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初秋の東北(山と温泉を訪ねて)
 5月に膝を傷めたため、夏山に出かける事も無く秋を迎える。山形県の朝日連峰に行くぞ!と張り切っていた相棒のMに申し訳ないと思いつつ、日々は過ぎる。
 治りそうで中々消えない微かな膝の痛みに、とうとう根負け。「膝が潰れるかもしれませんが山に登ってみます。」と通院中の整形外科、Ma先生に相談する。
 7月に転医して半月板損傷と診断されて以来、山に復帰できるよう親身に治療して下さったMa先生は、学生時代山に登っておられたそうだ。
 無茶をすると怒られて当然と思っていたのに、逆に励まして頂く。何より有難いのは、現地で症状が酷くなり受診が必要になった場合に備え、紹介状・DVD(MR検査の影像)を準備していただけたことだ。これで安心と思いながら、気になる事がひとつ、恐るおそる先生に訊く。「無理をして症状が重くなったら再起不能でしょうか?」
「それは無いですよ。」のMa先生の明快なお返事にパッと心が明るくなる。これで決まった!長い間待っていたMに言おう。「大朝日岳、行くよ!」
 月山不登頂記(?)
紅葉が始まった草原
と き  2012年9月21日 ~ 23日
天 候  
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋)
行 程 9月21日
 宇部自宅(10:15)~中国道・北陸道~ 賤ヶ岳SA(19:00)車中泊

9月22日
 賤ヶ岳SA(6:40)~日本海東北自動車道~R7~山形自動車道~
櫛引PA(16:30)車中泊

9月23日
 櫛引PA(6:35)~姥沢駐車場(7:40-8:00)~リフト乗り場(8:10)
~リフト上駅(8:25)~牛首(9:40)~月山神社(10:35-11:00)~
 牛首(12:00)~ リフト上駅(13:10-13:40)~
 姥沢駐車場(15:00)~ 大井沢温泉(15:40)泊
 内 容
 9月22日

 夕方、Mの憧れの山である大朝日岳・以東岳の登山口に近い鶴岡市に入る。天気予報によれば登山初日の23日は雨模様だ。大朝日岳に挑戦する日は長丁場なので、好天の日にしたい。明日雨だったらどうして過ごそうか・・・。出鼻を挫かれてしまったが、何もしないでぼんやり過ごすのも勿体ない。
 鳥海山が以外と近くに見える静かな櫛引SAで、車中泊をしながら家族会議をする。目と鼻の先に見える月山の頂を越えて雲が滝のように下りて来る。数年前、槍ヶ岳山荘から西鎌尾根を越える雲の滝を見て驚いたが、いま月山の滝は真っ正面に落ちている。(滝雲というらしい)

 「明日は月山に登ろう。」珍しくもめ事も無く2人の意見が一致する。本命の山に登れて、余力が残っていたらと考えていた山だ。8月の初めまでウォーキングも止められていたため、トレーニングと云えば空荷で鳳翩山に二度登っただけ。リフトで上がれる月山が足慣らしに良いかも知れない。
 いきなり大朝日岳へが無くなり少しホッとする。(月山で膝が潰れてしまったらアウトだが・・・。山旅 → 温泉巡りになりませんように。)
 9月23日

 姥沢駐車場は霧雨にもかかわらず登山者の姿がチラホラ見える。途中で穿くのは面倒なので雨具のズボンを着用しリフト乗り場へ向かう。悪天の所為か2人掛けリフトの前後に人影は無い。
 リフト上駅からガスの中第一歩を踏み出す。標高差数百mとはいえ、久し振りのビッグな山への挑戦で緊張する。おまけの山ということで予備知識は全くない。(つまり不勉強) 滑り易い木道を足元だけを見ながら黙々と登る。
霧の中登山開始 木道を登る
咲き終えた後のシシウド
 木道が終わり、岩礫の急坂になる。この足もってくれるかな・・・? 心配しながらも明瞭な登山道に導かれるまま進む。やがて尾根に乗り平坦道となる。
足場の悪い岩礫帯を登る
 霧の中、頂上小屋が現れ山頂が近いと知る。一本道を自然に進み、囲いの中の月山神社に到着、行き止まる。
 月山山頂ってこんな場所? なんかイメージが違うが、傍にいる若いカップルもここが山頂と言っている。キョロキョロ辺りを見回してもここより高い所は無い。
 信仰の山らしい山頂だなぁと変に納得し、写真を撮り小屋まで引き返す。
・・・がいまだしっくりいかず、小屋で会った5,6人のパ-ティ-に「あの神社がある所が山頂ですか?」と訊いてみる。「そうですよ。」やはりそうか、でも何なんだ?この何とも言えないモヤモヤっとする変な感じは・・・?
雨の月山神社
 雨宿りのため混雑している頂上小屋で休憩(有料)するには、靴を脱がないといけない。面倒くさがりやの2人は軒下で霧雨をしのぎ行動食を摂る。
 何も見えない山頂に未練は無く、カロリー補給が終われば下山開始。なんとか登れたがMa先生も下山の方を心配しておられた。慎重に下るのでドンドン追い越される。
強風の草原を下る
 かなり下った所で「頂上に行ってないな。」とMがポツリ。 「エッ! どういう事?」GPS片手のMに問いかける。歩いた軌跡は三角点に到達していないらしい。
 しまった。やってしまった。ガ~ン!! なんで早くGPS見てくれなかったの。 いや何で地図が有るのに広げなかったんだろう。(地図を見ても分かりづらかっただろうが)今さら雨の中登り返しは出来ない。三角点に拘るわけでもないが、登頂した気分になれないモヤモヤ感。 迂闊な自分が許せなく無言で下る。もっと真面目に取り組むべきだった。(月山に失礼ではないか・・・。)
少し霧が晴れる
山腹を巻く木道を下る
 相変わらずの天気だが、時々ガスが流れ、目の前に色づいた草原が広がる。夏は一面お花畑だろう。登りでは見られなかった優しいその光景に慰められ、沈んでいた心が少し軽くなる。この一瞬の一コマを見られただけで、登って来た甲斐があったとようやく思える。
リフト上駅に帰り着く
 リフト上駅に帰り着き休憩所に立ち寄る。若い男性が1人で切り盛りしていて、注文したコーヒーがひときわ美味しい。好天ならここから目指す朝日連峰が見えるそうだ。
 月山が大好きだという、おっとりとして人懐っこい若者とのしばしの語らい。月山に登れて良かったと思う。(帰宅後、神社は山頂より標高が高いと知る。)

 家を出て3日、今夜は宿に泊まりたい。リフト乗り場の食堂の方の紹介で大井沢温泉に向かう。突然の申し込みにもかかわらず快く泊めていただけそうだ。
 今夜はゆっくりと体をやすめよう。
( 文・斉藤(滋)   写真・斉藤(宗) 斉藤(滋) )
大朝日岳(山形県 朝日連峰)→
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