へのリンク
祖母傾山縦走
と き  平成24年11月9日~10日
メンバー  福間、清木(周南山岳会)
天 候  9日: 曇り時々晴れ 10日:曇り時々雨
行 程  8日  宇部IC(21:00)~上畑健男社駐車場(翌1:00)

 9日  上畑健男社駐車場(6:00)~黒岩山(9:10)~前障子(10:05)~
大障子(13:05)~八丁越(13:54)~池の原(15:10)~ 宮の原(15:55)~
祖母山九合目小屋(17:00)

 10日 祖母山九合目小屋(6:30)~祖母山頂(6:50)~天狗岩(8:10)~
障子岳(9:45)~古祖母山頂(11:00)~尾平越(13:10)~尾平トンネル
(14:00)~上畑健男社駐車場(17:10)~宇部IC(翌2:30)
 
 目的
 
 今年5月、周南山岳会の方々がこのコースに挑んだ事に触発された清木さんが話を持ちかけてきた。
 かなりハードな縦走だが不可能ではないので快諾。本格的な縦走が久しぶりの清木さんも周南山岳会で鍛えているだろうが、歩く事に専念してもらう為、極力私が荷物を持つ事にする。

 
 9日 
 
 暗くて辺りが見渡せないが、鹿の防護柵沿いに尾根に取り付く。
 本来の登山口ではないなと思いながらも登り続けると、赤いテープが見え始めた。30分くらい登ると進路と別方向にやけに多くのテープが貼りめぐらされた場所に出る。
 地図上ではひたすら直登。「下るのはおかしいが、まあ行ってみよう。引き返せばいいか。」おそらく正規の登山ルートをひたすら登山口へと下っているのであろう、沢の音が近づき視界が開ける。
 間違いに気づき、足を止め元の場所へと引き返す。
 よく見ると、その先にも印しはあった。あの時は暗くて見えていなかった。それからは果てしない急登。
 しかし道もしっかりしていて、赤いテープが本当に多い。これを頼ってしまうのは悲しいが、安心感があり確実に前進することが出来た。
 一つ目のピーク(1204)黒岩山に立つと稜線に出たことを確信出来る展望がある。その先の前障子、大障子そして祖母らしき山も見渡せた。
 このまま順調に進めば小屋まで行けるねと話し前障子へ。ザックはデポして前障子ピークへピストンする。
やっと稜線
 ここから先は、それまで目障りな程あったテープが急に少なくなる。
 今度は踏み跡を頼りに行く。この素人目線がつくづく嫌になるが先を急がなければならないので仕方ない。
 何度も大岩を巻き同じ道を行き来している様に感じた矢先、道が途切れた。では反対の道かも知れない。しかしどの道もはっきりしない。ならばそういうものかと進もうとしたが、引き止められる。
 道なき道を行く事に慣れるとつい突き進んでしまう。迷ったら引き返すという基本を忘れてしまっていた。
 ルートに戻るが本来なら大障子に到着しているはずの時刻。ビバークも頭をよぎるが、まだ日は高い。とにかく前進。大障子岩に着くまではゆっくり昼休憩を予定していたが、時間に追われる今は素早くピークに立ち寄り、空腹を満たすと足早に縦走路に戻る。
 八丁越を過ぎた辺り、鹿の背の岩場は傾斜があってゾクゾクする。ビブラムソールならスキップも可能。しかし心躍る気分でもなかった。
無心の鹿の背
 池の原までも小休憩や展望も少し見ながら、時々間違った踏み跡を行き来したが、小走りも効いて大きな時間のロスはなかった。
 この時点で小屋まで行けると確信できたので、次の目標は日没までに到着する事。宮の原16時前、コンパスをしっかりセットし最後のスパートを掛ける。
 2人とも無心で小屋を目指すあまり、馬の背も殆ど気付かないまま通り過ぎたが、おかげで目標は達成出来た。
 
 この日のぺースなら翌日もつづら越小屋まで可能だったので、体力温存の為にも小屋泊に決める。
 いつもの倍速歩行で2人とも疲労していた。
 食後、二日目以降の天候と計画を見直す。翌日からの天候は重要で、最終日がひどい雨である事は分かっていた。しかし、翌日は何とか持ち堪えそう。また小屋泊でもいいので完歩しようと勧めるが、清木さんは天候を心配し、尾平エスケープルートを希望。それなら本谷山まで行きピストンをかけて尾平から下山しようと案を出す。
 ここまで頑張って、小屋まで泊れば欲が出る。一旦これで話を付けて就寝。 
 10日
 
 朝、小屋の扉を開けると感動的な雲海が目の前に飛び込む。ゆっくり堪能。
小屋からのご来光
 朝の感じからして「本谷山は諦めよう、直接尾平越からの下山なら時間的余裕があるので休憩も長めに取り、清木さんに前を歩いてもらおう」秘かに計画変更。
 
 重い足取りで祖母山頂へ向かい始めた。
 体調が悪いのかと聞くと気持ちが重いだけとの事。では頑張ってもらおう。
 山頂に着くと目前に天狗岩、障子岳が見え、遠くに当初の予定にあった傾山も見渡せた。「じゃあ小屋はあの辺かな。かなり遠いけど…」指を差しながらあーだこうだと言っていると、また歩きたいという衝動に駆られる。その上天候もまあまあ良い。
 気持ちを抑えながら縦走路に戻る。祖母山直下は慎重に下り、天狗岩もせっかくなので登ってみる。
 ガスも出始め祖母山ほどの眺めはないが、この日はじっくり縦走路や景色を楽しむ余裕があった。
 清木さんの動きが鈍くなったので障子岳手前で休憩を取る。甲斐あって古祖母山までは順調。初めてシャリバテを経験したようだ。
 古祖母山頂はガスガスだったが昼休憩を長めに取った。
振り返れば祖母山
 尾平越へ歩き始めると、今度は私の足の調子が思わしくない。
 以前から時々靴擦れが出来る登山靴で、他に履き慣れた靴もないので今回も使用した。
 靴の中で4か所違和感があり、痛みも増しスピードが落ちてくる。エスケープが決まっていたので歩くことが出来たが、結局私も縦走完歩は無理だった様に思う。
 尾平トンネル前と車道途中で下山者の方々から便乗のお誘いがあったが、自分達が決めた道なので当然お断りする。しかし日も暮れだす頃、またお声が掛かったので迷わす飛び乗る。
 
 感想
 
 反省点の多い山行だった。
 あのまま縦走を続行すれば三日目、台風並みの豪雨に見舞われ、私の足も悪化し遭難していたかも知れない。
 結果的には良かったと言う人もいるかも知れないが、リスクを恐れて何の挑戦もせずに戻った事が心残りだ。
 しかし今回は私一人ではない。パートナーの予想は的中したし、体力やモチベーションが同等でない人を強引に連れ回す事も出来ない。しつこく食い下がった自分の器の小ささを感じる。
 疲労からか清木さんは体調を崩し、帰りの道中、何度かパーキングに立ち寄った。配慮が足りず申し訳ない事をしたと思う。
 しかしリベンジは希望しているようだ。周南山岳会でもまた別の2人組が挑戦しようとしている(冗談かも知れないが)。負けられない。
 
( 文:福間  写真:清木 )
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu