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北海道の山 ⑥ ニセイカウシュッペ山
見晴台から表大雪の山々を望む
と き  2013年7月22日
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)               
行 程  層雲峡キャンプ場(5:30)~ 古川林道終点登山口(6:25-6:45)~ 
西尾根見晴台(8:20-8:25)~ ニセイカウシュッペ山々頂(9:30)~
最高点(9:35-9:40)~ 山頂(9:45-10:10)~ 登山口(12:35)~
札幌 ホテル泊
 内 容

 十勝岳に登る前日、白金野営場で出会った登山者と情報交換中に「ニセ△□〇∟*#山に登りましたか?。大雪山の良い展望台ですよ」と薦められる。「すみませんが、もう一度お願いします。」「ニセ△□〇∟*#山です。」「ハア???」復唱したくても、聞き取れなくて出来ない。念願の利尻岳、大雪山に加え十勝岳を終え、Gの希望の旭山動物園にも行ったし今回の北海道の山旅の予定はほぼ終えた。しかしこのまま帰ったのでは勿体ない。クールダウンを兼ねてもう少し登るかと考えて、未だによく分からない名前の山の情報収集を始めた。
 昨夜の宿泊地は層雲峡キャンプ場。山に詳しくない管理人のおばちゃんから層雲峡のビジターセンターを教えてもらった。早速訪ねニセイカウシュッペ山に登りたいと告げると、年配の女性職員が応対され、地図や資料を出して登山口への林道の入り方(ゲートの解錠の仕方)林道の注意する分岐など、細々と説明される。どうやらこの方はこの山へ登ったことがあるようだ。昔は層雲峡から登るルートが一般的であったが今は廃道状態で、いったんR273号線まで出て林道に回り込むらしい。聞いて良かったこれで入山までは一安心である。

 しかしキャンプ場に帰り、夜の管理人からGが聞いた話では、「昨年の盆、このキャンプ場にヒグマ現れた。ニセイカウシュッペ山に向かう林道近くの沢に釣りに行くがヒグマを見かけたことがある。」とのことで心穏やかでない。2人用のチャチなテントでは心細く急遽予定を変更してケビン泊まりとした。4000円の出費は予想外だが仕方ない。
 何かの記事の《朝夕には熊に注意》を思い出したので、朝食は意識してゆっくり、たっぷり時間をとる。R273号線を東に走り、途中の中越から標識に従い山手に入る。未舗装(砂利道)の林道は13.4km(標識による)あり30分以上掛りそうだ。林道ゲートが現れGが鍵の数字合わせをしていると後続車が到着。ホッとし以後先行してもらう。我々と同じ中国地方ナンバーで驚く。深い山林の中、しかもウィークデーなので、熊との遭遇が気がかりであったが恐怖から解放され、土ホコリを舞い上げながら2台は進む。

 驚くことに終点登山口に中部地方ナンバーが1台駐車している。更に驚くことにもう1台到着した車は昨夜隣のケビンに停まっていた車だ。同じ山を目指していると分かっていたら熊の恐怖はほとんど無かっただろう。
 登山届をポストに入れ《熊注意!》の看板の横から歩き始める。(そういえば急遽登ることになったため、前日事務局の凡に電話をかけたGも山名を伝えるのにかなり苦労していたようだ。)登山道はなだらかでウオームアップにちょうど良いが 展望がきかず長く単調で飽きる。時々前方に山が見えるが周りが樹木で目的の山かどうかは分からない。だんだん尾根が細くなり、登り続けると大きく視界が開けてきた。右側には残雪を纏った大きな山塊が見える。ここが表大雪の展望台か。2000m越えのピークが重なり旭岳は同定できないが正面に黒岳が存在を主張している。左に辿るとロープウェイの切り開きが確認できる。足元は高山植物のお花畑である。
ツクモグサ
 この先で一人の下山者と出会う。
 「早いですね。」と声をかけると「下界より上が涼しいから、昨夜は登山口の駐車場に泊まった。」とのこと。ヒグマの恐怖は全く無いようで「北海道の山でヒグマを恐れていたらどこも登れない。」と涼しい顔である。
 改めて見ると精悍な顔と体つきの同年輩の方であり、スパッツなどは穴だらけである。咄嗟に返す言葉も無かったが慎重(過ぎる)筆者には納得できない。事故が起こってからでは遅すぎる。
     
ヒグマ談義
 目の前に大槍・小槍が現れる。
 幸いルートは大槍の西斜面を巻き気味にトラバースしている。巻き終わったコルに右側からの道がある。大槍の東側のトラバース道で層雲峡からの旧道らしい。
縦走路を振り返る
 行く手に山頂らしいピークが見え、登山道は緩やかでのんびり歩ける。登山道の脇にチシマギキョウが咲いている。
山頂(左)が見える
チシマギキョウ
 山頂は3グループで賑やかになる。
 筆者が山頂標識をみながら「下山するまでに、山の名前を覚えよう。」と言うと札幌の人が「この山は略称で《ニセカウ》と呼んでいます。」と教えてくれる。
 なるほど慣れてくれば少しづつ足して《ニセイカウシュッペ》を完成させればよいか。
 札幌のグループのメンバーから周辺のピーク名を教わる。天塩岳や平山は分かったけれどヒマラヤマ(実在のピーク名)と聞こえた後は???で後が続かない。
山頂からの大槍と表大雪の山々
なだらかな山頂付近
 大槍のコルまで下山して新たな単独行者(この方も札幌)に出会う。
 いつも登っておられるようで花の名前やピーク名を教わる。(トムラウシ山、忠別岳など)今のこの時期の花を見たくて札幌から日帰りだそうで彼の熱意と博学に感心する。
 頂上に向かう彼と別れて、のんびり花の写真を撮りながら下っていると、別の単独行者に追いつかれ又話し込む。
 彼は三重県の人で1か月前急に退職し、2日後に家を出て北海道の山旅を続けているとのことで、盆には帰ると家族に言って出たとのことである。筆者もかなり我がままだが、上には上がいると感心する。
 彼は会話中「ニセカウ」と言っていて、しっかりと北海道の登山者になりきっているようだ。
白樺林を下る
 花、白樺の並木等を楽しみながら、急ぎもせず登山口に到着したら、みんなに追い越されてラストになる。熊に出会わなくて幸いである。
 林道を下りゲートまで来ると札幌の単独行者がゲートを開けて待っていてくれた。「林道に新しいヒグマの大きな糞がありましたが、カーブした道の傍だったので見落とされたと思いますが。」この方は我々を心配して待ってくださったようだ。
 親切に感激して恐縮すると、「この近くでキノコを見つけていますので、それを採って帰るついでですから。ゲートは閉めますから行かれていいですよ。」とさりげなく言われる。お言葉に甘えて見送られ別れる。ありがとうございました。

 白金野営場で初めて知った山だが、いろいろな方のアドバイス、サポートで登ることが出来た。表大雪の大展望とお花畑が素晴らしい山だった。Gがビジターセンターの職員さんにお礼の電話をしていたが、無事下山を喜んでいただいたそうだ。
文・斉藤(宗)  写真・斉藤(宗) 斉藤(滋)
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