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西穂高岳~槍ヶ岳縦走
山行日  2014年8月2日~9日
メンバー  井之上(単独)
行 程  8月2日
  自宅6:00~新穂高無料駐車場19:30~車中泊

 8月3日
  起床5:30~新穂高ロープウェイ7:45~西穂高口8:20~西穂山荘9:35~11:00
独標12:20~西穂山荘(テント泊)

 8月4日
  起床2:30~西穂山荘8:00~ピラミッドピーク直下11:00~西穂山荘13:15(テント泊)

 8月5日
  起床3:00~西穂山荘4:20~西穂高岳6:30~西穂山荘8:20~
新穂高ロープウェイ10:15~平湯温泉13:30(車中泊)

 8月6日
  起床2:30~あかんだな駐車場3:00~5:25上高地5:45~横尾8:15~
涸沢11:15(テント泊)

 8月7日
  起床4:30~涸沢5:30~穂高岳山荘8:05~奥穂高岳8:35~9:00穂高岳山荘9:20~
涸沢岳9:55~12:53北穂高岳13:00~飛騨泣き14:25~A沢のコル15:17~
長谷川ピーク15:54~キレット最低鞍部16:13~獅子鼻岩17:40~南岳小屋18:00~
(テント泊)

 8月8日
  起床4:30 ~南岳小屋5:50~南岳6:40~中岳7:53~大喰岳~飛騨乗越8:50~
槍ヶ岳山荘9:06~槍ヶ岳9:37~槍ヶ岳山荘10:00~播隆窟11:15~
天狗原分岐12:12~ババ平13:22~横尾15:20~上高地17:50~
あかんだな駐車場18:40~平湯の森19:15~(車中泊)

 8月9日
  平湯温泉2:30~飛騨清見IC~自宅17:00
 内 容

 かねてから憧れであった北アルプス穂高~槍縦走。
 梅雨もあけ夏空の縦走路を期待していたのだが、雨が続き西穂~奥穂間は断念。西穂高岳をピストンして下山したが、翌日上高地入りし奥穂~槍を縦走した。
 8月2日  (雨後晴れ)

 
自宅を出発後、高速では雨が降る中ひた走り、岐阜に入りようやく天気が回復してくる。
 19時過ぎに新穂高温泉無料駐車場到着。長時間の運転の疲れもあり軽乗用でくの字になり就寝。
 8月3日  (曇り後雨)

 
朝起きた時点では快晴であった空も次第に曇りだす中、ロープウェイに乗り西穂山荘を目指す。
 テント受付を済ませ、独標をピストンし翌日に備え早めに就寝。
 8月4日 (雨後曇り)

 2:30起床するも雨の為停滞を決定。
 雨で濡れた岩稜帯の状況を確かめるため明るくなってからピラミッドピークまで偵察に行き、テン場にて今後の予定を考えて過ごす。
 8月5日 (雨後曇り)

 3:00起床。
 今日も雨の為西穂~奥穂を断念し西穂高岳ピストンして下山。
 翌日からの予定も考え装備を確認して「あかんだな駐車場」へ向うが、車中泊が出来ない為平湯の森にて温泉に入り、新穂高方面の駐車場にて車中泊。
西穂高岳山頂
 8月6日  (雨時々晴れ)

 2:30起床。
 駐車場に向かい上高地行きの始発バスに乗車。6:00前に上高地に到着。
 まだひと気の少ない遊歩道を進む。時々小雨が降り濡れたまま横尾まで進むが、本谷橋より先の登りでペースが落ちる。
 涸沢カールが見えてきてもそこからが地味に長く感じた。
 雨脚が強まる中涸沢ヒュッテに到着。テント受付を済ませテントを張り出すと雨も止みテン場周辺を散策する。
 小屋泊の方がそのまま穂高岳山荘まで進むのを見ながら自分の体力のなさを痛感する。しかし、初上高地にして憧れの涸沢に来られたことは素直にうれしかった。気になる今後の天気も翌日のみ晴れで予定を考えながら早めに就寝する。
涸沢カールのテン場
 8月7日 (晴れ時々雨)

 4:30起床。
 晴れているが稜線はガスに覆われたままで縦走は諦め、奥穂ピストンする。
 横尾経由で槍に向かうか悩みながら朝食をとっていると次第に稜線が見え出したのであわててテントをたたみ縦走に出発する。朝日に照らされたお花畑を進み、雪渓をキックステップで登りザイテングラートに取り付く。
 ひたすら登り続けやっと穂高岳山荘に到着。
 早速荷物をデポし奥穂高山頂を目指す。
 山荘より見える鎖場と梯子を越えると後は山頂までだらだらした登りが続く。途中ちょっとした渋滞はあったが山頂はガスの為展望はないが貸し切り状態であった。
奥穂高岳山頂
 直ちに山荘へ引き返すが、またしても渋滞にはまる。
 山荘に戻り荷物を回収し涸沢岳に向かうが、ガイド登山御一行が先行しており、その最後尾に加わる形で登頂。
 一人ずつ山頂で記念撮影するのでなかなか進まないが逆にいい休憩になったと思う。ついでなのでガイドさんに写真をとっていただく。
涸沢岳山頂
 山頂より北穂方面に縦走する人はおらず、ガスの尾根を進むと長い下りの鎖場にたどりつく。
 覗き込むと高度感がありすぎてひるむが時間をかけゆっくり下る。
 ガスが濃くなり涸沢槍付近でルートをはずれてしまう。
 踏み跡が無くなり引き返し、空身になりルートを探すと簡単に見つかった。どうやらペンキマークを勘違いして踏み跡をたどった為に起きたようだ。疲れの為か。
 一息入れガスの中ひたすら鎖と梯子の下降が続き、最低コルに到着後はひたすら北穂に向け登り返す。
 ガスの薄暗い中、滝谷ドーム横を通過し南峰をまいて北穂高山頂に到着した。
北穂高岳山頂
 水の消費が激しく涸沢~北穂間で3Lを飲みきっていたため小屋で水を補給する。
 軽く行動食をとり先を急ぐ。すると北穂小屋の端まで進むと雨が降り始めた。今まで天気が持ってくれたことへの感謝の気持ちとこれからはじまるキレットに向かうガスのかかった長い下りを目の前にして複雑な気持ちになる。
 気持ちを引き締めて下りにかかる。濡れた岩稜の下りは疲れるが、基本の三点支持を守りながら手足のホールドがしっかりしたものか確認しながら丁寧に細かく下降を続けていく。

 飛騨泣きを見た時は、核心部だけあり極端に難しく感じ、あまりにも名前通りなので、思わずふきだした。
 雨の為鎖や梯子は濡れて滑りやすいがガスのおかげで高度感が無いのが良かったのか無事通過するが、まだまだ下降が続く。
 A沢のコルに着き再び登り返し長谷川ピークを通り過ぎるとキレット最低鞍部に到着。疲れていた為ここで大休止。

 テルモスのお湯でコーヒーをいれ、ガスの切れ間から見える景色を眺めて過ごす。
 気がつけば核心部を過ぎ雨も止んでいた。陽もだいぶ傾いてきた為、念のためヘルメットにヘッドランプを装着して出発。
 ペンキマークが見えなくても人が歩いている岩は周りの岩と明らかに違いがあり、次第にルート確認が楽になってくる。
 ガスの切れ間から時々今まで歩いた縦走路をふりかえりながら、南岳小屋を目指し高度を上げていく。
大キレットを振り返って
 2段梯子をのぼり鎖の連続があり半ば放心状態で登ると道標があり、夕日に照らされたガスの中に突然南岳小屋が見えた。
 早速テント受付を済ませ設営するが、雨の中素手で行動した為なかなかはかどらない。肩も腕も緊張から開放されたせいかパンプしている。辺りも暗くなりガスも濃く風も強くなる中設営完了し、小屋へ明日の天気を確認して水を調達する。

 小屋で売っていた「どん平衛」で一人静かに乾杯する。
 テントに戻り早目に就寝するが、まぶたを閉じると今日歩いてきた岩稜が浮かんできて寝付けなかったので、起きてしばらく明日の予定やルート図を確認して過ごす。しばらくして気持ちも落ち着いてきたので就寝。
 8月8日  (雨後晴れ後雨)

 4:30起床。
 やはり雨になっていた。台風の影響はまだないが今日は槍に登り可能な限り高度を下げる予定で出発する。
 昨日とは違い岩稜歩きも少なく展望はないが、快適な縦走路を黙々と前進すると雷鳥の雛に突然追い越される!!目の前には雷鳥の家族が自分に気にもせず食事に没頭している。正直なところ雷鳥がいることを完全に忘れていた。

 しばし観察をするが、縦走路を塞いでいる為慎重に歩を進める。
 雷鳥と行く先が同じなのかしばらく家族の後ろを歩く。時々雛が足元をうろつくので足元に気をつけながら先に進む、その後もまた別の雷鳥の親子と出会い、お花畑を進み癒されながら歩を進める。
雷鳥の家族
 気が付けば槍ヶ岳山荘に到着していたが、ガスの為か山荘からは「槍」が見えないので思わず山荘の名前をもう一度確認する。
 とりあえず山荘に荷物をデポし見えない槍の穂先を目指す。
 近づくにつれ次第にガスの中から槍のシルエットが見えてくる。ここではじめて槍に来た実感がわく。
 雨の降る中だが空身の為、難なく登頂する。だがやはり雨で濡れた梯子は怖い。

 雨の為自分を含め山頂は3人のみ。風も強く寒い為、他の2人は写真を撮ると即下山したが、自分はしばらく貸切の山頂を楽しむ。
槍ヶ岳山頂
 槍からおりて早速下山を始める。
 次第にガスも切れ視界も利くようになり雨もあがる。
 播隆窟まで降り槍を見上げるがガスの中で先を急ぐ。天狗原分岐下部に雪渓の下りがあり慎重に下る。
 ふと振り返るとサルが雪渓を横切りだす。真ん中辺りで座り込みしばらくすると対岸へ猛ダッシュして森へ消えていく。森の住人は動きが違う。
横尾到着
 やっと横尾に到着し大休止。
 横尾大橋を眺めながら二日前に通ったばかりとは思えないほど充実した時間を振り返る。
 行きで通った徳沢園にでもテントを張るつもりで行動開始。しかし大変混み合ったテン場を見て上高地まで進むことを決意する。
 足は痛むが目標ができ単調な遊歩道を久しぶりに使うポールで漕ぎながら進む。最後も雨が降り出すが、合羽は着ずそのまま上高地に到着。

 最終バス10分前の到着で思わず「間に合ったー」と大声を出す。
 最終バスは貸切で、バスの運転手からは「台風がまともに向かって来ているから、今日下山に間に合って良かったですね」と聞き、頑張った甲斐があったと思った。
 運転手曰く「上高地路線は交通規制にならない限り台風でも走らなければならない。乗鞍は風が強いと規制が出るが、十月過ぎると雪がいつ降ってもおかしくないのでそれが怖い」と言われていた。
 駐車場に着くなりこの後どうするか尋ねられ、「とりあえず平湯の森で温泉と飯です。」と答えると、運転手さんの前の職場ということで是非と薦められる。

 早速雨で冷えた体を温泉で温め、温かい食事を頂き下界のありがたさをしみじみ感じる。車に戻り就寝する。
 8月9日(雨後曇り)

 2:30起床。
 軽乗用では寝られないので出発。
 当初の予定ではそのまま立山、剱岳と続けるはずであったが台風が接近しているため帰郷することにした。
 高速に乗りお盆初日ということもあり、沢山の事故渋滞に巻き込まれながら17:00過ぎに自宅着。今回の登山が無事終了した。
 感 想

 今回は天気に恵まれず西穂~奥穂を断念したことは悔しさが残るが、後半の予定を消化できた事にホッとしているのも事実です。地元での歩荷トレや事前の安全登山講習会や沢登りに参加してきた事が非常に役に立ったと思います。
 また直前まで装備についてアドバイスを頂き、現地入りしても天候やルートの相談に乗っていただいた先輩方に感謝して止みません。大変お世話になりました。ありがとうございます。
 宇部山岳会に入らなければ到底成し得なかった山行が出来ました。今後も可能な限り挑戦して行こうと思います。
( 文・写真;井之上 )
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