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紅葉の焼石岳(岩手県)
 
 
上沼からの焼石連峰
 
日 時  2022年10月14日
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  10月13日
栗駒山いこいの村跡地駐車場(11:25)~県道42・49・栗駒焼石ホットライン~尿前林道~焼石岳中沼登山口駐車場(14:05)車中泊
 10月14日
中沼登山口駐車場(5:45)~中沼(6:45)~銀明水(8:35-8:45)~焼石岳山頂(11:13-11:18)~泉水沼(11:40-12:00)~銀明水(13:06)~中沼登山口駐車場(15:35)
 いつか登って見たいと思っていた焼石岳に挑戦のチャンスがやって来た。出来ればお花の季節(夏山)がよかったが紅葉もよさそうだ。だが軟弱な我が家ペースでは日帰りは無理だ。山中にある避難小屋に一泊し余裕を持って登りたい。そこで現地の状況を地元奥州市に訊ねると意外な事を告げられる。《避難小屋は宿泊施設ではありませんので非常時しか使えません》確かに、立前はそうだろう。だがどこの山も当然の如く使っているではないか(現に我が家にあるガイド本の焼石岳ガイドも避難小屋利用となっている)無理して日帰りにすれば、それこそ非常事態になりかねない。泊まらせて貰うしかないだろう・・・と思う。しかし送って頂いた資料《焼石連峰案内地図》には《避難小屋は宿泊施設ではありません》と一目で分かる表示が・・・う~ん、無視したいけど、なんだか気後れしてしまう。別に悪い事をする訳ではないのだがスッキリしない。仕方ない、悩んだ挙句に日帰りピストンを決意する。
 10月13日
 栗駒山下山後、焼石岳の中沼登山口へと向かう。地元で教えていただいた《栗駒焼石ほっとライン》は、道路地図を見てもどれか分かり辛く、老眼、乱視の目では見つけられそうにない。だが親切に説明していただいたお陰で山間に延びる道は走行車も信号も少なく快適に進める。しかしR397から分かれた未舗装悪路の尿前林道は厳しい。案内地図にも《幅1,8mまで、4輪駆動車、最低地上高が高い車は通行可能》と記してあるが超低速でしか進めない。幸い対向車に出くわす事無く25分の格闘で無事登山口駐車場に到着、10台位の車が主の下山を待っている。 

 明日の支度をしていると1台の車がやって来て、男性1人が写真を撮っておられる。雰囲気は地元のお役所の人か? 挨拶を交わしそれとなく明日焼石岳に登るつもりと話す。とその人イワク「無理に頂上まで行かなくても中沼辺りでも十分綺麗ですよ。」「・・・・・」どういう事? 背中を丸めた小母さん(まだ、お婆さんと認めたくない)には到底登れないと思われたのか? どう返事したものか迷っていると「無理されない方がいいですよ」と繰り返し言われる。「はい。ご迷惑かけないよう気をつけます」と答えたが、段々自信がなくなって来る。元々姿勢が悪いが増々丸くなった背をしっかりと支えられず、すぐ何かに掴まり立ちの現状では当然のアドバイスかも。本当に心配されたのだろう、最後まで「無理しないで」と言われつつ去って行かれた。

 やはり焼石岳は手ごわい山なのか? 皆さん中々下りて来られない。そんな中、お隣に駐車の男性が下山して来られた。挨拶すると「栗駒山の駐車場でこの車見かけましたよ」と思いがけなく言われビックリ! M作のデリカの窓の網戸が目についたそうだ。過去にも何度か訊かれたが簡単に出来る方法を説明し、しばらく山談義、さっきの「無理しないで、中沼まで・・・」の話をすると大笑いされる。いや、笑い事ではなく、本当に不安なのだ。それからしばらく、あちこちの山の話で弾んだが男性は次の山(和賀岳)へと去られた。辺りは薄暗くなり避難小屋泊り?と思った最後の車の主が下って来られ、間もなく出発、ポツンと我が家1台だけとなる。こんな山奥にはもう誰もやって来ないだろう。熊が近寄って来さいしなければ朝まで静かに眠れそうだ。

 10月14日
 避難小屋泊りを諦め、日帰りにしたからには早発ちしたい。荷も減らしたいが万が一を考えると雨具、防寒着、非常食など外せない。とにかく頑張るしかないと気合を入れて出発だ。ガイド本による標準タイム3時間半の登りだが、当然1、5倍~2倍の時間がかかるだろう。昼までに山頂に着ければいいがと歩を進める。歩き始めて1時間、前方の樹間に沼らしきが見えベンチが現れる。中沼に到着だ。まだ陽射しが弱い所為か沼を取り囲む紅葉の色がいまいち冴えないが、陽が昇るにつれ鮮やかさが増すのだろう。風もない静かな湖面に映し出される紅葉をMは張り切ってカメラに収めている。だが私はその気になれず一時も早く進みたい。昨日の男性が言われたように確かに十分綺麗だが、ここで引き返す訳にはいかない。対岸に見えている稜線のピーク、あのどれかが山頂なら余りノンビリしてはおられない。
早朝の中沼
 中沼から上沼へと湿地帯の朽ちかけた木道を進む。Mの撮影会はまだ終わらない。私だって時間があれば撮りたいが持病の《心配症》が発病? 全くカメラに手が行かない。その内、登山道が川のようになりまるで沢登りだ。それも結構長い。靴が濡れないようゴロゴロした岩を選びながら踏んで行く。本やネットで見た色とりどりのお花畑の景色からは想像もつかない悪路にうんざりする。
中沼から上沼に向かう
 次のポイント銀明水に中々着かない。焦りを感じた頃ようやく、ちょっとした平坦地に出る。ここが銀明水? 良かった、岩の間から透き通った水が流れ出ている。美味しそう! 早速手で抄って飲んでみる。安堵感もあり超美味しい。 コースの半分は歩けたと少しホッとする。後半も頑張るぞ! 

 銀明水を出発。銀明水避難小屋を右に見ながら(立ち寄ってみたいが余裕が無い)先を急ぐ。登山者は相変わらず少なく、何組も追い越されると思っていたのに、偶にしか出会わない。気持ちは逸るが足取りは追い付かない。周りの立ち木が低くなり少しずつ展望が開け滝も見える。足元はというとゴロゴロ石、崩壊地のトラバース、朽ちた木道と心休まる事がない。ある程度覚悟してはいたが登る喜びより厳しさが堪える。
リンドウに癒される
 ようやく姥石平に到着、目の前に間近に迫った焼石岳のピークが見える。やっともう一頑張りまでこぎつけた。夏はこの辺り一帯、色とりどりの花が咲き誇るという。しかし疲れた目にはお花畑とはかけ離れた荒々しい光景にしか見えない。自分たちの力不足と自覚しながらも、憧れた焼石岳の想像以上の厳しさを感じる。だが泉水沼の美しい青さが慰めだ。よ~し、お昼ご飯はここで食べよう。さぁ、頑張って登って来よう。
静寂の泉水沼
山頂までもうひと頑張り
 山頂手前で追い越して行った2人の若者がもう下りて来る。我が家がノロいからだがそれにしても早いと思う。数分後に山頂に立ちその訳に気づく(多分) やっとの思いで着いた山頂だが栗駒山のような賑やかさは無く登山者はまばら。後から登り着いた人もそそくさと下って行かれる。
秋晴れの焼石岳山頂
 一通り周囲の光景を眺め(何故か殆ど覚えていない)早々に下山を開始する。秋の鶴瓶落としを気にしているのは軟弱な我が家だけかもしれないが、誰もが沢のような危ない登山道は明るい内に突破したいだろう。悪路続きの下山道で滑ったり転んだりしないよう余裕のペースで下るには余り時間は無い。楽しみにしていた泉水沼畔のお昼ご飯も程々の時間で切り上げる。
銀明水避難小屋まで帰り着く
午後の中沼
  通常タイム6~7時間を10時間かけて駐車地に帰り着く。季節は違えども憧れの焼石岳に登りながら、心身共に疲れてしまった。小屋泊りをすれば、もっと楽に登れたかもしれないが、考えた末に決めた事だ。こんな山、2度と来ない!(じゃーなくこの実力では来れそうにない)と悪態つきながら下って来たが、登頂できた嬉しさが徐々に湧いて来る。いつの日か再チャレンジ出来たならば…そんな夢のような事を思い浮かべながら次の山へと車を走らせる。


帰宅後に
 NHKの焼石岳登山番組を見たという山友が、小屋泊り計画で、とても綺麗な小屋だったと教えてくれた。小屋を管理しておられる焼石観光開発連絡協議会(奥州市役所内)のホームページでは《金明水・銀明水》の二つの避難小屋の紹介があり予約不要、マナーを守って使ってくださいとある。 ガ~ン!! 一体どういう事だ!我が家に送って頂いた焼石連峰案内地図《避難小屋は宿泊施設ではありません》は同会の作製だ。終わってしまった事だが、どうもしっくりいかない。取り敢えず電話で訊いてみることにした。

 問い合わせの説明では、管理は奥州市に任されているが県所有の小屋なので県の方針に沿っての対応という事だった。ホームページには《避難小屋は宿泊施設ではありません》の記述が無い事を訊ねると「近々追加修正する方向で検討します」というお返事を頂いた(いつの事かは分からないが?)結局、今回の事は我が家がネットなどで下調べをしっかりしておけば良かっただけの話だ。ドタバタ計画を反省するも、次回はバッチリの自信がない。
 
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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