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紅葉の山を訪ねて(苗場山 新潟県湯沢町)
黄金色に輝く草原
山行日  2014年9月28~29日
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  9月26日
宇部自宅(6:25)~ 益田 ~ 戸河内(10:35)~ 中国道 ~ 舞鶴若狭道 ~ 北陸道 ~
尼御前SA(18:15)車中泊

9月27日 
尼御前SA(6:55)~ 上越IC ~ R253 R17 ~ 苗場山登山口(15:30)車中泊

9月28日 
登山口(6:40)~ 和田小屋(7:00)~ 下の芝(8:40-8:50)~ 中の芝(9:40-9:55)
~ 神楽ヶ峰(10:45)~ 雷清水(11:10)~ 苗場山々頂(12:35)~ 
山頂ヒュッテ(12:40-13:50)~ 山頂台地散策(13:50-16:10)小屋泊

9月29日
山頂ヒュッテ(7:00)~ 神楽ヶ峰(8:30)~ 和田小屋(11:45)~ 登山口(12:00)~
湯沢町中央公園駐車場 車中泊
  内  容
 スキーの山と思っていた苗場山、初めて山岳雑誌でその姿を知った時の驚きと感動。以来私の憧れの山となった。
 昨年の秋ようやく訪れるチャンスが巡って来たが、私の不注意な怪我でご破算になってしまった。今年こそあの広大な山頂湿原を歩いてみたい。期待に胸を膨らませ出発の準備をする。
 9月26日

 益田で所用を済ませR191を走り戸河内ICで中国道に乗る。
 吉川から舞鶴若狭道に入り、楽しみにしていた開通間もない小浜~敦賀間を走る。神戸、大阪の都市部を通ることなく北陸、東北方面に向かう事が出来るようになったお蔭で今までより楽に宿泊予定地の尼御前SAに到着する。
 9月27日

 上越ICで北陸道を下りR253経由で南魚沼市の道の駅《雪あかり》に向かう。市の観光課に送って頂いた資料の中で、一番先に目についた魚沼産新米のご飯、《雪あかり》の食事処で食べられそうだ。タイミング良く昼時に到着し、早速信濃サーモン定食を注文するが期待が大き過ぎたのか、自宅のご飯との違いが分からない。

 湯沢町のスーパーでアイスボックス用の氷、今夜の夕食など購入して苗場山の登山口に向かう。分かり難い経路は湯沢町観光課から頂いた資料のおかげで迷うことは無い。しかし延々と続く狭い山道、対向車が来ないかとヒヤヒヤしたが無事に到着しホッとする。

 土曜日の所為か駐車場は満車状態で道路脇にも並んでいるが、運よく好場所をゲットし一安心する。次々と下山して来る登山者は一様に疲れ顏で山の大きさを感じる。夕暮れの中、若い男性が背中と両手にリュックで下山し、から身で再び引き返して行ったが、薄暗くなって若い女性2人と下山して来たのに驚く。手強い山なのか?自分達は山頂で小屋泊まりするので、ゆっくりと無理なく登れる筈だが。周りに灯りの無い車中泊の夜空は満天の星! 久しぶりに天の川を見る。
 9月28日

 まだ夜が明けない内に車が上がって来る。暗い中を出発のパーティーもいるようだ。我が家は山頂ヒュッテ泊まりなので、焦ることも無くゆっくりと朝食を摂り出発する。山頂ヒュッテは営業小屋で寝具、食糧を担ぐ必要が無いので助かる。と言いながら今回も2人共ザックはパンパン、非常事態に備え余分な物を持つ癖が直らない。

 和田小屋を過ぎ樹林帯に入ると早速紅葉のお出迎えである。今から写真撮影で立ち止ってばかりでは前に進めないと思いながらも、次々と変わる景色についつい手はカメラに・・・。しかし登山道は岩がゴロゴロ、足元を疎かに出来ない。
紅葉の登山道
 下の芝で見事な紅葉に見惚れる。これから先どんな景色が待っているのだろうか? 
 歩き始めて3時間、下山中の男性から「あと5分、絶景が待っていますよ!」と声がかかる。そろそろ休みたいと思っていたところなので俄然元気になる。
 突然視界が開け先を行くMが「うわっ~!」と歓声を上げる。紅葉に囲まれた中の芝のベンチで沢山の登山者が休んでいる。
中の芝展望所に到着
 紅葉を眺めながら梨で喉を潤し、元気を回復し出発する。上の芝を通り過ぎ稜線に上がり尾根伝いに神楽ヶ峰に到着。ようやく苗場山が目の前に現れる。あいにく山上部は薄っすらとガスに覆われているが堂々とした姿はさすが百名山、引き込まれるように見つめる。あとひと頑張りだ。

 雷清水で冷たい水を飲みペットボトルにも補給する。いったん鞍部に下りいよいよ最後の登りにかかる。かなりの急坂だがゆっくりをモットーに、一歩ずつ焦らずに行こう。傾斜が緩み木道が現れ、一面の霧の世界に包まれる。

 広々とした草原のそこかしこに可愛い池塘が見える。一つ一つ覘いて見たいが木道を外れるわけにいかず、カメラを向けてズームアップ。憧れの苗場の頂についに立てた喜びがジワジワと湧いてくる。そうだ!この広い台地の何処が山頂? 月山での失敗(最高地点の神社には登ったが、山頂に行きそこねた)を繰り返さないようガイド本の記述を思い起こす。在った。目立たない場所にこじんまりと立っている苗場山々頂標識、たまたま居合わせた親子連れと記念の写真を撮り合う。着いたばかりと思うがもうすぐ下山されるとか「明日は学校なので泊まれないんです」とお母さん。
苗場山々頂湿原
 山頂ヒュッテで宿泊の手続きをし、割り当てられたスペースで荷物の整理をする。飲み物と行動食をサブザックに詰めいざ頂上湿原へ! 
 雑誌で見た通りの広大な景色がドーンと目の前に遮る物なく広がっている。取りあえずヒュッテから緩やかに下る木道を行く。日曜日で沢山の登山者がいたのにみんな何処に消えたのだろう? 見渡しても人影はチラホラ大半の人がピストンで下って行ったのだろう。何時間もかけて登ったのにもったいない。自分達は体力が無いから(日帰りピストンはきつい)ヒュッテに泊まるのだが、体力が無くて良かったかも(負け惜しみ?)なまじっか元気ならアタフタと息を弾ませ、アクセク無理をして下っただろう。

 苗場神社の近くで遅い昼食を摂る。何だろう?この静けさ。2人きりなので当たり前なのに、ここは本当に紅葉真っ盛りの日本百名山、苗場山?と思ってしまう。そこの木立から熊でも現れそうな・・・不思議な感覚だ。夢ではない。「来てよかったなぁ」とめずらしく素直なM。いつもなら「こんな畑、田んぼ歩いてどこがええか」と息巻く筈だが。
お弁当タイム
 あまりの静けさに寂しくなりヒュッテに向かう(すぐ近くの坪場まで行けば、もっと絶景だったらしい)台地の頂上部にあるヒュッテ辺りからは無数の池塘が見えるが木道を外せないため近づけない。
 赤湯温泉方面へ下れば池塘を間近に見られるかもしれない。ダメ元でMに声をかける。「何処も同じじゃろうが」と予想通りの返事ながらの同行に思わず「ビール1本ね」と口に出る。沢山の池塘を間近で見ることが出来、満足々々。
青空を映す池塘
 夕食時、食堂のテレビで御嶽山の事を知る。居合わせた全ての人が遭難された方々、ご家族のことを思い言葉も無く画面に見入る。山は美しくたくさんの事を与えてくれるが、時としてこんなにも非情になるという現実・・・。遭難された方々のご冥福を祈ることしかできない。
 9月29日

 ヒュッテの近くの小高い場所でご来光を見る。待つ時間が長くあっけなく登った太陽が台地を朱く染め始める。
苗場山の朝
 何事も無く明けた静かな苗場山の朝。昨日の信じられないテレビの映像が頭にちらつく。この穏やかな光景の中に居ても何処か心は落ち着かないが、自分なりの折り合いをつけ山旅を続けるとしよう。下山したら真っ先に心配性の姉に電話しなければ。昨日同様マイペースでゆっくり下る。
苗場山々頂を振り返る
上の芝付近を下る
 燃えるような紅葉と青く輝く瞳のような池塘。天上の楽園、苗場山の美しい光景とそれに重なる悲しい出来事・・・。忘れることはないだろう。
( 文:斉藤(滋) 写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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