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剣山~次郎笈~高ノ瀬~白髪避難小屋 (リベンジ編)
 
 
三嶺へと続く縦走路
 
 
山行日  2022年6月1日~2日
天 候  1日 曇り  2日 晴 
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋) 田中(山口山岳会)
行程  6月1日
 宇部自宅(3:05)~山陽道~瀬戸中央道~三好市東祖谷西山林道登山口(12:00ー12:15)~タクシー~見ノ越(13:05ー13:20)~リフト~西島駅(13:40)~剣山頂上ヒュッテ(14:40)泊
 6月2日
 剣山頂上ヒュッテ(4:35)~剣山山頂(4:45)~次郎笈(6:20)~丸石山頂(8:10)~高ノ瀬(11:02-11:24)~P1732(12:50)~平和丸(14:00)~白髪避難小屋(14:50)
 ゴールデンウィークが過ぎた。日が長くなり1年で最も登山し易い時が来た。コロナ禍の所為にして中々腰を上げられない毎日だが、私には一つだけ登りたい山がある。《剣山~三嶺~天狗塚》だ。昨秋10年ぶりに歩いたがMの突然の腰痛のため思いもよらない厳しい山行となった。後期高齢者となり、長い縦走はこれで最後かもと気合を入れて挑んだが、予定のコースを歩けたものの内容は心残りの結果となってしまった。
 *2021年10月 四国の山旅)《http://ubealpine.fc2web.com/2021hokoku/31-sikoku1.html》

 こんな筈じゃなかった! 出来る事ならもう一度やり直したい! 心の中でそう願ったものの、3日間痛みと闘ったMを思うと無理な話と諦めるしかない。だが大海山の常連さんから「次は何処の山?」と訊かれるとついつい「リベンジしたいです」と本音が出てしまう。「リベンジ」「リベンジ」と口癖になり言っていたら、あの痛みを忘れたかのように再挑戦を決意したM。嬉しいけれど大丈夫? 田中さんまで再びお付き合いしてくださるとは! よ~し!今度こそあの縦走路を楽しみながら歩いてみたい。
 6月1日
 前回のおさらいの如く3時に自宅を出る。山陽道、瀬戸中央道と順調に進み東祖谷の三嶺タクシーに着くと運転手の前田さんはスタンバイして待っておられる。もうすっかりおなじみだ。それもその筈、5月に入って大海山の常連さんが5組も剣山、三嶺に登られたが、タクシー利用されるならと電話番号をお知らせしておいた。いや、それより前回の大失敗(Mの靴履き替え忘れ)さすがにしっかりと覚えておられる。西山林道の登山口にデリカをデポし全員の靴の履き替えを確認、荷物も念入りにチェックしタクシーに乗り込む。見ノ越への道中、「この辺でつっかけのままって気づいたよね」「引き返しの道のり長かったよね」等々・・Mに悪いがついつい思い出して笑ってしまう。

 見ノ越から西島まで今回もリフト利用する。Mも田中さんも器用にザックは膝の上に。モタモタで上手く乗れず係の方に助けられ数席遅れて西島駅に到着する。荷の重さでなく本当に不器用だと改めて思うが、今更どうしようもない。せめてヒュッテまでは遅れず付いて行こう。足元のミヤマカタバミや名も知らぬ花をゆっくりと眺めながらヒュッテ着。小屋一番の部屋(?)に案内される。眺め抜群、広さ十分、美味しい夕食、全てに満足し明日に備える。
 6月2日
 美味しいヒュッテの朝ご飯を食べたかったが、前回の際どい白髪避難小屋着を思うと一時も早く発ちたい。部屋でパンを口にし4時半過ぎヒュッテを後にする。剣山山頂で遥か遠くの三嶺を眺めながら、長い縦走の一歩を踏み出す。
早朝の剣山山頂
 朝陽に染まる次郎笈、稜線伝いの長い登りが見える。だが今回は真向勝負を避け山腹を巻く道を行く事に。
朝陽に染まる次郎笈
 初めて歩くトラバース道は遥か遠い三嶺を眺めながらミツバツツジの下を行く素敵な道だ。山頂を越えた稜線コースとの合流地点手前で地図に載っていた水場を発見、期待通り冷たく美味しい! 元気が出る。間もなく稜線コースとの合流地点に到着、ザックをデポし次郎笈に向かう。位置的に引き返す形だが楽に登れるのがいい。 

 朝が早く誰もいない次郎笈の山頂に立ち、3人共笑顔だ。いくら先を急いでもスルーすれば後できっと悔やむだろう。写真だけ撮り晴れ晴れした気分で下り再びザックを背負う。前回と同じ結果にならぬよう荷の減量(寝心地の良いマットを銀マットに替え、リンゴ、キウイ等山行中に食べたくなる果物類は我慢・・・等)に努めたが重さは殆ど変わらない。というのも水をしっかりと持った事だ(水4L+1Lお茶)前回水でハラハラしたので心配症(主治医が私につけた病名)としては安心のため担ぐしかない。

 思い出(苦い)の丸石山頂に着く。笑顔のMと田中さんをカメラに収めながらホッとする。今日は大丈夫そうだ。前回Mはここで腰の痛みを感じたらしい。その時は全く気付かなかった私だが下り始めて間もなく異変を察知、辛く厳しい山行の始まりとなった。丸石避難小屋までの樹林帯を歩きながら、あの日の予期せぬ事態の動揺がよみがえって来る。通る度に挨拶していたブナの大木も気付かなかったし穏やかで素敵な縦走路の記憶は全く無い。浮かんで来るのは苦しそうなMの顔と、逆《く》の字形でヨタヨタと進む姿だ。こうして今、再びあの日の場所を歩いている・・・何とも言えない想いが胸の奥から湧いて来る。オッと気を引き締めないとM(前回より少し荷が軽い)と田中さんに置いて行かれそうだ。
11年ぶりに出会ったブナの大木
  高ノ瀬の登りがきつい。前回はMが心配で自分の事をかまっておれない状態だったが、元気な2人に遅れがちなイライラ感が疲れを倍加させる。「ゆっくり行って!」と何度頼んだだろう。おまけにカメラの調子が悪く、変なコメントが表示される。メカに弱いのでMに見て欲しいが15mの間隔が縮められないままに高ノ瀬着。良かった~!(心のどこかで前回と同じ事が起こらないか・・・と心配だったが)さぁ、今日はおむすびもしっかりと味わえるだろう。改めて昨秋出来なかった《ゆっくりとこの縦走路を楽しんで歩く》が今叶えられているんだなぁと思う。だが油断はできない。去年の辛さが余力がある内に少しでも進んだ方がいい・・・と腰を浮かせる。
高ノ瀬で剣山、次郎笈を眺めながら寛ぐ
 P1732に向かう途中のオオヤマレンゲの群落は残念ながら蕾さえついていない。だが先月ここを歩かれたYさん(大海山の常連さんで市民ハイキングの常連さん)が「ミツバツツジがいっぱい咲いて綺麗でした」と言っておられた。剣山で発見されたというツルギミツバツツジは紫がかった濃いピンク色だ。秋には一面緑色だったミヤマクマザサも今は地味な枯草色、ミツバツツジのピンクがひときわ目立っている。P1732に登り着く。
P1732の笹原  緑色(秋)→薄茶色(春)
 ここまで来ればもう大丈夫・・・と思ったのにここからが大変だった前回、田中さんに先行して貰い2人の心細いノロノロ歩きが始まった場所だ。だが今日は足を引っ張っているのは私。立ち止まっている2人に追いつくと足元にツマトリソウの可愛い花がいっぱいだ。調子の悪いカメラを叩きながら(不思議と効果あり)夢中で撮りまくる。
 ツマトリソウ
快晴の平和丸
 前回は途中から別行動になってしまったので、「ここにザックを置いて行くと言った」とか「此処でビバークを覚悟した」など難儀だったあの日の様子を逐一、田中さんに報告しながら歩く。面目丸つぶれのMが機嫌悪くなるかも?と思ったが、好調に歩けてホッとしたのかニコニコ顔であの時の痛みを語っている。うん、今日は逆《く》の字でなく、美しい《I》の字、よかった、よかった。心身共に余裕をもって白髪避難小屋に到着する。
白髪避難小屋に到着
  さぁ、早速水汲みだ。今回はたっぷり担いで来たが明日への備えも大切だ。Mを先頭にガレた悪場を下って行く。予想通り岩の間から流れ出る水量は昨秋より少し多めだ。たっぷりと担ぎ上げ満足満足。小屋は3人の貸し切り、ゆっくりと食事を摂り思い思いにシュラフを広げ眠りにつく。
 
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗)  斉藤(滋) )
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