壁(布団菱)が見えている。ここはビューポイントらしくみんなカメラを構えて動かない。渋滞を避けるため慌ててシャッターを押したが撮れているだろうか?(撮れていなかった) 
ビューポイントからの雨飾山(帰路に撮影)
 多くの登山者が休んでいる荒菅沢を渡り急な尾根に取りつく。
 狭く荒れ気味の登山道は1人通行がやっとで、登下降のすれ違いは大変だろうと思う(下って来る人はまだ居ないが)低灌木帯を過ぎると視界が開け岩稜が笹平へと続いているのが見える。あそこをクリアすれば大好きな笹原歩きが待っている。もう一頑張り、いや二頑張りは覚悟しないと。
岩稜を登る
 高所恐怖症の私でも怖くない岩場、二段続きの梯子を慎重に登る。
 ポカが多い私は油断が出来ない。こんな所にヘリを呼ぶのは嫌なので一歩一歩確かめる。振り返れば途切れることなく人の列が続いている。さすがに紅葉で有名な山、中高年ばかりじゃない。若い人がグングン追い上げて来る。避けるのは大変、取りあえず笹平まで頑張ろう。
山頂目指して笹平を行く
 急坂を登り切った笹原の向こうに、ドーンと雨飾山が聳えている。Mも心が逸るのか休憩も取らずに進む。
 山頂への最後の登りは既に下る人もいて、すれ違いに神経を遣う。
山頂まであと少し
 賑やかな話し声が近くなりついに山頂稜線に立つ。
 まずは南峰へ、山頂標識の前で順番待ちして記念写真を撮る。今日の視界は今いちで近くの山並みも霞んでいるが、登れただけで嬉しく満足する。
 狭い頂の端っこに腰を下ろし遅い朝ご飯を食べる。朝食替りの宿のお弁当は大きなおむすびが2個、最高の味!1個はお昼に取っておこう。

 石仏がある北峰にも立ち寄ったが、下りも結構時間がかかりそうなので早々下山を開始する。
 時間と共に増える登山者とのすれ違いは登り優先なので、2人では中々思うように下れない。数優先ではないだろうが下り易いので、いつの間にか10人位の塊になり行動を共にする。いつも膝保護のため下りは特にゆっくりだが、団体となればそうはいかない。遅れれば下り辛くなるので荒菅沢出会まで必死に付いて行く。
荒菅沢出会い
 爽やかな清流の畔で大休止。往路は休まず通過してしまった荒菅沢だが気分はほっかり、残りのおむすびを取り出す。
 喜ぶのはまだ早いかもしれないが、もう岩場も無ければ梯子も無い。ここからは紅葉を楽しみながら下れるだろう。
黄葉のトンネルが続く
 登りも十分眺めた筈の紅葉だが、ゆったりとした気分で眺める景色はまさに友禅の世界、曇りがかって来た空の下ではいい写真にはならないと分かっていても、ついついシャッターを押してしまう。
 そんな中ツァー団体と一緒になる。抜きつ抜かれつで垣間みたツァー登山、休憩はもちろん写真撮影の場所もガイドさんの指示で、みなさん整然と行動しておられる。しかも同じペース(結構速い)での歩きに感心する。年とって自分達で行けなくなったら、ツァー登山にしようなんてとんでもない事だと実感する。みんなに付いて行ける体力と協調性があってこそのツァー登山、我儘を直し体力増強に努めなければ参加出来そうもない。
ブナ平で憩う
 午後2時、観光客も入り混じった賑やかな登山口に帰り着く。
 今夜の車中泊地は往路に立ち寄った道の駅小谷に決める。併設の温泉(深山の湯)で汗を流せるし、レストラン(鬼の厨)で小谷産新米の釜炊き定食も食べられる。(両方利用すれば割引あり)目的の山2座に登れ、目出度し、目出度しの筈だったが、お風呂が先か夕ご飯が先かという些細なことから始まって、とうとう戦争に。最後は「もうお前とは二度と山に登らん。これが最後!」といつもの決まり文句で終戦。(何十回、いや何百回?聞いたことか・・・)
 帰宅後に放送されたNHKの番組で雨飾山と深田久弥の関りを知った。有名登山家の意外な素顔に驚き、何年かぶりに蔵書≪日本百名山≫を取り出し雨飾山のページを開いて見る。放送された内容に関する記述を期待した訳でもないが、淡々とした文章からは雨飾山に対する並々ならぬ情熱は感じても、それ以外のことを感じ取ることは出来ない。
 深田久弥の人生をも変えるきっかけとなった雨飾山、もし登る前にあの番組を見ていたら、荒菅沢も南北の双耳峰も別の風景に映ったかもしれない。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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