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三嶺~西熊山~天狗塚~牛ノ背~地蔵ノ頭(リベンジ編)
 
 
大峠から西熊山へ
 
 
山行日  2022年6月3日~4日
天 候  3日 晴  4日 晴
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋) 田中(山口山岳会)
行程  6月3日
 白髪避難小屋(5:15)~三嶺(8:37ー9:00)~ 西熊山(11:55)~オカメ岩避難小屋(12:55)泊
 6月4日
 オカメ岩避難小屋(4:40)~ 天狗峠(5:30ー5:35)~ 天狗塚(6:10ー6:15)~牛ノ背P1757(7:15-7:25)~天狗峠(9:15-9:25)~地蔵ノ頭(9:45-9:55)~天狗峠(10:10)~西山林道登山口(12:30-13:30)~かづら橋民宿(14:50)泊
 鹿の鳴き声につられ小屋の戸を開けると大きな鹿が横切って行く。時間は早いが、ぐっすりと眠れ清々しい朝だ。簡単な朝食を終え前回に比べ随分早いが三嶺目指して出発する。今日もいい天気だ。朝の爽やかな空気が心地よい。少しずつ高度を上げて行きながら振り返れば御世話になった小屋が小さく見える。昨日辿った稜線も朝靄の中に延びていて元気が湧いて来る。さぁ頑張ろう。まずは目の前のカヤハゲの急斜面、一歩一歩ゆっくりと登り始める。
朝のカヤハゲ
 
 思えばこの登り前回は必死だった。一晩寝ても腰の痛みがとれないMを気遣ってのハラハラドキドキの登りを思い出す。そうだ、この辺りでKさんに声をかけられたんだ
 *2021年10月四国の山旅《http://ubealpine.fc2web.com/2021hokoku/32-sikoku2.html》 
 
 重苦しい気持ちでどうしょうもなかったあの時、一瞬にしてパッと明るくしてくれたKさん。Mのザックをカヤハゲの山頂まで担ごうと言ってくださったっけ。見るに見かねてと思うが今の世の中、こんな高齢者に誰が声をかけてくれるだろう、辛かった山行の最高の思い出だ。帰宅後、強引に訊きだした住所に取り敢えず礼状を出したが、何日後だっただろうか? 忙しい大学院生の身でありながら、なんと返事が! しかも近くにある四国霊場88ヶ所巡り1番のお寺の手ぬぐい(2枚)が同封されていた。《これからもお2人で元気に山登りを続けられますように願いを込めて》とは、う~ん、まいった、まいった! もし、このリベンジ山行が成し遂げられたなら、1番にKさんに知らせたい! まだ在学中だろうか? いやいや、これ以上詰らぬ事で煩わしてはいけないのでは・・・。歳と共に認知症が進み何もかもすぐに忘れてしまうが、爽やかなKさんのお顔だけは、いつまでも覚えていたい。
池塘に癒される
山腹を彩るツルギミツバツツジ
鎖場を登る
 やっぱり時間はかかったが三嶺山頂1番乗り(多分)見渡す限り人影が無い。前回の賑やかさ、またしてもあの時の心細さを思い出す。この山頂に立つのは5度目だが、改めてしみじみと登頂の喜びを噛みしめる。剣山から辿って来た稜線と今から向かう天狗塚へのたおやかな尾根、心ゆくまでじっと眺める。そして目についた1894mの標識、まさにあの時架け替えられた物だ。すぐ傍の岩にどっかりと座り込んで作業の邪魔をしている事さえ気づかなかった。後になって恥ずかしかったが「少し移動してください」と声をかけられない程ボ~としていたのだろう。田中さんの「この岩にじっと座っちょっちゃった」の言葉に思わず笑ってしまう。作業の方達申し訳ありませんでした。皆さん優しい人ばかりだったんだな。

 剣山を出発してから誰にも会わないまま三嶺山頂を後にする。天狗塚へと続く四国一と言われる縦走路を歩きながら前回はMの足取りしか見ていなかった。だが今日は辺りに広がる美しい笹原、祖谷川を挟んだ山の斜面に広がる集落の光景・・・気持ちは段々HIGHに。大峠の登りにかかり撮影のため待機のMを追い越す。やっと前に出られたとばかり、ノロノロながら休まず登って行く。すぐに追いつかれるので稼がないとと頑張っていると、向こうから1人の登山者がやって来る。縦走を始めてから初めて出会うその人はなんと軽装、しかもかなりのお歳のようだ。すれ違いざま挨拶を交わした男性はニッコリといかにも人懐っこそう。いつものように「どちらから?」「どちらまで?」と矢継ぎ早に訊きたいのをグッと堪える。やっと少し開いたMとの距離、話せばすぐに追いつかれてしまいそう。我慢、我慢。ところがその後Mと田中さんがやって来ない。どうやらさっきの男性と話しているようだ。それにしても長~い。はは~ん。もしかして・・・。追いついて来た田中さんが申し訳なさそうに「実はね・・・」と話し始める。「待って! 当ててみようか。あの方Yさんと三嶺から下った人じゃない?」「当たりです」 先日Yさんが単独で剣山~三嶺を縦走された時、地元高知の方と名頃へ下ったと話しておられた。お話好きらしく今日も「どちらから?」「山口から」「山口ならこの間」と話が進み中々途切れなかったそうだ。Yさんに同行された日以来の三嶺登山だったらしいが、いいお土産話が出来た。今までも、いろんな山で偶然の出来事を何度か経験したが、山の神様からの贈り物かも(?) お喋りに加われなくて残念だったが、これも神様の思し召しか? もし私が加わっていたら時間を忘れて話し続けてしまっただろう。
Yさんが縦走中出会った男性に逢う
 オカメ岩避難小屋に到着する。《余裕を持って小屋に到着し、コーヒーを飲みながら寛ぐ》が何よりの楽しみだった。そのためには、まず水だ。早速3人揃って水汲みに。前回確認済の水場は水量も十分、苦労なく汲める。おまけに顔も洗えさっぱりする。小屋に帰り着き床にザックの中身を思い切り広げ今度は着替えだ。と突然人の気配、慌てて隅にダッシュ(隠れたつもり)前回までいつも貸し切りだったので誰かが来るとは思ってもいない。「早く、片付けろ!」とMに怒られたが岡山からのご夫婦と地元徳島の男性ペアの3パーティーの同宿となる。昨夜のようにはいかず地味に夕食の準備を始めるが、信じられない事態に。前回は有り余り、持て余した食料が残り少ないではないか! こんな筈じゃなかったと色々捜すが・・・。つまり今回は余分な物は一切持たないと決めキチキチの数しか持って来なかったのだ。食事を楽しむ時間も水もたっぷり有るというのに、肝心の材料が・・・重い果物はひかえてもお茶、コーヒーのパックまできっちりの数にする事はなかったのに! 自分のバカさ加減が恨めしい。パン、ハム、チーズ、思い出した! シチュー(大海山の常連さんからの差し入れ)もあった。ホッ!! 何とかなりそう。
 6月4日
 夜が明けたばかりの小屋をそっと抜け出し前回の最終目的地天狗塚へと向かう。ゆっくりと登りまずは下山地への分岐天狗峠に到着する。
天狗峠への登り
 前回ここにザックをデポしたMも今日は好調で天狗塚に4度目の登頂を果たす。ホッ! だが今日はここが終点ではない。再チャレンジを決めた時、ならばぜひ行ってみたいと思った牛の背まで足を延ばすのだ。恐る恐るの提案をMもあっさりOKした程、素敵な縦走路、いつか歩いてみたいと思っていた。だが楽な尾根歩きの筈が意外としんどい。4日目で疲れがピークに達したのか、言い出しの元っぺなのに2人について行けない。その上ここに来て遂にカメラが壊れてしまった。イライラが積もって「待って~!!」と爆発しかけたその時、2人が振り返っている。ヤッター! P1757に到着だ。今までにない新しい景色が広がっている。辛い経験の二の舞の不安を押しのけて再チャレンジを決意したMと、喧嘩旅を楽しい旅に変えてくれた田中さんのお陰だ。感謝、感謝、本当に有難う!
 牛ノ背稜線からの天狗塚、行きはよいよい帰りは登り
 天狗峠まで帰り着き休んでいると、昨夜同宿だった岡山のご夫婦(遅く出発されたのに追いつかれた)が地元ペアに教わった絶景ポイントに行かれるという。少し引き返しになるが、せっかくなので我が隊も向かう。縦走路から登り着いて開けた展望、地蔵の頭のピークだ。いつもその下を行きながら知らなかった。三嶺からの稜線、さっき歩いた天狗塚~牛ノ背・・・素晴らしい景色に疲れも吹っ飛んで行く。
地蔵の頭からの天狗塚~牛ノ背の稜線
  リベンジ山行の最後を飾る三嶺の山々の大展望、しっかりと胸に刻んでおこう。これが最後かもしれないが、もう思い残す事は無い。デリカが待っている登山口へ、、そろそろ下るとしよう。
 
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗)  斉藤(滋) )
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