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三倉岳クライミング(広島県大竹市)
 
 
日 時  2020年11月29日(日)
天 気  晴れ
メンバー  内田、鹿野(会員外)
行 程  山口~防府東IC~岩国IC~三倉岳~岩国IC~防府東IC~山口
 鹿野に誘われて、久々に三倉岳に行くことに。三倉でのクライミングは、岩に対する気持ちが試されるようで、いつも背筋が伸びる思いだ。
 朝7時半にマロンウォールの駐車場で待ち合わせ、準備をしてから登山道を上がる。道中の気温は2℃だった。あまりに寒いので、アップで旧Aフェースのノーマル5.7とお茶さい5.8を登る。
 岩の冷たさで指先がかじかむせいなのか、三倉グレードのせいなのか、アップなのに全力で登る。
 身体は全然温まらないが、源助崩れへ向かうと、既に数人がトップロープをかける準備をしている。聞けば、本日はここで講習会が行われるとのこと。モアイクラックとラッキーネーブルを使うそうなので、ヒップクラックを登ることにする。
 ヒップクラックを触るのは今回で2回目だが、前回は終了点手前のムーブが全く分からず、カムのA0で抜けた記憶がある。
ヒップクラック下部
 前回も登っているので、下部の右上するクラックと中間のチムニーはイメージ通りに越える。問題は上部のオフィズスだ。クラック左のスタンスに足を乗せてから、手はリービテーション、足はヒールトウでじわじわと身体をずり上げていく。何度かずり落ちながらも、かなりの時間をかけてクラックの抜口まで達し、最後は気合で枯れ木を掴んだ。
 念願のRP!素直に嬉しいが、次も同じように登れるとは思えない。これが5.9とは、相変わらず三倉のグレーディングは厳しすぎる…。
ヒップクラック上部ここからが厳しい
 既にヘロヘロになったが、お次は入門クラックへ。これはクラックの入門ではなく、中の岳への入口という意味だと聞いたことがある。ここは初めてなので自分からトライさせてもらった。思いのほか長いルートで、後半で厳しい箇所もあったが、何とかOS。自覚はないが、今日は調子が良いのだろう。
入門クラック
 お昼を食べる時間を惜しんで、次の青白ハングへ向かう。目指すは兵隊クラックだ。これまた初めて触るので、自分からトライさせてもらう。自分にとっては快適な幅のクラックで、左右にもスタンスがあるので、ヒップクラックよりも大分登りやすく感じた。若干、中間のクラックが効きにくいか。ここも嬉しいOS。
兵隊クラック
 とりあえず、希望のルートは登ったので、トポを見て次のルートを探す。すると、兵隊クラックのすぐ右に上の岳ノーマルチムニーがあるではないか。以前、下の岳ノーマルチムニールート3ピッチを登った際、両粂さんにお勧めだと教えてもらったルートだ。
 身も心もよれてきた状態で、三倉のチムニーを登ることに不安はあるが、せっかくなので覚悟を決める。いきなり厳しいチムニーへの取付5.9を越えて、すっぱりと切れ立ったノーマルチムニー5.8の直下へ。下の駐車場からでもはっきと分かる見事なチムニーだ。
上の岳ノーマルチムニーへの取付
上の岳ノーマルチムニーを下から見上げる
 案の定、取り付いてから激しい後悔に襲われる。バック&ニーなので、オフィズスほどの奮闘系ではないが、当然ながら支点はとれない。次第に遠ざかっていく鹿野の姿を下に見ながら、絶対に落ちることはできないと両手両足には必要以上に力が入る。
 途中、ふと横を見ると錆びたハーケンがあったので、有難く使わせてもらうが、こんなところの良く打ったものだと思う。ただ、見るからに強度は怪しいため、気休めにしかならない。時間をかけてずり上がるが、チムニー中間のチョックストーンまでが長かった。
チョックストーンまでが長かった
 チョックストーンからはカムで支点が取れ、少し気持ちに余裕が出るが、まだルートの半分くらいで、その先も長い。何度、終了点はまだかと心の中で唱えただろう。
 ようやく終了点に達した時には、OSの喜びも感じることができないほど、まさに文字通り心身ともにボロボロだった。三倉のチムニーは厳し過ぎる…。

 最後は鹿野の希望で、青白ハングあたりにあるつつじの咲く頃5.9を触る。トラバース後の甘いクラックが核心か。自分は既に気力体力が残っておらず、早々にテンションをかけてしまったが、鹿野は見事にRPを決めていた。
つつじの咲く頃
 三倉に来る度に、何かを教えられる気がする。重いギアを担いでのきついアプローチ。岩でこすれて傷だらけになる手足。必要最小限のボルト。安易なクライミングをしていないか、いつも問われているように思えるのだ。
(文:内田、写真:鹿野・内田)
       
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