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志手ノ木沢・寺の奥沢(佐波川水系)
 
 
 
日 時  2021年9月18日(土)
天 気  曇りのち晴れ
メンバー  池本、内田、大野(山口山岳会)
行 程  山口~仁保~徳地野谷~駐車地点7;45~林道~志手ノ木沢入渓8:05~F69:20~引き返し9;45~駐車地点10:35~移動~駐車地点~寺の奥沢入渓10:55~F8~引き返し12:00~駐車地点12:40~山口
 今回、三連休の直前に台風が近づき、前日の夜に山口県に最接近する見込みだ。この台風14号は悩ましい。直前になるまで影響が読めず、どの程度の降水があるか分からない。万が一、大雨が降った時のために、普段から水が少なく、難易度も低そうな沢に行くことにした。今回は近場の志手ノ木沢と寺の奥沢の二本立ての予定だ。
 まずは志手ノ木沢(地理院地図では志手ノ木川)に向かう。三浦さんの本に「ミニミニナイアガラ」とあり、以前から気になっていた沢だ。
 道路脇の空きスペースに駐車し、準備をしてから出発。遡行図のとおり、林道を進む。こんなに林道を進んで大丈夫かと不安になった頃、橋を渡ったところが林道終点となる。
 その先に堰堤があるので、左岸から越えて入渓した。
 直前の降水情報を見ると、24時間で60mm程度。さすがに増水しているはずだが、普段はかなり水量が少ないのだろう。むしろこのくらいの水量が沢登りにはちょうど良い。水も冷たくないので、沢の中を順調に進む。
 手前の淵を腰まで浸かって越えると、小さなゴルジュの奥に滝が現れた。F1だろうか。水量が多いため、水流の右際を登るが、ホールド・スタンスは少な目で、しっかりクライミングさせられる。
水量の多いF1が奥に見える
F1をクライミング
  その後も滑や斜滝を気持ち良く越えて進むと、勢いのある斜滝が現れた。これがF4斜8mで間違いないだろう。
 ここはロープを出して登攀開始。傾斜は緩いものの、激しく流れ落ちる水量のため、水流の中の様子は分からない。
 右岸側から取り付き、真ん中で滝芯を左岸側へトラバース。そのまま左岸沿いを登っても良かったのだが、最後は上部の水流に突っ込んでみた。思ったよりもホールドがなく、セットしたカムも弾け飛んだが、何とか落ち口へ抜ける。この水量ならではのアドレナリン全開だ。ロープをフィックスして後続をフォロー。
F4斜滝8mを登る
 F4を越えると間もなくで次のF5が現れる。立派な釜を持っており、なかなか格好の良い滝だ。
 念のためロープを出したが、水流に入ることなく右岸沿いを登れるので難しくはない。ただ、今回の水量では足元の水流は迫力がある。
格好の良いF5トユ状8m
 志手ノ木沢は短いだけあって滝が連続し、気がつけばF6となる。手前に木々があって見えにくいが、ここで二俣となる水の流れにそれぞれ滝がかかっているようだ。どちらの滝も普段より水量は多いはず。形状からはどちらがミニミニナイアガラなのか分からないが、楽しめそうな水量の多い左の滝を登ることにする。高さは5mほどだろうか。
F6右の滝ミニミニナイアガラ?
 かなりのシャワークライミングとなることが予想されるが、下から見た感じではホールド・スタンスは豊富にありそう。
 滝の左から取り付き、水流の直撃を受けながらトラバース。上から落ちてくる水が質量をもって身体に降り注ぐ。押しつぶされないよう一挙手一投足を慎重に動かし、何とか落ち口に抜けることができた。
 手足はしっかりあるので耐えられたが、これだけ水量のあるシャワークライミングはなかなかできない。
F6左の滝を登る内田が見えないほどの水圧
 遡行図ではF6までだが、もう少し先に進んでみたものの、F6の上は水流も細くなり変化はなさそうなので、ここで遡行終了。登ってきたばかりの沢を引き返し、林道を歩いて駐車地点に戻った。

 時間はまだ10時半なので、予定通り次は寺の奥沢(地理院地図では寺の奥川)へ。道路脇のスペースに駐車すると、今度はすぐに入渓できた。こちらの沢も増水しているものの、初心者が適度に楽しめるくらいの水量だ。入渓後、すぐに最初の堰堤が現れるので、左岸から越える。
 F1を過ぎて、二つ目の堰堤は右岸から越えて進む。曇っていた空から沢に日が差し込み、雨上がりの沢が美しい。気温も高く、積極的に水に浸かって気持ち良いくらいだ。大きな滝はないが、適度に変化があって楽しめる。
増水しても適度に楽しめるくらいの水量
 その後、右岸から滝のかかる支沢が入ってきた直後に2mほどの滝が現れる。
 遡行図のF6C/Sになるのだろうか。一見、簡単そうだが、取り付いてみると、スタンスが乏しい上、水流の直撃を受けることもあって難しい。今回の状況では5級くらいのムーブが必要だった。
水流の直撃を受ける池本
 その後もいくつか現れる小滝を越えていく。トユ状の滝や小さいながらも釜をもった滝、ステミングで越える滝など、多様な動きが求められ飽きさせない。
その後も小滝が続く
 そのうち変化がなくなったので、遡行を終了。沢を引き返し、途中からテープの付けられた登山道を歩いて駐車地点まで戻った。
 普段、近辺の沢に行くことが少ないので、今回は良い機会となった。そして、簡単な沢でも水量次第で難易度が上がるため、水量の多い時に今回の沢を遡行するのはありだと思った。
 それにしても、こんな小さな沢の記録も残した三浦さんは一体どれだけの沢を遡行したのだろうか。改めて三浦さんの山に投じたエネルギーに脱帽するしかない。
 
( 文:内田、写真:池本・大野・内田 )
    
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