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ハナタテ岩(日向神マルチピッチ)
山行日  2015年5月2日(土)
天 候  快晴
メンバー  高田、藤崎
行 程  3:30宇部発~(添田、小石原経由)7:30奥日向神キャンプ場~8:00取付き~
12:40終了点~13:50下降終了 14:30駐車場発~18:50宇部着
ハナタテ岩全景
  ゴールデンウイークの初日、昨年からハマっている日向神のマルチピッチへ。
 正面壁(スピンネフリーライン敗退)、中央稜、東稜に続き、オジサンズの本日の目標は、ハナタテ岩。
 事前の情報収集では、ルート図は九州大学山岳部の作成した古いトポ(全8ピッチ)はあるが、最近の記録では、そのうちの上部3ピッチのみの記述がほとんど。
 同行する高田は、三浦師匠と以前登ったことがあるとのことだが、10年以上も前のことで、記憶も定かでない。
 午前7時半、道端エリアを過ぎ、赤テープに導かれて、道路から河原へ降り、川を渡ると、あっけなく取付きへ到着する。大体クライミングなんてものは、取付きまでのアプローチが核心だったりして、かなりの時間を費やすことが多いが、今回は時間にして約15分というお手軽さだ。
 しかし、見上げると両サイドを雑木林に挟まれた中に真っ直ぐに伸びるスラブは、一面苔に覆われている。さらにありがたいことに、朝露をたっぷりと含んだ苔は、北側斜面て乾くこともなく、ぬめりを帯びていやらしい程だ。
苔に覆われたスラブ
 さて、そんな状況でも、先発の高田は、ためらうことなく斜面に取付き、慎重に大胆に、するすると難なくクリアして、ピッチを切る。1ピッチ20メートルほどだ。
 後発の藤崎はといえば、いや、どうしてどうして、そんなに簡単にはいかない。まるでフリクション(摩擦)に効かない苔の斜面は沢登りのようだ。本来のグレードは高くはないが、苔のおかげで感覚的にはグレードが0.5アップした感じだ。おかげで大胆さなどまるでなく、あくまで慎重にフォローする。
 2ピッチ目はさらに苔の度合いがアップして、苔のない部分を探すのが困難な程だ。トップを交代して藤崎が取り付くが、苔が少しでも少ないところを探して行くしかない。1点だけ左側のブッシュに逃げ、再び戻るが、ついに行き詰まる。わずかな窪みに張り付いた苔を手でこすり落とすと手が緑色に染まる。こする、こする…まだ落ちない。全て取りきれるわけもないが、妥協するしかない。祈るような気持ちで、スタンスに乗り込む。効いた。繰り返すが、グレードは高くはない、でも、心臓の鼓動のグレードは確実にアップする。
 振り返ってみれば、この1、2ピッチが核心だったろうか。
 3ピッチ、4ピッチは苔も少なくなり、こうなると平凡なスラブ、難なくクリア。5ピッチ目は、ルート図ではA1となっているが、A0で十分突破できる。
 ここからは、一旦ブッシュに入る。左側の踏み跡を辿るとハナタテ岩の上部壁の基部に飛び出す。正面のルンゼからはなぜかトラロープが垂れ下がっている。
ハナタテ岩上部基部
 ルート図では、このルンゼではなく、右上してカンテへと進むようになっている。あるようなないようなピンに導かれて右上していると、下からクライマーが登って来た。「古いルートを登っているのか」との問いを投げかけ、さらに基部を右側に回り込むように進んで行った。どうやら、最近は新しくルート整備がされたらしい。
 一旦、クライムダウンして、岩場を右側に回り込んで、ブッシュの中でピッチを切る。
 後発者が岩に取り付いたため、順番待ちすること約40分。再び登り始め、彼らが登った本来のルートに合流するが、強引に割り込んだため、次の支点までの距離が遠く、なかなかの緊張感。
強引に正規ルートへ
 行きつ戻りつしながら、最後は右側のカンテに思い切って飛び出して本来のルート乗り込む。先行した後発者の一人が先週整備したばかりというステンレスの立派なビレイ点をありがたく活用させていただく。
 このピッチを含めた上部の3ピッチがこのルートのハイライトと言えるだろう。すっきりとしたスラブはスタンスも取りやすく、5月の快晴の下、快適そのもの。なお、50メートルのロープであれば、2ピッチで十分可能。12時40分終了点に到達。
     
快適なスラブ
 同ルートを懸垂下降2回で基部に到達する。装備を解いて、踏み跡を下って行くと20分程で河原に下りることができた。
     
終了点からの下降
 ハナタテ岩は、初心者でも十分に楽しめるルートであるが、下から登る際には、ぜひ、苔落しのタワシを持参されることをお勧めしたい。
( 写真:高田、藤崎 文:藤崎  )
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