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秋のクライミングツアー(雌鉾岳、比叡山)
山行日  平成27年9月20日~22日
メンバー  高田、藤崎
天 候  晴れ
行 程  9月20日
 15:00宇部~小石原~杖立~南阿蘇~22:30鹿川

 9月21日
 6:50鹿川キャンプ場~7:25取り付き7:40~11:40雌鉾岳頂上~13:30鹿川キャンプ場
~比叡山展望所駐車場

 9月22日
 8:00取り付き~11:20比叡山Aピーク~12:20比叡山駐車場13:00~(高千穂温泉)
~21:10宇部
雌鉾岳南面全景
 クライマーの端くれとしての自分自身を振り返るときに、宮崎の岩場はその出発点である。そしてまた、未熟な自分に対し、クライミングの技術をはじめ、岩と向き合う姿勢や楽しみ方まで幅広く教えてくれた、「山の師匠」三浦さんとの思い出の場所でもある。
 今回は、かつての「若手」二人が「師匠」への報告を兼ねて宮崎の岩場へ。
 9月21日

 第一日目は、鉾岳南面へ。
 鹿川キャンプ場ではクライマーらしき数人が準備中なのを横目に取り付きへ進む。
 駐車状況から判断すると、おそらくは一番乗りのはずとタカをくくって、ゆっくり登っていると、後ろから3人が追い上げてくる。取り付きまでは後10分ほどだが、追い上げる方が明らかにスピードアップしたため、仕方なく、こちらも全力で駆け上がる。
 静かな先着争いを制した我々は、息を切らしているのを悟られぬよう準備を整え、意気揚々と登攀開始。
1ピッチ目は快適なスラブ登攀
 今日のルートは「大長征」ルートである。
 既存の「美しいトラバース」ルートと「大滝左」ルートをつなぎ合わせた、鉾岳南面の中央スラブを目いっぱい使って登る人気ルートだ。
 取り付きから2ピッチ直上し、さらに2ピッチ右上すると中央バンドの末端に達する。この4ピッチまでは概ねⅣ級程度の快適なスラブ登りだ。
 以前はプロテクションが乏しく多少は緊張した記憶もあるが、いつの間にかしっかりしたボルトが整備してあった。
まさに美しいトラバース
 ここからは、ルート名の由来となったスケールの大きなトラバース(横断)だ。
 今回は忠実にバンドを辿ることとする。ここも5,6ピッチと快適につなぎ、中央バンドの右端へと継続する第7ピッチへと進む。
 ここで藤崎が痛恨(?)のルートミス!
 バンドの右端だと思ってピッチを切ったが、実はここは、別の「KYC」ルートの5ピッチ目の確保点で、目標の大滝左ルートはまださらに右手7m程度進んだところにあったのだ。
間違えた確保点
 もちろんそれに気づくのはもう少し後のことである。
 間違えたことでグレードは上がったが、さすがは百戦錬磨の高田、すぐに態勢を立て直し、グイグイと強引に登っていく。(実はⅥ+)
テクニシャン高田の本領発揮
 ようやく間違いに気付いた藤崎が、草付きのバンドに到達した高田に右に移動するよう下から指示する。
 しかし、まだこの時点でも本来のルートには戻れておらず、今度は「KYC」と「大滝左」の間にある「庵の滝」ルートに入り込んでいた。
 間違いに気付かないままトップを交代し登ろうとするが、Ⅴ+の快適なスラブ登りのはずが、どうにもスタンス、ホールドともに乏しく、一歩が踏み出せない。『腕が落ちたか?』『年齢から来る体力低下か?』『師匠に報告できない』いずれにしても情けなさで一杯になりながらも、米粒ホールドで耐えながら岩の結晶に立ちこみ、そろそろと伸び上って行く(実はⅦ+。知っていれば登らない)。
     
細心に大胆に
 A0を入れながら支点を3つほど過ぎたあたりで、ようやく間違いに気づくが、もう登るしかない。
 傾斜が緩くなる大きなフレークの手前でカムを使って確保点を作りピッチを切った。その後は残り2ピッチをサクっとこなして山頂へ。
 予定では余裕のルート選択のはずだったが、終わってみれば途中の2ピッチを間違えたおかげで充実した登攀となった。
     
充実感?の頂上
 9月22日

 第2日目は、場所を移して比叡山「第1スラブ・ノーマル」ルートへ。
 第1スラブ・ノーマルは、比叡山の岩場が初めてトレースされた記念碑的なルートである。実は二人ともこのルートを登ったか定かな記憶がないが、おそらくは、我々の師匠の三浦さんは間違いなくこの比叡山を代表するルートに連れてきてくれているはずだ。ということで、三浦さんとの記憶を呼び起こしながら登攀を開始する。
(なお、当日はカメラを持参しなかったため画像がありません)
 さて、ほどなく第1スラブでは核心となる3ピッチに到達する。
 好天の下、高田「師範代」がカンテ沿いを登っていく(Ⅴ-)。中間の張り出したピナクル状のところを右に回り込む部分は少し緊張するものの、ダイナミックに越えていく。
 続く4ピッチ目は亀の甲スラブ (IV+)。小チムニーを2メートル程度登りハングに突き当たったらバンドを右にトラバースするところが微妙だが、それをクリアすれば後はフリクションの効く快適なスラブ登り。
 その後の残り4ピッチを味わうようにして登り、あっという間に終了点に到達した。
 しかし、実にすっきりとした高度感が味わえる好ルートだ。
  終了点では、三浦さんの大きな手とガッチリ握手したことなどが思い出される。ルートの記憶を呼び起こすことはできなかったが、気がつけば、三浦さんのさわやかな笑顔が秋空に浮かんでいた。
( 写真:高田、藤崎 /文:藤崎 )
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