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雪の比婆山縦走
ブナの純林を行く
山行日  2015年2月15日
天 候  曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋) 会員外(Ay・Iy・ Mt)
行 程  宇部(5:35)~中国道~ 県民の森公園センター(9:05-9:40)~ 出雲峠(10:30)~
烏帽子岳(11:15-11:30)~ 御陵(12:20-12:45)~ 越原越え(13:10)~
池ノ段(13:50-13:55)~ 立烏帽子駐車場(14:23)~ 笹尾根 ~ 
展望園地(15;40-15:45)~ 県民の森公園センター(16:05)
 予定通り宇部を出発し一路比婆山に向かう。
 休憩時間も節約し3時間半で着いたものの県民の森公園センター近くは満車状態、少し引き返し駐車する。天気予報は数日前からしっかりとお日様マークが出ていて青空雪山ハイクが出来る!と信じていたが、見上げる空に太陽は無く薄雲が冷たく広がっている。 

 殆んどが前期高齢者のこのパーティー、気持ちは前向きだがラッセルも前に進むかな?
 お正月の敗退ですっかり弱気になってしまったが、出雲峠に向かう林道は除雪済でホッとする。
 除雪は旧若人の家の前で終わりだがトレースは出雲峠へと延びている。おかげで予想より早く出雲峠に着き休憩中の男女のペアを追い越す。良かった、今日はピークを踏めそうだ。
烏帽子への登り
 荒涼とした烏帽子の頂はガスっていて寒々としたモノトーンの世界だ。
 山頂標識は完全に雪の下。登頂の喜びより緊張感の方が大きい。
 例年ここまではトレースがあってもこの先はいつも自前のラッセルだった。果たして今日は? 御陵への登りに備えワカンを装着していると、出雲峠で追い越したペアがスノーシュウで颯爽と通り過ぎて行く。自前ラッセルの出番はこれで無く、緊張感が薄らいでいく(以前は先を越されたと焦ったものだが)ワカンを履き終え行動食を口にし準備OK、鞍部に向けて一気に下る。

 昨年の正月は家族3人で交代ラッセルしたが、御陵への登りはしっかりと踏まれており有難い(ワクワク感<安堵感優先状態になっている)さらに嬉しい情報も舞い込む。男性2人のパーティーとすれ違ったが、彼らは昨日笹尾根経由で登り立烏帽子の避難小屋に泊まったそうだ(ということは頑張れば笹尾根を下れるかもしれない)
御陵に到着
 順調なペースで御陵に到着。
 二つ目のピークに立てホッとする。殆んど雪に埋まっている案内板の前で記念写真に納まる。
 さぁお昼としよう。先行のスノーシュウのペアも休憩中なので声をかけると、尾道からのご夫婦で笹尾根を下る予定とのこと。我々もこのままスキー場に下るには時間が早すぎる。ラッセルが無い分少しでも長く歩きたいと頑張ることにする。お腹も満足出来たし張り切って池ノ段に向かおう。
池ノ段へ向かう
 ブナの純林を快適に進む。今シーズン初めて雪山を歩くメンバーは楽しそうである。
 越原越えまで下ると丁度2人の男性が分岐を管理道へのルートに入って行くところだ。正月にMと2人で挑み敗退した管理道。あの時諦めた越原越えに辿り着け今日は幸せ。
冬のブナ林
 さてここから池ノ段への急登が始まる。
 トレースは右よりに2本山腹を巻くように延びている。十分の積雪なので最短で直登できるのだが、今日の湿った重い雪はラッセルに時間がかかるだろう。(笹尾根を下るには時間に余裕が欲しい)少し長く歩いてもトレースを辿る方が楽と判断する。
 先行していた尾道のご夫婦もどう行こうと迷っていたようだが我々の後に付いて来る。2本のトレースに高度差が出始めた所で上のトレースに乗り換える。Ayさんが張り切ってラッセル。

 トレースは高度を上げながら左方向へと向きを変え尾根を行くようになる。先行者はなぜ直登しなかったのか?
 こんなに迂回するぐらいならラッセルしても直登の方が早かったかもなぁ? そう後悔しつつふとあることに気づく。この尾根はいつか自分たちが池ノ段から御陵に向かった時、間違って入ってしまった支尾根ではないだろうか(直ぐに気づき修正したが)多分このトレースは池ノ段から幅広の斜面状尾根を下る時、誤ってこの支尾根に入ってしまい山腹を巻きながら修正されたものではないかと思う( 帰宅後自分達が以前間違って入った尾根であることが確認できた http://ubealpine.fc2web.com/22houkoku/12-hibayama.html )
     
雪の比婆山周回
 池ノ段に近づくにつれガスが濃くなる。
 迂回コースで疲れてしまい先頭と間が開いてしまう。おまけに左大腿部に違和感が・・・と思ったら来た!! 太腿の内側が攣って激痛が走る。毎度のことだが何度経験しても痛みに慣れることは無く微動だに出来ない。少し痛みが和らいで後を追うと池ノ段の方位盤を囲んでメンバーと尾道のご夫婦が迎えてくれる。
 ガスが増々濃くなり目前の立烏帽子さえ見えない。先はまだ長いのでコンパスを笹尾根にセットし池ノ段を後にする。
     
林道は雪の下
 立烏帽子との鞍部まで下り山腹を巻く林道に入る。といってもどこが林道なのか見た目には分からない。
 先行者のトレースを有難く使わせてもらい快調に進む。がまたしても憎い悪魔が襲って来た! 我慢しようにもどうにもならず呻きながら立ち止ってしまう。後ろの尾道のご夫婦には先に行ってもらうが、メンバーは心配そうに振り返っている。「ごめん。足を引っ張って。追いつくから先に行って」と言ったって行ける筈がない。本当に申し訳ないと自分に腹が立ち「こんなボロ脚いらない」と悪態を吐く。
雪に埋もれた立烏帽子の避難小屋
 今まで痙攣は何度となく経験したが、1山行中せいぜい1~2回で特効薬のツムラ68番で治まっていた。今回はいったいどうしたことだろう。治まって100mも行かない内に襲われたり、右脚だったり左脚だったり、恰好悪くて襲われても気づかれないようにしたいのだが到底無理!Mも手の施しようが無いと途方にくれている。

 先日の安蔵寺山山行の折、医師である村上副会長に「痙攣はなぜ起こるのですか?」と訊くと「体の様々なバランスが崩れてしまうのも原因で、若ければ直ぐに回復できるんですがね・・・」と言い辛そうな回答をいただいた。ならば思い当たることがある。最近、夜遅く甘い物を口にする癖がつき胃をこわしたため、昨日はまともな食事が摂れなかった。メンバーには口うるさく「風邪ひかんように気をつけてね」と偉そうなことを言っておきながら自身の健康管理は全く出来ていない。今更悔いても仕方がないが本当に恥ずかしいし、痛い!!!
笹尾根を下る
 痛みと闘いながらようやく展望園地に到着。
 此処からは楽勝と思ったら何故かトレースが消えたようだ? かなり前を先行していたご夫婦が左右に別れ、声をかけあってルートを探している。無雪期の林道歩きのイメージが浮かんでいたがここも跡形もなく雪に覆われている。ある筈の物が見えないと少し焦るが最後の最後に与えられた自前ラッセルのチャンス、公園センターに向けてコンパスを慎重にセットし、誰も踏んでない雪面に踏み出す。途中振り向くとメンバーの後ろにご夫婦の姿もある。進行方向の樹間には公園センタ―の建物が見えて来た。
 「雪と戯れるだけでいいから」とプレッシャーを感じていた私を気遣ってくれた山仲間。トレースの御蔭で予定以上に歩け、青空ではなかったが雪景色も十分楽しめた。
 公園センターの夕食時、喜ぶメンバーの顏を見ながら内心ホッ! でも私は楽しみにしていた極上のワインを飲む気になれない。
 歩きなれた比婆山だから、気ごころ知れた仲間だから・・・と何処かで甘えていた。ちょっとした油断が取返しのつかない事態になりかねない。いつもは優しい比婆山から《げんこつ一つ落とされた・・・》そんな気がしてならない。
( 文:写真 斉藤(滋)  トラック図 斉藤(宗) )
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