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火打山(湿原と池塘の山を訪ねて)
高谷池の畔に立つヒュッテ
山行日  2015年10月6日~8日
山 域  頸城山群(新潟県妙高市)
天 候  6日 晴れ  7日 快晴  8日 霧雨のち晴れ
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋)
行 程  4日
  宇部(7:10)~ 中国道 ~ 舞鶴若狭道 ~ 北陸道 ~ 小矢部川SA(17:40)車中泊
 5日
  小矢部川SA(7:50)~ 上信越道 ~ 妙高高原IC ~ 買い物 ~ 杉野沢温泉(入浴)~
 笹ヶ峰キャンプ場(13:20)泊
 6日
  笹ヶ峰キャンプ場(7:05)~ 黒沢橋(8:15)~ 富士見平 ~ 
 高谷池ヒュッテ(11:35-12:30)~ 天狗ノ庭(12:50)~ 雷鳥平手前引返し(13:40)~
 高谷池ヒュッテ(14:50)泊
 7日
   高谷池ヒュッテ(7:15)~ 天狗ノ庭(7:40)~ 雷鳥平(8:30)~
 火打山々頂(9:15-9:55)~高谷池ヒュッテ(12:10-13:00)~ 茶臼山(13:40)~
 黒沢池ヒュッテ(14:30)泊
 8日
  黒沢池ヒュッテ(6:15)~ 富士見平(7:40)~ 笹ヶ峰キャンプ場(11:50)~
 杉野沢温泉(入浴)~ 道の駅あらい(車中泊)
 20代で宇部山岳会に入会したが、当時活発に活動しておられた女性会員はI先輩だけ、結婚で退会されるまで金魚のフンの如く山行を共にした。そのI先輩が大好きだった山が妙高・火打山だった。
 2人で夏の後立山を縦走した時も残雪期に唐松に登った時も「今から妙高に行くから」と下山後1人にされたが当時の私にとって遠出の山はやはり北アルプス、妙高も火打も頭になかった。
 その後何年も経って目にした残雪の火打山(天狗の庭)のポスター、水芭蕉咲く湿原のあまりの美しさに行ってみたい!と思ったがチャンスが無く憧れのままだった。だが、ふと気づけばMも私もあと数年で後期高齢者、登れる内に行かないと時は待ってはくれない。
 水芭蕉は咲いていないが天狗の庭を歩いてみたい。Mが行きたい雨飾山も近いことだし年相応のペースでそれぞれの憧れの山にチャレンジしてみよう。
 10月6日

 火打山の登山口、笹ヶ峰キャンプ場の朝は冷え込んでいる。
 日の出前から早立ち組が出発しているようだ。我が家の今日の予定は高谷池ヒュッテまでなので焦ることはない。健脚者なら日帰り可能な山を3日かけて歩くつもりだ。出発前Mが左足に肉離れを起し2週間の安静と診断された。一旦中止を決めたが出発の前日になって「大丈夫、行けそう」と言い出した。2週間には満たないが意外と軽症だったのかもしれない。行くか、止めるか・・・悩んだ挙句に出した結論は≪不調なら即撤退≫で取りあえず出発。紅葉は待ってくれない。

 小屋泊まりだが3日分の行動食と防寒着で膨れたザックを担ぎ、ゆっくりと歩き始める。
 整備された木道が続く自然林は既に紅葉が始まっていてカメラを手に前に進めない。Mの足のためにはいいペースだ。
 コースタイムを気にする事なく黒沢、十二曲り、富士見平と順調に進む。落葉広葉樹の林は緑、黄、橙、赤と微妙なグラデーションで自然が織りなす絶景にただただ見惚れる。
黒沢橋を渡る
 富士見平を過ぎてトラバース道となり目的の火打山が現れる。端正な山容は気高く気品に満ちている。
 もうすぐあの頂に立てるんだと嬉しさがこみ上がる(気が早いが)高谷池ヒュッテの三角屋根も見えている。間もなく今夜の宿に到着だ。 
 ヒュッテの前のテーブルで昼食を取り、宿泊の手続きを済ませる。本日の行動予定はこれでお終い。だが、今から山頂を目指す人達が次々出発して行く姿にどうも落ち着かない。
 下手に早く着き過ぎてしまった。このままボーと過ごすのも勿体ない(そんな時間が夢なのに)周りの雰囲気に呑み込まれサブザック姿で取りあえず山頂に向け出発する(Mの足の事はすっかり忘れて)出発して間もなくハッと気づく。カメラを忘れた! 迷った挙句1人で引返す。

 石ころだらけの登山道を駆け下りカメラを手にUターン、Mを追う(周りから見たらおそらくヨタヨタ、ゼーゼー)中々追いつけず焦って岩場で見事に転倒! しまった!またやった・・・が手も足も動く。無我夢中で歩き(景色を見る余裕なし)雷鳥平の手前で待っていたMにようやく合流する。
 Mは「ここで引返す」と言う。稜線上はガスがかかり始めたが、ここまで来て・・・と内心思う。しかしMの決断には逆らえない。足の事が気がかりだ。自分だって膝下に傷を作ってしまった。(小さいが深い傷は中々完治しなかった)小屋で休んでいればいいものを「行こう」と誘ってしまった事が悔やまれる。明日は登れるだろうか?
 ヒュッテの夕食はセルフでカレー&ハヤシライス。自宅の昼食で週一カレーを食べているMは迷わずハヤシライスを選択、私は隣の人に倣って皿の真ん中にご飯をつぎ、右はカレー、左はハヤシライスと両方の味を楽しむ。
 大抵の人がそうしているが、普段箸を持つだけで食事が出来るMにはそんな知恵は無く、しきりと感心している。私はただ欲張りで食いしんぼなだけだが。
 10月7日

 爽やかな朝を迎える。改めて山頂に向け出発する。
 昨日、気もそぞろに通過した天狗の庭からの火打山をじっくりと眺める。残雪と青空のコントラストが美しかったポスターに比べれば秋色の光景は地味だが、季節は違っても憧れの地に立てた事が素直に嬉しい。
天狗の庭からの火打山
 稜線に上がると長い登りが待っている。焦らず周りの景色を楽しみながら行くとしよう。
 ヒュッテで同宿だった早立ちされたツアー一行とすれ違う。「富士山が見えましたよ。頑張ってください」と励ましの言葉をいただく。と突然「斉藤さん!」と一行の中の男性から声がかかる??? 以前≪やまびこ≫のFmさんと田原山に出かけた折一緒だったと言われ思い出す。山が好きな者同士、こうして遠くまで来ていても会うんだなぁと懐かしく、偶然に驚く。
白馬岳~槍ヶ岳を望む
 「後30m」Mに励まされついに登頂!
 360度の大展望が広がっている。頸城山群の仲間である妙高山、焼山、次に登る雨飾山、後立山、槍穂高・富士山まで。
 辿ってきた稜線の山腹は真っ白な霧氷で覆われている。昨日登れなくて本当に良かった! 無理して登っていたら、足も痛めただろうしこんな光景は見られなかっただろう。心ゆくまで景色を楽しみ風が出て来た山頂を後にする。
天狗の庭を見下ろす
 高谷池ヒュッテまで下り昼食後、黒沢池ヒュッテに向かう。登頂後いっきに下れば足に負担がかかると思いもう1泊することに。
 オオシラビソの林を登り尾根伝いに進むと妙高山がだんだん近づいて来るが今回は登らない。
 展望のいい尾根からは妙高市の街並みの向こうに日本海も見える。
縦走路からの紅葉
 茶臼山を過ぎると突然目の前がいっきに開ける。「すごーい!」思わず歓声を上げる。
 妙高山の頂を囲んだ外輪山の山腹は落葉したダケカンバが模様を作っていて、裾野には池塘と湿原が見渡す限り広がっている。
 分かった! I先輩がこの山が大好きだった訳が。湿原の中に続く1本道、明日はあの道を歩くんだと嬉しくなる。絵本の挿絵のように青い屋根のヒュッテも見える。着いたらゆっくり寛ごう。
妙高山と黒沢湿原
屋根が八角形の黒沢池ヒュッテ
 10月8日

 下山の朝を迎える。
 霧雨の中、外輪山を越えて妙高山を目指す人もいるが軟弱組は登らず下山する。
 退職後、初めて東北へ山旅した帰り道、急に思い立ち燕温泉からピストンで登っているので諦めも早い。
 昨日見下ろした湿原の中の1本道は雨に濡れた木道で滑り易く慎重に進む。他に人影は無く富士見平で往路と合流する。登りで十分堪能した筈だが、歩を進める度に見事な紅葉の景色が現れ下りもたっぷりと時間がかかってしまう。たった2日間で紅葉はいっきに進んだようだ。
紅葉真っ盛りの十二曲りを下る
 正午前、無事笹ヶ峰キャンプ場に帰り着く。
 肉離れのMの足も打撲の私の足もゆっくり歩いたので大丈夫だ。
 予定では今日の内に雨飾山の登山口である長野県小谷村に移動であったが、無理は止めて明日は移動兼休養日にあてる事にする。そうと決まれば火打山ともゆっくりお別れ出来る。見上げる雨上がりの稜線は遠来の登山者を労っているのか、真っ白な霧氷だ。
 帰宅後I先輩に電話をかけると懐かしそうに当時の事を話してくださった。
 燕温泉~妙高山~黒沢池ヒュッテ~火打山~笹ヶ峰と縦走しておられたようだが、当時は山行中に他の登山者に出会う事は殆ど無かったそうだ。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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