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読図山行 蕎麦ケ岳
 4月度の宇部山岳会の月例山行は 誰でも参加出来る県内の山で、しかもシルバコンパスやGPSの操作訓練に適当な山域でなければならない。 5〜6年前に訪ね 「低山ながら手強かった蕎麦ケ岳」をその対象に考えた。当日どのような体力の方が参加されるか 予想がつかないので 下見を重ねた。
日 時 平成22年4月6日(火)
メンバー 斉藤宗、三浦比、斉藤滋、(やまびこ)Kk,(一般)Ks,Ty
 久しぶりの蕎麦ケ岳なので 登山道がどのように変化しているか予測はつかないが、今までやってきたように 事前に白地図に線を記入し その通りに歩くことにする。未知の部分はその場所で考え、進行方向を決めることにする。
地図1.4/6の蕎麦予定コース
行きはヨイヨイ
 とりあえず中国自動車道の下を潜り(徳地56) 渡樋ケ河内川沿いの林道をたどる。
 川の水量は多く 周辺の雰囲気は春を迎えて  活性化している。山桜やミツバツツジが咲き、新芽も美しい。
 沢の中の林道でも 地形の変化が有る度に現在地を確認しながら進む。最初の空白部分に到達すると 3方向にルートが考えられる。
 右の林道は地図上の破線で表示され 南下し蕎麦ケ岳から離れていく。 左の狭い谷には ×印が2箇所書かれ 入る気にならない。
 真ん中の踏み跡は 幅広く蕎麦ケ岳へ向かっているので これを選ぶ。
 しかし踏み跡は細くなり 登山道としては完成していないようだ。鉄製の堰堤も現れるので、その位置を地図上に記入する。沢沿いでは あるが 出来る限り現在地を確認しながら進む。
 小さい流れを渡った所で泥壁を登るが、灌木を使えば容易に越せる。所々古いテープが 残っているので 不安は無い。
 沢が二分する位置で周辺の地形を見、地図を見 今後の進み方を考える。蕎麦ケ岳の直登より 一度南下気味に右の沢を選んだほうが 楽なようだ。
 しばらく進むと又 テープが現れる。今まで雑木林だったのに、標高が高くなって植林帯となる。
 前方が明るくなり 稜線に飛び出した。蕎麦ケ岳の西支尾根に這い上がったらしい。山口県東南部の山々が見える。
 快適な尾根を登ると 頂上に到達。刈りはらわれて 前とは違って360度近い展望である。山口県の100名山の6割くらいが 同定できる。
 天候も良いので昼食を兼ねた大休止とする。
 ここからは予定コースを進む。道がはっきりしているので楽で、周辺のコブシの花を愛でながらの お散歩気分である。
 頂上から ひと下りで三叉路に降り立つ。右に行けば「一貫野」で道は穏やかで短時間で下れる。
 (まだ娘が小学生の頃 一貫野コースを登り、家族3人で頂上で弁当を食べていた時 後から登ってきた人が「登山口の車は ライトがついている。 貴方方のでは?」との御忠告あり。はっと思い出し走って下山。妻は途中で歩きにダウン。2人で走り続ける。車が見えた途端、娘はダッシュ。 筆者はそれについて行けずよろよろ。どうにかエンジンはかかり 一安心。日頃の深酒を反省したが 今だ改心していない。)
 数回の登り下りがあり 508.5mピークに到着。小さな標識があり「小麦岳」とある。
 (ずっと以前に徳地53→重石→蕎麦ガ岳を目指した時、ここを蕎麦ガ岳と思って一休みしたところ 小麦岳の標識を見て 「えっー 蕎麦を註文したのに うどんが出た!」と奇声をあげたことを思い出す。)
小麦岳の下り
 ここから東川(七分沢)と丸山川(三分沢)の中間の主尾根を進む予定である。
 何度か分岐が現れ 古くて頼りないテープも右に左に 分かれて続いているのでその度に鳩首会談。とにかく合流点を目指すことにして進む。
 顕著な尾根は無く どこも似たり寄ったりで そのうち進行方向にはシダが密生して行く手を阻む。つい楽をして右手の灌木の中に向かう。
 だんだん傾斜も増し ここにもシダ密生。泳ぐようになり 足が地についていない。そのまま下ると沢の中に降りたが むき出しの岩盤は  水に濡れているし下の様子は見えない。
 このまま下るのは危険なので 対岸側の尾根に登ることにする。
 傾斜は思った以上に急で、しかもシダの下に所々 倒木が隠れているので 先頭は大難儀。へばっては先頭を交代し 高度を稼いで行く。
 後半は後で体力を温存していた女性群が密生シダをするすると軽やかに登りきり 尾根上に到達。
 幸い尾根上のシダは少なくなり どんどん距離を稼ぐ。しかし 合流点に近くなると傾斜が増し またシダが密生している。
 灌木につかまりながら半分は滑り落ちていく。最後は林道であるが 削られているので簡単には降りられない。
 声を掛け合いながら右・左に下降点を探す。最初の一人が降り立つと下からのアドバイスが有効で、どうにか全員無事下山。
 車に帰り登山靴をぬぐと スパッツをつけていても靴と靴下はシダのゴミだらけ。
 とても本日のコースは 本番に使えない。また別コースの下見が必要になった。
日 時 平成22年4月8日(木)
メンバー 斉藤宗、三浦比、斉藤滋、(一般)Ks
 本日の下見は 過去歩いたコースとする。
 徳地53のトンネルを潜り 東川沿いの道をたどる。丸山川の合流点を過ぎるとシダが増え、崩落個所もあり快適とは言い難い。
 しばらくで道は上下に分岐する。重石を見るため 下の道を進む。以前と比べ荒れている。
 少し踏み跡の痕跡があるが藪がひどくこれは違う。 沢へ入渓した先人の道らしい。引き返し先程の分岐を上にとり シダに覆われた道を進む。
地図2.4/8の蕎麦予定コース
 重石の分岐が分からないので 立ち止まり辺りを見渡す。シダばかりで分岐らしきところは見つからない。
 半分諦めて登っていると、やっと重石の分岐が現れる。右に入っていくと ここもシダが多い。
 数分で重岩に到着。下からは4〜5個の大石が重なり5丈(約15m)の高さがありクライミングの場でもあったようだ。
重石の上で現在地確認
 ここから南東に見える滑滝には 今日は水が流れている。
 同行のMhさんの御主人が著書「西中国山地の沢」の中で紹介されたナメラで 長さ70mありトップで登るには かなりの勇気と判断・技術がいる。(この滝は水量が多い時には東鳳翩山の山頂から見える。)
 ナメラ滝
 再び登山道に戻り 本日の予定コースをたどるが シダが多く足元が良く見えない。
 づっと片斜面のトラバース道が 土砂が流れていて細くて 気を抜けない。Gは「足元ばかり見ているので読図が出来ない」と言っている。Ksは「この道は人が歩かなくなり いずれ廃道になる」と 言っている。
 やっとシダのトラバースが終わり沢の渡渉を2回し 広い道に出る。すぐ先で合流地点にさしかかる。
道は流されていたが前の記憶をたどり 左の沢の左岸へ取りつく。だんだん尾根形状になり見通しも良くなり、前方に主尾根も見えてくる。ただしこのあたり枝道が多く要注意。
 (主尾根と合流した地点でGが「やはり私の記憶が正しかった」と言っている。一昨日ここを通過した時 しきりに「重石へはここを左折する」と 言っていた。)
 小麦岳手前のピークを見上げるとかなりの急坂である。一昨日は小麦岳側からトラバースしている。今日は余裕があるので直登する。
 時間はあまりかからずピークに立つ。座るのに適当な石が集まっているので ここで昼食とする。
 高い樹の新芽は遅いので 展望もまずまずである。尾根もY字に分岐しているので 10日の本番での進路決定が楽しみである。
 この山域を選んだ理由に 似たような高さのピークが林立して地形が複雑なことである。
 次に進み 小麦岳南隣のピークで立ち止まる。ここからから西に分岐があり刈り払われているようだ。次の機会に歩いてみたい。
 次のピークから 渡樋ケ河内コースに入る。道は整備され明るく展望も良い。所々で立ち止まり、クロスベアリングの方法をおさらいする。
 途中右に踏み跡があるがこれは見送り、左に進む。道はづっと良い。
 最後に斜面を 狭い水なし沢へ下りるが その先は6日に見た×印地点。
 今日の前半も10日の本番に不適と考えながら 帰りは渡樋ケ河内川沿いの林道をのんびりくだる。
 観音岩
 桜の大木
日 時 平成22年4月10日(土)
メンバー 斉藤宗、池本、杉原信、竹之内真、斉藤滋、(一般)Ks
 いよいよ読図山行の本番となった。 担当者としては 参加者次第でコースを決めることにしていたが、嬉しい誤算となった。It・Snは会の強力メンバーであるし、Tmは新入会員であるが 大学山岳部OBである。今まで下見をしてきた我らが見劣りする。
 更に驚くことは 本日は6人中5人が GPS持参で 操作もある程度以上は出来る。筆者が本日教えることは少ない。
 コースは渡樋ケ河内川→蕎麦ガ岳→小麦岳→丸山川コース下山とする。最後の丸山川コースは下見もしていないし歩いた事も無い。
 徳地56トンネル下を潜り 沢沿いを進みながら シルバコンパスと紙地図を使った 見通しの悪い場所での現在地の確認の方法を話すが 皆さんご存知のようで ある意味でハリアイが少ない。
 そこで 「途中に見える「観音岩」を紙地図上にポイントする方法を説明する。
 現在地の確認が出来る2箇所以上の場所から クロスベアリング法で 目標物への方位を求め地図上に線を引く。交点にその目標物はある。」  さすがに彼らは理解が早く 同じ事を繰り返す必要が無い。
 観音岩の位置は皆さん一致しているようだ。 (3〜4年前 会のボルダリングの第一人者と観音岩付け根まで登ったことがある。遠目はきれいな緑の斜面だったが、実際は濃密なシダの 登りで苦労した。腰から下はシダの枯葉でゴミだらけになった。岩を見上げながら基部をぐるりと一周した彼曰く「ダメ。一本しか取れん」 苦労と楽しさがアンバランスと言うことらしい。)
 地図上に四差路と記入した場所に来た。彼らに配った紙地図には  蕎麦ガ岳へのルートは記入していない。
 歩きながら現在地を確認しながら 地図上にルートを記入するよう問題を出す。
 様子をみていると目線はいいところに向かい、地図と比較している。 現状ならGPSは必要無であろう。
トラック図1.4/6,4/8,4/10の足跡
 蕎麦ガ岳山頂からは 今日も展望がきく。下に先程の観音岩が見えるので、クロスベアリング法で三本目の線を入れる。先程の二本の交点と交われば 100点だ。
 ここからは 小麦岳の先まで事前に地図に記入したルートを辿るが シルバコンパスの使用法を一度話しただけで 後は全く問題なし。筆者は手持ちぶたさである。
 小麦岳を越え 一昨日弁当を食べたピークに到達。今日もここで昼食とする。
 食後のItとSnのGPSに関する話しには 筆者はついていけない。なぜなら彼らのGPSはガーミン社の最高級品オレゴン300で筆者の物より格段に機能が多い。
昼食後
山桜残る
 標高400mまで下り ここから丸山川コースに入る(古い標識あり)。踏み跡ははっきりしないが、歩き易い地形である。
 しかし右に左に屈曲点が多くなり 地図へのルート記入が大変で、現在地があやしくなる。
 GPSを見れば確認が容易であるが、今日は読図訓練中なので周辺の地形を一生懸命見る。
 シダも多く平凡な斜面が続き 現在地の特定が難しい。やっと小さな沢にさしかかりヒントとなる。
 この下流で丸山川を飛び石伝いに渡る。その後も道は荒れ気味で あまり人は入っていないようだ。
 本年度最初の読図山行は無事終わった。強力メンバー2人がGPSを持ったことは 今後の冬山で頼りになる。
 例えば中国山地では 十方山南西尾根、 氷ノ山の三の丸方面等 行動範囲が広がりそうである。
 (丸山川と東川の合流点まで林道と駐車スペースがあるが 徳地53との間に倒木が道を塞ぎ 車は入れない。一般登山者でこんなシダ密生地に分け入る 物好きはいないと思うが、東川の重石やナメラ滝を目指す人は 中国道の側道に数台の駐車スペースがあるので それを利用すればよい。)  
文・写真・トラック図  斉藤(宗)
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