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福川長崎谷川(高津川水系)
 
 
日 時  2021年9月4日(土)
天 気  曇り
メンバー  池本、内田
行 程  山口~津和野~柿木村福川~駐車地点~入渓7:45~340二俣9:00~410三俣9:30~シモミズナ~920ピーク11:05~オクミズナ下降~340二俣~林道~駐車地点13:55~津和野~山口
 沢に入るタイミングなのだろうが、今年の沢は水量が多い。特に8月以降、大雨が降った影響か、入った沢はどこも迫力があるように感じた。
 今回も前日までの二日間で110mmを越える降水があったようだ。探索の沢なので多少の不安はあるが、ともかく現地に行ってみることにした。
 向かった先は福川長崎谷川。
 三浦さんの本では、初級者向けで「沢登りの対象としてギリギリ」とあるが、今回の目的は遡行図の先だ。以前から、340の二俣から920ピークまでを詰めたらどうだろうかと考えていた。
 普段は水量が少ないのだろう。確かに増水はしているが、水は濁っておらず、これなら何とか遡行ができそうだ。お手軽に二俣から入渓しても良いのだが、この沢自体が初めてなので、福川川との出合付近から沢に降りた。
入渓後やはり水量は多い
 沢沿いにつけられた林道は遡行図と一致しない。入渓してから最初の橋まですぐだが、滝らしきものもなく、二俣までいくつか橋がある。とにかく水量が多いので、普通に歩くのにも体力を使うが、基本的には遡行図どおり平凡なゴーロが続く。
 やはり二俣までは林道を歩いた方が良いかと思っていると、白く泡立つ水流が渦巻く淵の奥に2mほどの滝が現れた。淵の手前は左岸からの岩で狭められており、水流の勢いが強くなっている。この小さな沢にこんな迫力のある淵があったことに驚くが、今回、二人ともライフジャケットは用意しておらず、この水量では突破は難しそうだ。
こんな素敵な淵が
 それでも、とりあえずはトライあるのみ。ホールドの乏しい手前の岩を泳ぎ交じりで越えると、水流の向きが変わり、一息つける。そこから、強い水の流れに逆らって滝横に取りつこうとするが、この水圧では浮力が足りず、身体が沈んでしまう。何度か内田がチャレンジするが、目の前の岩にあと一手が出ない。
 ここは池本に交代。池本は躊躇することなく、泡立つ水の中に飛び込み、水圧に耐えて見事に岩をキャッチ。そのまま滝の側壁を越えた。こんな時、池本の突破力は本当に頼りになる。内田は久々に水を飲まされ、改めて激流におけるライフジャケットの有用性を痛感した。
ここから先に進めない
 思わぬところで時間をかけてしまったので先を急ぐ。立派な釜を持つ滝が一つあったほかは、相変わらず水量は多いものの、大した変化のないまま二俣に着いた。左俣には二条の滝がかかっている。当初から左俣を遡行することにしていたので、予定通り左へ。ここからが本番だ。
 二条の滝は、右の水流には近づく気にもなれないので、左の水流にシャワーで取りついた。
 頭の上から落ちてくる水流が激しく、目を開けることができないため、手探りでホールドを確かめる。丸っこい縦ホールドをつかみ、ガバを取ったら一安心。水圧を受けながら慎重に落ち口を抜けた。
左俣にかかる二条の滝
 その上には堰堤があるので、左岸から巻くと、横にはまだ林道がある。どこまで伸びているのだろう。
 堰堤を越えてから再び入渓。その後、いくつか小滝を越えて進むと、三俣と出会う。水量が多いため、ここまで見事な三俣はなかなか珍しい。
 920ピークを目指すなら、右のシモミズナか真ん中のオクミズナだが、ここは斜滝のかかっている右へ。以前から入ってみたかった支沢だ。知らない沢を登るのはワクワクする。
シモミズナの入口
 結論から言えば、右のシモミズナには目ぼしい滝はなかった。いくつかの小滝はあるが、気がつけば水量が減少し、すぐに源流域のような雰囲気となってしまった。
 大雨後で今回の状況なので、平水時ならどれだけ水量があるか分からない。ただ、人の入った気配はなく、苔むした岩や倒木は美しい。
いくつかの小滝を越える
早くも源流域のような雰囲気
 両岸を尾根に挟まれた緑の谷を登っていく。
 先月の大水の影響だろうか。足元の岩は安定しておらず、体重をかけると動き出すものが多い。さらに細くなる水流をたどり、ひたすら沢を詰めると、最後は笹に突入した。
 最初はいつもの笹漕ぎだったのが、稜線に出てから笹の密度が濃くなる。苦労して920ピークまで進むが、休む場所もないので、そのまま下山を開始。
 オクミズナへ下降するが、猛烈な笹藪となり、なかなか前に進まない。久々に濃い笹が全身に絡みつき、思うように身体を動かせない笹漕ぎとなった。
久々の笹漕ぎとなる
 ようやく笹が薄れると、後は快適にオクミズナを下る。いくつか滝があったので巻いたが、巻くのも悪い箇所があった。
 340の二俣付近で林道に出て、後は林道を使って駐車地点まで戻った。
トラック図(福川長崎谷川)
 今回、目星をつけていた沢がハズレだったのは残念だが、探索の沢登りではよくあること。
 それよりも、濃い笹藪に苦しみ、大汗をかいてピークを踏むという、久しぶりに泥臭い遡行ができたことに、案外、気持ちが満たされた気がする。最近、きれいでまとまった沢登りばかりだったので、改めて沢登りの原点を考える良い機会となった。
 
( 文:内田、写真:池本・内田 )
    
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