へのリンク
地倉沼(チョウジソウを訪ねて)
 
 
湿原に咲くチョウジソウ
 
 
日 時  2022年5月15日(日)
天 気  晴れ
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋) 田中(山口山岳会)
行程  宇部自宅(5:10)~ 島根県青野山駅近くのP(6:50ー7:05)~地倉沼入り口(8:45-9:00)~沼周回~地倉峠(10:50ー11:25)~林道分岐(12:20)~林道散策~林道分岐(13:10)~青野山駅近くのP(13:55ー14:05)~宇部自宅
 若い頃、地倉沼に憧れたがモリアオガエルを狙ったマムシが上から落ちて来ると脅され、以来怖くて訪れる事が無かった。だが4年前出かけたMの「チョウジソウの大群落が素晴らしい」との話を聞き(この時、私の体は故障中)いつか、私も!と心密かにマムシと闘う決意をした。今年のチョウジソウ開花は?早速メモっていた番号に電話をすると応対してくださったNさん、わざわざ地倉沼で保護活動をしておられる《千倉沼を守る会》の方に問い合わせてくださったようだ。「7日時点、、開花が始まったところだそうです」と親切に連絡を頂いた。よし! 愚図ついた天気を避けスカッと晴れそうな今度の日曜日に決めた! 開花から1週間、チョウジソウの大群落が楽しみだ。
 白みかけて来た5時過ぎ家を出る。4年前のM達の出発時間(8時半)に比べ随分早い。日曜日なので駐車場の混雑が心配だ。しかしさすがに早すぎた感じ、青野山駅近くの駐車場に7時前に到着だ。それでも既に1台停まっているのは先程すれ違った2人組の車のようだ。Mの話では、今日は楽な歩きとの事でハイキング気分で(いつもハイキングしかできないが・・・)田んぼの傍の小道を歩き始める。山口線の鉄橋の下を潜り山道に入って行く。
山口線高架下から山道へ
 薄暗い林の中、コブシ大の岩がゴロゴロの足元に注意しながら登って行く。予想以上の急坂だ。普段、大海山しか登っていないので目的地が《沼》と言えども息が荒くなる。我慢して登っていると明るい林道に飛び出る。山道(中国自然歩道)と林道は所々交差しているようだ。
薄暗い山道を登って行く
 誰にも出会わず地倉峠(沼の入り口)に到着、あれ? 沼に水が無い、もしかして涸れている?! 4年前Mが撮影した幻想的な地倉沼が干上がっているではないか・・・。少し残念な気がするが、それでも新緑に囲まれた静寂な佇まいは神々しく汗をかいて登って来た甲斐がある。朝が早かったから目の前のべンチに腰掛け一息入れよう。澄み切った空気の中に行き交う小鳥の囀り、下界とは違った異空間にいるようだ。こうして呑気に山歩きが出来る平穏な日々、心底有難いと思う。高校時代からの山友がよく「頑張って働いたご褒美、ご褒美・・・」と言っていたが、今世界で起こっている事を思うとチクリと胸が痛む。

 いつまでも座っていたいようなベンチから立ち上がり、沼の周回路へと向かう。下る途中、目の前に現れた1本の標識に同行の田中さんが見入っている。《令和3年8月14日この標識の所まで冠水した》との内容だ。 思い出した。昨年の夏の豪雨は凄かった。8月13日比婆山からの帰路、氾濫直前の江の川を目の当たりにし生きた心地がしなかった。それにしてもこの標識までとは、凄い水位だ。自然の脅威を感じずにはいられない。

 沼の畔を反時計回りに歩いて行くと、お目当てのチョウジソウがチラホラ現れる。ん? まだまだ固い蕾だ。この先、咲いていなかったらいけないので、早速カメラを取り出す。私にとっては初対面、やっと巡り合えたと思うと立て続けにシャッターを押したくなる。
凛として咲くチョウジソウ
 沼を半周(?)木道が現れる。《千倉沼を守る会》の皆さんが整備してくださっているのだろうか? ここまで登って来るだけで大変なのに本当に有難いと思う。おかげでぬかるむ事もなくハンノ木が立ち並ぶ新緑の湿原に足を踏み入れて行く。
新緑の湿原
 朝、駐車場近くで見かけた2人組に出会う。この先にチョウジソウの群落があるそうだ。成程、木道の右も左もチョウジソウの群落が次々に現れる。しかも7~8分咲き。花にもよるが私は満開よりも控えめなこんな咲き方が好きなので嬉しくなる。Mや田中さんに遅れをとっても中々前に進めない。
どこもここもチョウジソウの大群落
 さぁ、そろそろ周回も終わりかな? と思った時、大きなカメラを持った男性(NHK放送グレートトラバースの田中陽希さんにそっくり)とすれ違い挨拶を交わす。周南市から来られたという男性は撮影のため、こまめにあちこち通っておられるようだ。持参しておられたご自慢(?)の写真を見せて頂くと大きく翼を広げた飛翔中のヤマセミや小魚をゲットした瞬間のカワセミ等どれも素晴らしい!、映像として見た事があっても、殆どの名前が???の我が家と違い、花にも鳥にも詳しい田中さんに陽希氏似の男性の顔もほころぶ。次から次へと話が弾み、かれこれ40分は話し込んだようだ。彼イワク「ここの神様(千倉大権現)は怖いから、チョウジソウがこんなに生えていてもただの1本も採った事がない」そうだよね。汗かいて登って来て、ここで目にするからこそ感動するんだよね。
僅かな水溜まり モリアオガエル頑張れ!
 短時間で沼周回の筈が、思わぬ出会いで程良い具合にベンチへ帰着、早々とランチタイムとする。覚悟していた人波もなく、どこかの別荘にお邪魔している気分で寛ぐ。帰り支度を始めた頃、ようやく登って来る人影が見え始める。
地倉峠でランチタイム
 下りは林道経由とするが、頭上を覆う見事な大木が目を引く(バカチョンカメラには納まらない)足元には、フタリシズカ、アマドコロorナルコユリ、エビネ等々。久しぶりに沢山の花を目にしウキウキする。
 林道終点(分岐)まで下ると周南の陽希氏の車が停まっている。教えられた通り左折し寄り道する事に。沢沿いの道には様々な花が咲いている。シライトソウもサイハイランも初めての花だ。ミズ(ウワバミソウ)の大群落も続いている。緩やかな登りでも少ししんどいが、頑張って来て良かった。
崖に咲くシライトソウ
  駐車場まで帰り着き思わず「ハ、ハ、ハ・・・・」と苦笑い。何台も車がひしめき合っていると思ったらデリカが1台。自宅発5時は何だったんだ。文句も言わず付き合ってくれた田中さん、「ゆっくり歩けてよかったですよ~」と優しい。言われてみれば、そこそこの時間だし我が家ペースでも予定外も歩けたしで良しとしよう。水が無くてもモリアオガエルが鳴いていた。年と共に弱気になってしまう毎日だが、沢山の元気を貰った地倉沼の一日だった。
 
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
    
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.