へのリンク
紅葉の山を訪ねて(会津駒ヶ岳  福島県桧枝岐村)
水汲みから帰る
山行日  2014年10月4日
天 候  曇り時々小雨後晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  10月3日
新潟県南魚沼市清水集落の民宿(9:00)~ コインランドリーで洗濯・スーパーで買い物 ~ 
福島県桧枝岐村民宿(16:25)泊

10月4日 
民宿(6;05)~ 登山口駐車場(6:20)~ 水場(8:20-8:45)~
 駒ノ小屋(10:20-11:00)~ 会津駒ヶ岳山頂(11:15-11:25)~ 
駒ノ小屋(11:45-12:10)~ 水場(13:40-14:00)~ 
登山口駐車場(15:30)~ 会津坂下IC ~ 阿賀野川SA(19:55)車中泊
 内  容

 いつか福島県桧枝岐村から尾瀬の燧ケ岳と会津駒ヶ岳に登りたいと願っていた。
 新潟県の苗場山巻機山に登れたのでチャンス到来。頑張って長年の夢を果たしたい。
 ところで燧ケ岳、会津駒ヶ岳、どちらを先に登ろうか・・・。少し迷ったがまだ登っていない駒ヶ岳を優先する。山頂近くの駒ノ小屋に泊まればゆっくり登れるだろう。
 自宅を出る前訊いた宿泊予約状況では10月4日(土)以外は空いているとのこと。このままでは4日登山になりそうだが・・・。
 10月3日

 南魚沼市のガソリンスタンドでコインランドリーを教えてもらい洗濯中にダメ元で駒ノ小屋に電話する。
 結果やはり4日(土)は満室とのこと。自宅出発の前にみた民放の《尾瀬燧ケ岳と会津駒ヶ岳》登山の番組では駒ノ小屋のオーナーの奥様が映っていた。画面のままの気さくな奥様にはコースの様子を伺ったりアドバイスをいただいていた。期待出来ないがキャンセルがあれば知らせて欲しいと頼み込む。
 洗濯を終え、さぁ乾燥と思ったら支払うコインが足らない。慌てて傍の店に駆け込んで1袋250円のリンゴを購入する(7個も入っている安い!)

 4日に日帰りピストンは厳しいが、5日に日延べすれば台風17号接近で登れないかもしれない。覚悟を決めて当初の駒ヶ岳~富士見林道~大津岐山~キリンテ周回コースを断念しピストン日帰りに変更する。
 スーパーで買い物を終え車に乗り込んだ途端に携帯が鳴る。駒ノ小屋からだ。「斉藤さん。キャンセルがありました」やったー! 再びスーパーに駆け込み宿泊用の食材を追加購入する。駒ノ小屋は素泊まり専用で食事は出ない。さぁ福島県は桧枝岐村へ直行だ。

 桧枝岐の観光協会に探していただいた民宿S屋の駐車場には北九州ナンバーの車。S屋の客は2組のみでTさんご夫妻も明日、駒ヶ岳に登られるとか、歳も近く目的も同じとあって食事後も大いに話が弾む。(亭主関白に仕える苦労話で奥様と意気投合、あ~スッキリした)
 10月4日

 朝が早いので林道のかなり上に駐車でき、日帰りのTご夫妻を見送り身支度を整える。
 2日分の食糧と防寒着で今日もザックはパンパンだ。そうだ駒ノ小屋の奥様に買い過ぎたリンゴを持って行こう。登山口の階段を上り山道に入るといきなりの急坂だが、小屋泊まりなので焦らずゆっくり登れる。
 それにしても会の大先輩の高田さん、こんな急坂をスキーで登られたなんて凄い!
   http://ubealpine.fc2web.com/22houkoku/21-komagadake.html

 土曜日とあって前にも後ろにも登山者。抜かれることはあっても抜くことは無い。
 色づいた美しい林。苗場山、巻機山と紅葉はたっぷり堪能したが駒ヶ岳には駒ヶ岳の紅葉が待っていた。青空ならもっと映えるだろうが残念なことに降ってきた。濡れると厄介だ。急いで合羽を着る。
紅葉いろいろ
 コース中唯一の水場に到着、空になったペットボトルを手に1人で水場に下る。
 頭上は黄葉のトンネルで登り返しも苦にならない。駒ノ小屋は天水なので水はしっかり担いで来たが、500mlならまだ担げる。やはり天水より湧水の方がいい。
ダケカンバの下を行く
 傘を差したり畳んだり写真を撮りながらのんびり登り、樹林帯を抜け草原の木道を行く。
 辺り一面深い霧で今日一日は持つと思った天気の予報は大きく外れてしまった。台風が近づいているのだろうか?
 のんびりペースの我が家と反対に、時折出会う下山者の足取りは何かに追われるように速い。こっちも次第に速くなる。
アカモノの実
 Tさんご夫妻が下りて来た。たった一晩のご縁だったがご主人が名残り惜しそうに霧雨の中別れの挨拶をされる。昨夜は本当に楽しかった。また、何処かで会えますように。

 賑やかに話声が聞こえて来る。駒ノ小屋に着いたようだ。駒ノ大池の畔のベンチで大勢の登山者が休んでいる。
 我が家は早速、霧に浮かぶ駒ノ小屋を訪ねる。戸を開け声をかけると出て来られたのはオーナーの奥様「いけませんね。こんな天気で」と言われる。さらに「明日はもっと悪くなるかも・・・」とも。もう台風の影響が出始めたようだ。
 少し行動食を口にし荷物を預けサブザックで山頂に向かう。霧はさらに深くなり足元の朽ちかけた滑り易い木道を踏み外さないよう慎重に登る。
霧の山頂
 急な階段を登ると地味な山頂に到着、数人の人が記念写真撮影中だ。
 晴れていれば名だたる山々が見えるのだろう。つい先日放送のテレビ画面では山頂一帯の美しい湿原風景の中でたくさんの登山者が憩っていた。
 残念ながら霧は晴れそうにない。楽しみにしていた中門岳への縦走もその気にならない。早く小屋に引き返そう。(小屋へ帰る木道の上でチョロチョロする茶色の野鼠に出会う。あまりの可愛さに飼ってみたいとM。危険を察知してか巣穴に逃げ込む)
野鼠に出会った木道
 駒ノ小屋に帰り着き最新の天気情報を伺う。残念だがこの天気どんどん悪くなるらしい。
 宿泊キャンセルを気兼ねしながら申し出ると、即OKどころか「富士見林道経由の下山は途中痩せ尾根があるので今日は止めてこのまま往路を下った方がいい」とアドバイスまでいただく。
 泊まるつもりで頑張って運んだ食糧と水、このまま担いで下るのもシャクだ。蒲鉾、胡瓜、トマト、ミカン等と2Lの水を小屋に引き取っていただく。そうだ、お土産のリンゴも渡さなければ・・・。下山の荷を軽くするのが第一の目的だがご主人の「助かります」の一言。良かった!少しでも役立てば。
泊まる予定だった駒ノ小屋
 そういえば2年前大朝日岳に登った時の避難小屋泊まりも雨。あの時は不自由な避難小屋で1日中沈殿したが、その後満天の星空、山形の街灯り、晴天の山々を見ることが出来た。
 しかし今日はそうはいかない。相手は台風だ。名残り惜しいが安全第一で行くしかない。余りそうな行動食を多めにお腹に詰め込み下山を開始する。

 濡れた木道の下りは登りより緊張する。ゆっくり下っていると霧が流れ目の前が明るくなる。登りでは全く見えなかった草原が広がって行く。振り返れば小高い丘の上にぼんやりと駒ノ小屋が浮かんでいる。
 霧のピークを踏んだだけで終わってしまった駒ヶ岳からのせめてものプレゼントかな。
霧が晴れる 駒ノ小屋が霞んで見える
 今朝、登ったばかりの山道を下りながらこれからのことを話し合う。台風がどのような速度でどんなコースを進むのか予想もつかない。近年のゲリラ豪雨がここ桧枝岐を襲うとは限らないが桧枝岐は山深い地だ。万が一にも孤立すればマイカーの旅なので動きが取れない。山旅の途中信じられない御嶽山の事故も起きた。ここらが潮時かも知れない。
紅葉の樹林を下る
 結局初めての福島県側からの尾瀬入りを断念する。
 天気の崩れない内に桧枝岐を出る。そうと決めれば慣れない夜道の運転は避けたい。温泉でさっぱりしたいところをグッと我慢しザックを車に押し込み桧枝岐を後にする。
 一つの山に登るため時間と日にちをかけた今回の山旅。
 年々衰えて行く体力だが、有難いことに時間だけはある。山で過ごす時間が長ければ、その分これからは山とじっくり向き合えるだろう。今まで見過ごしていた何かを見つけられるかもしれない。
 年と共に弱気になっていく自分達を少し励ましてくれた上信越の山旅だった。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗)・ 斉藤(滋) )
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu