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紅葉の山を訪ねて(巻機山  南魚沼市)
輝く草原
山行日  2014年10月1~2日
天 候  晴れ時々曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  9月30日
湯沢町中央公園駐車場(8:25)~ コインランドリーで洗濯・スーパーで買い物等 ~
 南魚沼市清水桜坂駐車場(13:35)車中泊

10月1日 
桜坂駐車場(6:00)~ 5合目(7:20)~ 前巻機(10:10)~ 
避難小屋(10:20-10:40)~ 巻機山々頂(御機屋)(11:10) ~ 
最高地点(11:25-11:30) ~ 巻機山々頂(11:40-12:00) ~
 割引岳(12:30)~ 巻機山々頂 ~ 最高地点 ~ 牛ヶ岳(13:45)~
 巻機山々頂 ~ 避難小屋(15:00)~ 水場往復 ~ 避難小屋(15:15)泊

10月2日
避難小屋(8:05)~ 7合目(9:15)~ 桜坂駐車場(12:00)~ 南魚沼市散策 ~
清水集落民宿泊
 内  容 
  関越道の下り、湯沢町を通り過ぎると車窓から見え始める美しいシルエット。
 巻機山は自分には程遠い山、眺めるだけで憧れのまま終わる山だと思っていた。ガイド本の歩行時間は10時間半。体力度は4段階の3。2人合わせて140才以上の軟弱ペアでは登れそうにない・・・。がある時、山頂近くに避難小屋があることを知りはたと閃いた。無理して1日で登らなくとも小屋に泊まって2日かければ登れるかもと。少し不安だが俄然ファイトが湧いて来た。
 9月30日

 苗場山登山を終え、2日間の移動休養日を予定していたが、天候悪化の兆しが出て来たので予定を1日早め巻機山登山口の清水集落に向かう。南魚沼市の資料をもとに1軒の民宿(U屋)を訪ねる。ご主人(元遭難救助隊長)が親切に応対してくださり、天気も2日間は大丈夫と太鼓判を押されたので、気分は上々下山後の宿泊を予約する。

 時間は早いが登山口の桜坂駐車場に向かう。明早朝の出発準備も完了し下山して来る登山者と情報交換に忙しいM。隣のトヨタハイエースの持ち主に中を見せて頂き羨むことしきり。ご自分で改造されたという出し入れ自由の食卓、引出しなど。中でも楽に寝られる1人用のベットが気に入ったらしく「いいですね」を連発。「すみませんね。付録がいて狭くて」と言いたくなる。今回Mも車内用ベット(補助)を作り今までより広く寝られるようになったが上には上が。

 夕闇が迫る頃下山して来た若者に、写真のシャッターを押してほしいと声をかけられる。聞けば朝8時に埼玉の自宅を出て、昼の12時頃からトレランで登って下りて来たとか、信じられない! そんな彼から「山口から車でですか?お元気ですね」と持ち上げられ、歳を訊かれ答えるとさらに驚かれ、おだてられていると分かっていても、なんだか嬉しくなる(単純)退屈もせずあっという間に日が暮れる。
 10月1日

 2年ぶりの避難小屋泊まり。調理器具、シュラフ、マット等でいつもよりザックは重いが張り切って出発する。
 さすが紅葉の時期とあってウィークデーでも結構登山者がいて心強い。登山道はしっかりしていて歩き易い。昨日聞いた話では7合目からは素晴らしい紅葉だったとのこと楽しみだ。
霧のブナ林を登る
 民宿U屋のご主人の説明通り5合目、6合目と律儀に標識があり地図を出すことも無く7合目に到着する。噂通り紅葉は今が真っ盛り、赤や黄色で派手に迎えてくれるがうっすらと霧に覆われている。これから始まる前巻機への登りに備え一休みしよう。「明日の天気が心配」と思わず口にすると、たまたま居合わせた若者が直ぐにスマホを覗き込み「明日は雨ですね」と答えてくれる。U屋のご主人の予想は今日も明日も好天の筈なのにがっかり、今降っていないだけでもいいかと気を取り直す。
前巻機の紅葉
 霧の前巻機のピークを越え木道伝いのわずかの下りで避難小屋に到着する。数日前のNHKの番組《日本百名山一筆書き》の田中陽希さんがこの小屋で休んでいるのを見たばかりだ。早速中を覘くとテレビで見たより狭く感じるが綺麗でホッとする。

 部屋の隅にザックを置きサブザックの身軽なスタイルで山頂に向かう。霧がかかっているが、明日の好天が約束されている訳ではないので今日の内に山頂を踏んでおこう。稜線まで頑張るといきなり巻機山山頂の標識が現れ数人が周りのベンチで食事中だ。いわゆる御機屋と言われる地点で最高地点はここから右(北東)へ少し行った所、左(北西)に30分行けば割引(わりめき)岳だ。
 Mは早や昼食モードのようだが、取りあえず最高地点までと誘う。殆んどの人が御機屋までで止めるのは今日の天気のせいだろう。我が家も小さなケルンがポツンと一つあるだけの最高地点を後にして御機屋に引き返す。
霧の湿原
 今なら十分下山可能だが、スマホの予報通り雨になったとしても安全に下山できそうなので、予定通り小屋泊まりしよう。
 下山を急ぐ登山者が消え寂しくなった山頂(御機屋)から割引岳に向かう。霧は中々晴れてくれないが、山肌を染める赤や黄色の自然の色模様や足元の小さな花々に思わず立ち止まる。ひと気のない割引岳のピークに立ち、長い間諦めていた巻機山の頂にいることを幸せに思う。
かわいいイワショウブ
 何処を見ても人っ子1人居なくなった道を御機屋に向かっていると突如霧が流れ鮮やかに山並みが現れる。晴れた! 凄いこの景色、思わず声を上げたが共に喜ぶ人が周りに1人もいない。急いで先を行くMを追いかける。御機屋からこのまま下山?(もったいない)少し期待しながら御機屋に登り返すと既にMは最高地点に再び向かっている。やったね!嬉しくなり後を追う。
割引岳から御機屋に引き返す
 2度目の最高地点からの眺め、黄金色のビロードを敷き詰めたように広がる草原。見たことも無い美しい光景に思わず口に出る。「もったいない!!」眺めているのは自分達だけ・・・と思ったら若い男性が2人やって来た。牛ヶ岳分岐から引き返して来たとのことだが「急いで下山しなくて良かった!」と笑顔が弾ける。本当だ。共に幸運を喜び合う。
 
 下山を急ぐ彼らと別れ牛ヶ岳まで足を延す。山頂標識を過ぎ最高地点まで行ってみる。巻機全山を見渡すようにひっそりとある遭難碑、碑文からご家族の悲しみが伝わって来る。そろそろ避難小屋に帰るとしよう。
牛ヶ岳に向かう
 小屋に帰り水場に向かう。枯れることはないと聞いてはいたが、もしかに備え必要最低限度の水は担いで来た。思い切り贅沢に使うため3Lのポリ袋とペットボトルを2本を携え足場の悪い沢に下りる。音を立てて流れる清流、確かにこれなら枯れることはないだろう。

 小屋の外で静かな晩餐。柔らか目のご飯が好きなMが湯を注いだオジヤのような五目御飯、麺入りのスープ、海藻サラダ、鯖の缶詰、前期高齢者パーティーが持ち上げたささやかな夕食だが私にとっては超贅沢。アウトドアだけ張り切るMシェフのお任せ料理だ。(家でもお願いしたい)

 この広い巻機山で夜を越すのは2人だけ。することも無く早々にシュラフに潜り込む。と突然「今日は!」と威勢のいい挨拶で男性が1人現れる。薄暗くなってまさかの同宿者に慌てて荷物を引き寄せる。下山中の2人から避難小屋泊まりの我が家の事を聞いたとのこと。既にシュラフに入っていたので遠慮されたのか2階に上がられたのでそのまま就寝。
 10月2日

 昨夜の男性はご来光を期待してか暗い内に荷を片付け出発される。我が家も朝食前の散歩でひと登りしてみよう。嬉しいことにスマホの予報が外れ青空が広がっている。朝日に輝く山肌・・・。眺めているのは2人いや3人だけ。
朝日に照らされる前巻機と避難小屋
朝食の準備をする
 今朝は自分でα米に湯を注ぐ。質素な食事でも朝の陽を浴びて輝く巻機山を眺めながらのご飯は最高に美味しい。小屋泊まりして本当によかったと思う。備え付けの箒で掃除しバイオトイレの使用料を箱に入れる。最後に小屋の管理をしてくださっている巻友会への感謝をノートに記載する。

 もう思い残すことは何一つ無い。一晩過ごした避難小屋を後に下山する。
( 文:斉藤(滋) 写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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