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西赤石山~西山~綱繰山周回
山行日  2015年5月12日~14日
山 域  愛媛県新居浜市法皇山脈
天 候  13日 快晴   14日 曇り一時雷雨
メンバー  L 斉藤(宗) 三浦(比) 斉藤(滋) 会員外(Ay・ Iy)
行程  12日   宇部(10:00)~ 新居浜市内泊(16:00)
 13日   新居浜市内ホテル(4:45)~ 日浦登山口(6:05)~ ダイヤモンド水(7:10)
~ 銅山越(8:15)~ 西赤石山(10:15-10:20)~ 兜岩(10:50-11:00)~
三連橋 ~ 銅山峰ヒュッテ(13:30)
 14日   銅山峰ヒュッテ(5:05)~ 銅山越(5:50)~ 西山(6:20)~ 
綱繰山(7:05)~ 土山越(9:00-9:30)~ P1482手前引き返し(10:00)~
土山越 ~ 大永山トンネルコース分岐(11:05)~ 大永山トンネル登山口
(11:45-12:40)~住友フォレスターハウス~ 日浦登山口(14:00)~ 宇部(21:20)
 12日
 台風一過の青空を信じて雨の中出発する。
 今日は登山口近くでテント泊の予定だったが、6号台風の到来でやむなく新居浜市内のビジネスホテル泊まりに変更する。
 予報では好天は13日と14日だけなのでアケボノツツジを訪ねるなら後にずらす訳にはいかない。山頂付近のアケボノツツジは今が盛りらしい。台風で落ちなければいいが。台風と共に走り無事ホテル着。明日の晴天を信じて早めに休む。
 13日
 10日(日)は登山口駐車場は混雑したらしい。早めに到着し、ゆっくりと身支度を整える。
 台風が去った後は予想通りの快晴、5年ぶりに懐かしい別子銅山(産業遺産)を巡る山道へと踏み出す。前回山行(2010年)は山岳雑誌《岳人》で発表する機会にも恵まれ、我が家にとってひと際思い出深い山行となった。その折、岳人掲載を我がことの如く喜んでくれた山仲間Ayさんと、Iyさんが今回は一緒だ。というのも2人が申し込んでいた「西赤石山バスツァー」が中止となり、それならばと急遽持ち上がったのが今回の山行だ。2人には満開のアケボノツツジを見て欲しい。

 出発から間もなくして接待館跡、醸造跡、劇場跡・・・と別子銅山の近代化遺産が次々と現れる。初めてのAyさんとIyさんは熱心に案内板を覗き込む。今は石垣やレンガ塀だけが残っているが、案内板には往時の建物の写真が載っていて興味深い。
別子銅山 接待館跡
 ダイヤモンド水、歓喜抗で冷たい湧水を飲み、美味しいおやつも口にする。このメンバーだと痩せるつもりが逆に+αになるのは承知の上だ(残りの人生、好きな物まで我慢することはないと思い始めた → 開き直り)

 輝く若葉の下ゆっくりペースで銅山越に到着し、西赤石山へと続く展望の尾根道を行く。足元にはアカモノ、ツガザクラの白い花が今を盛りと咲いている。それにしてもアケボノツツジは中々現れない。
銅山越から西赤石山への稜線を行く
  西赤石の山頂が近づいて来る。心の片隅にあったもしかしての淡い期待は消え去り、4年前のあのピンクの大斜面が虚ろに思い浮かぶ。枝の先に辛うじて残っているアケボノツツジを見つけて「よかった、見ることが出来て」とカメラを向けている2人。足下には耐えきれなかった花びらが散っている。
台風一過の明るい登山道を行く
 山頂で一休みして兜岩に向かう。
 足場の悪い急斜面を下ればアケボノツツジのトンネルが続く筈だった。今回のハイライトである兜岩から望む西赤石山の北斜面もピンク色に染まっている筈・・・。昨日の6号台風が一夜で景色を変えたのか。いくら目を凝らしてもピンク色は見つからない。地元新居浜からという登山者が「10日に登った時があまりに綺麗だったので、もう一度見たくて来たのに」とぼやいておられる。
緑一色の西赤石山 3日前はアケボノツツジが美しかったらしい
 満開のアケボノツツジに大喜びの仲間・・・そんな瞬間を思い描いて大外れ、かなり落ち込む。優しい仲間たちは若草色の山肌を眺めながら「新緑が綺麗!」「写真で見た光景を重ね合せて見ているから大丈夫」と案内役を気遣っている。大きな台風とも思えなかったが、自然の威力をまざまざと感じる。

 静かな兜岩を後にし銅山峰ヒュッテに向かう。東平(とうなる)方面に下り途中の分岐を左に取る。かって蒸気機関車が走っていたという上部鉄道跡(海抜1000m)のこのコースは山側に今も石垣が続き、谷側はすっぽりと落ち込んでいる。
 橋台を残し崩れ落ちている三連橋を見上げながら沢床を渡る。難なく渡ったMと比呂子さんが心配そうに見守っている。少し増水(?)した流れに落ちないよう、おばさんトリオは慎重に足場を選ぶ。よかった無事渡れた。覆いかぶさる新緑の中に赤い屋根のヒュッテが見える。
上部鉄道(蒸気機関車が走っていた)跡の登山道
 久しぶりに会うヒュッテのおばちゃんは前より若い。ご主人を亡くされ長いこと落ち込んんでおられたそうだが、気持を切りかえようやく立ち直ったとのこと。ご主人の後を継いで1人で小屋を守っておられる。「70才になってダメになりました」と弱音を吐くと「年を口にしてはダメ、負けてしまうよ」と喝を入れられる。元気を有難う! 一口だけどお土産に宇部の《あさり最中》抱えて来たよ。

 ヒュッテの前でお茶を楽しんでいると近づいて来た中年パーティー、下りですれ違った元気なおじさんトリオだ。ヒュッテにお泊り?と思ったら真顔で「迷ってしまい、どっちに下るか分からない。教えてください」とのこと。エッ?! 信じられない。バッチリ決った登山スタイルはどう見てもベテランだが。地図で説明しようとしたら不携帯、Ayさんが差し出してくれた地図を渡すだけでは不安になり最寄の分岐まで同行する。おせっかい癖が出て目的地へのルート下山を確認し引き返す。ヒュッテの宿泊者は我ら5人のみ。気兼ねなく過ごせる。
ヒュッテ近くに今年も咲いていた 四国カッコ草
 14日
 「勝手に出るので起きないで」と伝えていたが起こしてしまった。出発の間際に1人1人お抹茶を立てて送り出してくださるおばちゃん。おかげで身も心もシャキッと引き締まる。「又、お会いしましょう」と別れたがいつまでも元気で居て欲しい。こんな寂しい山中でたった1人、厳しい冬も越しておられるようだ。「山が好きだから。ここが好きだからね」別れ際のおばちゃんの言葉だ。

 少し肌寒い中、銅山越めざして登る。今日の予定は未定(?)当初、綱繰山~土山越~ちち山の分れ~一ノ谷越~なすび平~中七番~日浦登山口の周回を考えていたが、事前の情報によれば一ノ谷越~なすび平のコースは崩壊し通行不能とのこと。さりとて冠山~平家平~中七番と大きく周回は時間的にかなり厳しい。

 取りあえず銅山越から土山越へと向かう。昨日は遠く石鎚山まで見渡せたが今日の天気は今いち、予報より早く崩れるかもしれない。アケボノツツジは終わったが、真っ白なツガザクラやアカモノがそこ彼処に咲いている。銅山の開発で一度は死んでしまった山も人々の努力で再び息を吹き返し、見事な花園に蘇っている。
     
アカモノ
 今にも落ちてきそうな天気だが、ちち山への稜線上のP1482まで頑張ることにする。
 土山越手前の分岐から大永山トンネル登山口に下るので、分岐から先は引き返し、気分的には楽だ。前回アケボノツツジに彩られていた登山道も緑一色、単調な登りが続く。P1482への急坂に喘いでいると先頭を行くMの足が止まる。「あれ? 降り出した」慌てて雨具を取り出す。遠くで鳴り出した雷がドンドン近づいて来る。「止めるよ。引き返そう」Mの決断にみんな即同意。やっぱり雷は怖い!
     
大永山トンネル登山口に沢沿いを下る
 トンネル分岐から清らかな沢沿いを下る。通り雨だったのか小降りとなり恐怖の雷ももう鳴らない。急な法面を慎重に林道へと下る。大永山トンネルを行き交う車の音が聞こえる。後は県道47号を6km頑張り日浦登山口に帰るだけだ。
     
新緑に囲まれ昼食タイム
 《西赤石山に出かければ見事なアケボノツツジが見られる》そう思って出かけたが、意地悪台風に邪魔されてしまった。毎日が日曜日の年金生活、ここぞ!と的を絞って出かけてもままならない自然の力。「何度でも何度でも来てね。待ってるよ」満開のアケボノツツジに囲まれるおばちゃんの笑顔が思い浮かぶ。 
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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