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剱岳・チンネ左稜線・六峰クライミング(六峰クライミング編)
日 時  平成24年9月16日
 剱澤小屋3:30~熊の岩5:40~六峰Dフェース取り付き6:10~Dフェースの頭11:45~
熊の岩左俣13:00~長次郎の頭手前(北方稜線)14:15~剱岳山頂15:30~剱澤小屋18:15

(全体の日程及び前日までの行動は、チンネ左稜線編を参照)
 内 容
 16日: 
 前日の疲労感が漂うなか起床。
 加藤氏は「もう限界だ。」と言ってテン場から動こうとしない。まだ余力はあるはずだが、その日の行程を考えると確かに恐ろしい。説得するが、テント場待機を強行される。
 結局3人で六峰へ。
 まずはCフェースを登る予定にしていたが、取り付きには既に数パーティー、後方からも続々とこちらに向かって来る。渋滞は間違いなかったので、無人のDフェースから登攀を開始する。
 6ピッチだが、半分は4級(チンネの核心部と同じグレード)。昨日の失態を払拭すべくリベンジと行きたい。
熊ノ岩から六峰
 1ピッチ目いきなりのハング、鹿野氏が慎重にリード。
 セカンドで取り付いてみると、見た目ほど難しくなく(トップロープだから)ガバもある。
 稲垣氏にとってはアップにも足らない様子。
 そのまま2ピッチ目のリードに入る。しかしトポは3級なのに、先ほどより岩がカブっている。支点も見えない。不思議に思って、ちょうど下にいたパーティーに尋ねてみると、登りたかった富山大ルートではなかったようだ。
 その後、ビレイ支点のハーケンの一つが抜け落ちる。撤退。本日も衝撃的なプロローグになってしまった。
取り付き間違え
 気を取り直して本ルート(富山大ルートは長次郎雪渓を左手に見ながら登る)へ。
 1ピッチ目、「これが本当の4級だよね。」と余裕の笑みで鹿野氏リード。「そうだね。」と2人も続く。
 2~4ピッチ目は浮石があるものの、フリクションは良くガバホールドも多い。高度感があり眺めも良く快適に進む。
 この間、稲垣、福間もリードで登る。簡単なピッチでもトップの緊張感はやはり楽しい。
Dフェースの福間
Dフェースリードする福間
 5ピッチ目、核心部に差し掛かると「そこから5.10a以上ありますよ。」誰かに脅される。
 最近10aを完登した記憶がない。焦りながらどうにかこうにか登りきる。リベンジ成功。
 6ピッチ目は足早に進みピークに着く。
Dフェースの頭
 時間も時間、直ぐに登山道より5.6のコルまで下山。
 Cフェースは諦め、北方稜線より剣本峰を目指して、長次郎谷は左俣を進む。
 しばらくは雪渓を辿るがその後、岩を巻く。次第に酷くガレた急登に踏み込む。浮石に注意し慎重に足を運んでも落石は防げない。奮闘すること1時間で稜線に乗る。
 おそらく長次郎の頭手前だろう、前日も迷った時同じ場所に来たようだ。北方稜線はバリエーションルートたが、意外に踏み跡が明瞭でルートファインデングに悩む事はなかった。
 しかし疲労はピーク。2人の怯まないペースに全く付いて行けない。
 長次郎のコルから剱岳山頂までは本格的な岩稜登りになる。うんざりしそう。だが体は重いがなぜか心は軽い。それまでのガレ場と違い、岩が硬くスタンスがしっかり取れるからだろう。
 超スローペースだが結構楽しくピーク迎える。本来は人で賑わう場所でも15時過ぎれば静かだ。
剣山頂
 ゆっくりしたいところだが、こちらも日没までには加藤氏の待つテント場に戻りたい。
 焦る気持ちが2人のペースをまた上げる。個人的には、山は下りの方が苦手なのでこの3時間が一番辛かった。
 剱澤のキャンプ地に入ると、ヘッドライトを付けた加藤氏が「お疲れ様」と笑顔で出迎えてくれた。
 「加藤さんお待たせ~」と心の中で返事。這いながらテントに入ると石の様に体が固まった。
 3人は準備してくれていたビールで祝杯。早々に就寝。
 17日: 
 4時起床の予定だったが疲れと夜中の強風のせいか、まさかの寝坊。30分過ぎて慌てて起床。
 室堂ターミナルまでは標準コースタイムで3時間かかる為、5時には立ちたかったのだが、結局5時半回る。
 バスは続々来るのだが、何故かそれぞれ走るかの様に室堂平に向かう(約1名本当に走ったのだろうか)。余韻に浸る間もなく現実に戻った。
 
 感想:

 当然ハードな山行になる事は分かってはいたが、今回は力量の限界を超えるものだった。
 過去の山行の失敗から食事と水分の摂り方を改善して、辛うじて足は動かせた。それでも自力で下山出来たのは3名のサポートがあったからである。
 無雪期とはいえ、難易度の高い山でバリエーションをいくつも登っている。
 「死ぬかと思った」と何度も思ったのに、無傷で戻れたのは助けがあったからに他ならない。有難うございました。
 今後も限界を更新して行きたいものである。
 
( 文:福間  写真:加藤、稲垣 )
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