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初冬の九重山を訪ねて②(白口岳・鳴子山・肥前ヶ城)
霧氷の白口岳を登る
と き  2013年11月12日
天 候  晴れ時々曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)  N(家族)               
行 程  法華院温泉山荘(8:10)~ 鉾立峠(8:40)~ 白口岳(10:00)~ 
稲星越分岐(10:25-10:35)~鳴子山(11:15-11:35)~
稲星越分岐(12:15)~池ノ小屋(12:45)~久住分れ避難小屋
(13:15-13:30)~肥前ヶ城(14:10)~牧ノ戸峠(15:45)
 内 容
 午前6時前、 MとNはまだ夢の世界のようだ。そっと部屋を抜け出し温泉に浸かる。まだ陽が昇っていないが今日は晴れそうな気がする。時間をかけて温まりさっぱりした気分で部屋に帰る。放っておいたら昼まで寝そうなNを起こし食堂に行く。ゆっくり眠れたからか3人とも朝から食欲旺盛、体調は上々だ。テルモスに熱々のお湯を頂き、昼に備える。

 朝食後、次々とパーティーが出発して行く。我が家はしんがりになりそうだ。今日は三俣山だけで下山のつもりだったが、願いが通じたのか頭上には透き通るような青空が広がっている。この天気なら昨日の行動不足を取り戻せそうだ。登り返しの北千里浜に向かわず鉾立峠経由で白口岳を目指す。

 目の前に広がる平治岳~北大船山~大船山は一面霧氷で被われている。紅葉には出会えなかったが、思いもしなかった光景に足取りも軽くなる。同宿のみなさんは他のルートに行かれたのか、鉾立峠から見上げる白口岳への登路に人影は見あたらない。

 鉾立峠、ここに立つのは何年ぶりだろう。とにかく懐かしい。立中山経由で大船山へ登ったり下って来たり、佐渡窪を経て沢水に下山したことも・・・。四つのコースの交差点である。小学生の頃、白口岳から下って来たことなどNは全く覚えていないだろう。
白口岳への登り 背景は平治岳・鉾立峠・立中山・大船山
 今日も寒さに備え完全武装スタイルだが、登るにつれ暑くなり武装解除する。
 標高は上がっても陽射しが暖かく、体を動かす分体温も上がる。厳しかった昨日に比べ、なんとも平和な一日だ・・・と思ったのもほんのひと時、辺りの様子が一変する。
 何処から湧いて来たのか、いつの間にかガスの中。急な冷え込みに慌てて着込む。
 さっきから頻りとぼやくM。なんでも自宅で準備中、ザックに入っていたホッカイロを「こんな物いらん」とわざわざ出して来たらしい。そのまま持って来ていたらホカホカと温かだっただろうね。
山頂まであとひと頑張り
 白口岳山頂直下の岩場に近づく。昨年の1月、牧ノ戸峠~久住山~稲星山~白口岳と歩き、鉾立峠に下ろうとして凍てついた岩場の下りに危険を感じ、わざわざ久住分れへと引き返した因縁の場所だ。今日は登りだし、凍ってもいないので不安は無い。
山頂直下の岩場を登る
 危なげなく岩場を通過し白口岳の山頂に立つ。とはいえNはともかく私に一抹の不安があったのか、無事岩場を抜けたのを確認したMが珍しく手を差し出し、3人で握手を交わす。
 「やったね!」360度の視界の中に全く人影が無く、絶景独り占め、いや3人占めである。稲星・久住・中岳と人気のピークが並んでいる。頑張れば稲星か中岳に登って牧ノ戸峠へ帰れそうだ。だが今日は帰る方向とはま反対に、ちょっと寄り道してみよう。
     
白口岳から稲星越へ下る
 朝の出発前に10年以上ご無沙汰の鳴子山に登ってみたいとMに頼んだ。
 Nにとっては初めてのピークとなるが、今まで踏んだ九重の主たるピークを殆んど覚えてなさそう(つまり関心が無い・・・)なので、何処に登っても同じかもしれないが。稲星越から東に針路を取り尾根伝いに下って行く。
     
鳴子山(左のピーク)への尾根に入る
 このところ急速に物忘れが酷くなったが、10年前の1度きりのコースを憶えている筈がなく、所々の段差のある岩場通過に緊張する。10年前はまだ今よりは体が動いていたのだろう。苦労した記憶が無い。MとNがスタンスとした枯れ木も私は重量オーバーしそうで乗れない・・・? しかし乗らないと進めず、運を天に任せた途端きしんだ嫌な音、危なかった。すれすれセーフに見守る2人もホッとする。思わぬ苦戦となったが鳴子山に無事到着。違う角度で大船山や坊ガツルを眺める。(懐かしんでいる傍でパンをかじっているNの姿は想定内)

 坊ガツルを流れる鳴子川は玖珠川となりやがては九州一の大河筑後川となって有明海に注ぐ。鳴子川の名の由来は源流が鳴子山なのか?と地図がまったく読めない頃勝手に思い込んでいた。
 標高が低くても凄い山だなぁといつしか憧れの山になっていた。Mの退職前の特別休暇でここを初めて訪れた。名だたる山々が連なる九重の中で、源流でもないのになぜ鳴子川となったのか?今も知らない。(不勉強)何かしらロマンを感じる山頂だ。

 さぁ下山は稲星越までの登りが待っている。登りも10年ぶりの景色を楽しむとしよう。残念ながら片ヶ池は干上がっている。秘密の場所のような小さな池、もう一度眺めてみたいと楽しみにしていたのだが。
     
鳴子山々頂を後に稲星越へ登り返す
 ひと気の無い東千里浜を突っ走り、池ノ小屋を通過して御池の畔に出る。
 登山シーズンは賑やかに人が行き交う人気のスッポトも、他には誰もいない。
 昨年の1月は凍りついた湖面の上を歩いたが今は暗く波打っている。間もなく周りの霧氷のように、いちめん真っ白になるだろう。
ひっそりとした御池
 久住分かれに近づく。ぼんやりと行き交う登山者の姿、朝の出発から初めて人影を見かける。ここは静と動の世界の分かれ目のようだ。今日も避難小屋に入って一息入れる。昨日は口に出来なかった冷たいブドウにもようやく手が出る。しかしNのザックの6個のミカンはそのまま持ち帰りとなる。
 完全に天候の読み違いである。今日の天気も相変わらず不安定で、晴れたり曇ったりを繰り返している。大半の登山者は久住山に登り牧ノ戸へと下って行くようだ。だが我が家はもう1ヶ所寄り道しよう。あいにくのガスで「止めよう」になるかなと内心覚悟したが、MもNも行く気のようだ。

 星生崎を下った所で肥前ヶ城への尾根に取りつく。西千里浜は毎年のように通るのに、目と鼻の先の肥前ヶ城まで中々足を延ばせない。もう15年も昔のことだが、肥前ヶ城の笹原を歩く2人を撮った写真が、職場の写真展で賞を頂いた。今も我が家の壁に架かっている。運がよければあの日のような光景が見られるかもしれない。

 広々とした笹原の肥前ヶ城はどこが山頂か分かり辛い。目立たない小さな標識が立っている。寄り道してみたが、あの日のような青空は無く、眼下に見える筈の久住高原の雄大な景色もガスに閉ざされている。寒がりの2人を待たす訳にはいかず、写真もそこそこに山頂を後にする。
 藪漕ぎは反って時間がかかりそうなので、忠実に往路を辿る。無駄足になってしまったのかなと思ったその時、ご褒美!ガスが流れて久住の三角ピークが顏を出して来た! 星生・天狗・中岳・稲星・・・次々とお出ましである。寒かったけど寄り道してよかったね。大きなプレゼント貰ったよ。
星生崎・天狗ヶ城・久住山を眺める
 近くに行きながら、いつも眺めてばかりの鳴子山と肥前ヶ城。久しぶりに訪れることが出来た。
 鳴子山も肥前ヶ城も、あの時とちっとも変っていないのに、10年以上の歳月には様々な出来事があった。いろいろと想い出しながら、今もこうして山に登れることを幸せに思う。 
 宿泊地ハゲノ湯に向かう《ファームロードわいた》から見る車窓の景色・・・紅葉の林が今を盛りに目の前に広がって来る。九重の期待外れを慰めてくれるように、紅く黄色く輝いて見える。 
(文:斉藤(滋)    写真:斉藤(宗)・ 斉藤(滋))
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