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北海道の山旅 ④ 大雪山(黒岳石室~北鎮岳経由~旭岳温泉)
雲の平のお花畑
と き  2013年7月19日
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(宗)、斉藤(滋)               
行 程  黒岳石室(4:50)~ 雲の平 ~ 御鉢平展望所(5:50-6:15)~
北鎮分岐(7:00)~ 北鎮岳(7:25-7:50)~ 中岳分岐(8:45)~
中岳温泉(9:25-9:45)~ 裾合平分岐(10:35-11:00)~ 
ロープウェイ姿見駅(12:45)~ 旭岳駅(登山口)~ 国設白金野営場(16:30)テント泊
 内 容 
 昨夕の雨雲が去って気持ちのいい朝を迎える。
 今日は北鎮(ほくちん)岳経由で昨日の出発地点である旭岳温泉に帰る予定だ。
 旭岳~黒岳~層雲峡と縦走できないこともないが、下山しても車が無い。出発地に帰るために、バスなど公共の乗り物を利用すれば、旭川経由となり時間もお金もかかる。(便数も限られているようだ。)車の回送代もタクシー代も高そうである。Gの友達のアドバイスもあり、結局一番安くつく自力で帰ることにした。御鉢平を挟んで反対のコースを歩けば、違った景色も楽しめるだろう。
 晴れていたら石室から直近の桂月岳へ登ろうかとも思ったが、今は空の透明度が今いちなので、ザックを背負って雲の平に向かう。
  
 右手に凌雲岳が近いが間に沢が有りこのピークへの道は見当たらない。
 雲の平は花の宝庫でコマクサ、チングルマ、キバナシャクナゲ、イワフクロ、ハクサンチドリ等が競って咲いている。いつの間にか青空になっていて、またまた撮影に時間を要す。しかし筆者のデジカメは電池切れ、以後Gのカメラを(遠慮しながら)時々借りる。

 緩やかに登ると御鉢平展望台に到着。眼下にカルデラの全貌が見える。
 数年前この中に親子のヒグマがいたそうで(石室管理人さんの話)何となく黒く動くものを探す。今日は何も動かず平和である。
御鉢平と昨日歩いた稜線
     
黒岳方面を振り返る
 北鎮岳を目指すには大きな残雪帯を登らなければならない。
 ベンガラで赤く着色したコース上に一人の下降者が見える。しかし残雪帯の真ん中で動かない。暫くして後ろ向きになり末端までそのままの状態で降りたようだ。
 我々もその取り付きで上を見上げて理由がわかる。傾斜がきつく終了点は見えない。幸い雪の状態は良く、登りでの恐怖感はない。半分を過ぎると傾斜は緩くなり余裕をもって雪田を抜ける。
北鎮岳東面の残雪を登る
 ジグザグの登り少しで、稜線上の分岐に到着。
 カロリー補給して、旭岳に次ぐ高峰の北鎮岳(2244m)に挑む。
 見た目より簡単に頂上に到達する。好天のもと360度の展望を楽しむ。
 ここから次に進む中岳・裾合平(すそあわせだいら)方面を確認する。距離はあるがなだらかで気が楽になる。
 おっとヒグマのことを忘れていた。 草木の無い外輪山伝いに進むと目立たない場所に中岳の標柱がある。この方向からはなだらかでピークらしくない。
北鎮岳を振り返る
 緩やかに下り中岳温泉への分岐は右にとる。
 下るにつれ段々植生が豊かになる。道の両側に這松が茂り先の見通しがあまり良くない。
 ヒグマは冬眠前の栄養補給に這松の実を大量に食べるらしい。今の季節、実は成熟していないので出会いがしらは無いだろうが、二人だけで無言で歩くのは不安である。(ここまで出会った登山者は一人だけ)二人とも示し合わせたわけでもないが、いつの間にか笛を手に交代で吹いている。

 道は沢に向かって急下降、途中で登山者一人とすれ違う。
 朝いちのロープウェイに乗ったそうでここまで約3時間、旭岳裾の雪田が長かったようだ。
 もう少し下にある中岳温泉の様子を聞いてみる。「温泉の辺りで、過去ヒグマ目撃情報があったそうですが・・・?」「ヒグマは見ませんでしたが人がひとり足湯に入ってました。」それを聞いて一気に不安が無くなり温泉目指して下る。しばらくすると単独登山者が「いい湯でした。」と汗を拭きながら登ってくる。

 温泉は沢の中に湧き出て、もちろん何の設備も無い。しかし湯加減は申し分ない。Gも足湯を楽しむ。
中岳温泉 足湯で寛ぐ
 ここからの下りは狭く急で残雪も多い。岩の間にエゾノリュウキンカの緑の葉と黄色の花が目立つ。
エゾノリュウキンカ
 残雪に動物の足跡があり、キタキツネのものらしい。
 凹凸の少ない緩やかな雪原が続き、霧が深いと迷いそうな所が次々と現れる。
 Gは真面目にコンパスをセットしながら歩いている。(もちろんトレースはあるのだが)10日前Gの友達がツアーでここを通った時、雨で視界も悪かったようだがガイドさんが迷い、一部引き返したらしい。
 今日は当時より雪は少なく見通せるので心配は全く無い。

 雪田が少なくなり土が現れ始め、所々チングルマやキバナシャクナゲの群生が美しい。
 再び這松や灌木が視界を閉ざす。裾合平が近いらしいが何年か前、この辺りでヒグマに襲われての死亡事故があったらしい。人影も無く何となくいやな道で、知らず知らず急ぎ足になる。
 木道が現れワザと足音高く歩いていると開けた場所に椅子がある。どうやら裾合平分岐に着いたようだ。
 カロリー補給を始めると姿見駅方面からの登山者が次々現れる。辺りが賑やかになり先程の不安は吹っ飛ぶ。
 
裾合平の分岐
 分岐を後にすると見通しが良くなるが 旭岳北西面の長いトラバースが続く。
 姿見平あたりから花の群生が現れ、またまた先に進めない。旭岳をバックにお花畑を撮りたいが上部は霧がかかっている。高山の写真撮影は10時頃までとはよく言ったものだ。(今の時刻は12時過ぎ)
山腹を彩るお花畑
 2日間 大雪山の一部を歩いてあちこちのお花畑を見たが総合的には、姿見平周辺が一番だろう。(そんな場所に居ながら筆者のカメラは電池切れ・・・アホ!ドジ!)

 観光客の賑やかな声が聞こえ始め、ロープウェイ駅に帰り着く。天候に恵まれ旭岳~北海岳~黒岳~北鎮岳~裾合平の周回山旅を無事終える。
 Gが出発前に泊まったD山荘の女将に頼み、快く日帰り入浴させてもらう。2日間の疲れもとれ、今夜はテント泊で充分だ。

 そろそろ休息日も必要だが、明日も天気はよさそうだ。とりあえず、十勝岳方面に向かうことにする。筆者が運転中、Gが電話で問い合わせ今夜の宿泊地が決まる。
 登山口に近い国設白金野営場に移動中の車から、またキタキツネやエゾシカの姿を見る。
文・斉藤(宗)  写真・ 斉藤(滋) 斉藤(宗)
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