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大雪山~トムラウシ山 登山
その② ヒサゴ沼キャンプ指定地~化雲岳~天人峡
 
 
日 時  令和2年7月18日(土)
山 域  大雪山(表大雪)
天 候  18日 晴れ
メンバー  福山 清二 他 1名
行 程  <7月17日(金)> 化雲岳登山口~ヒサゴ沼キャンプ指定地

 <7月18日(土)>
 ヒサゴ沼キャンプ指定地(5:15)~縦走路との分岐(6:30)~化雲岳頂上(8:30)~第一公園(13:30)~化雲岳登山口(16:45)
 当初の案ではトムラウシ山を越えた南沼キャンプ指定地で泊り、トムラウシ山頂上で日の出を観て4時過ぎに下山開始予定だった。昨夜は少し冷えて5.8℃だった。登山前の「てんきとくらすトムラウシ山」の2,000mの21時の気温予報は16℃だったのに400mも標高が低いヒサゴ沼キャンプ指定地がこんな低温とは全く予想外だった。
 しかし考えてみれば立地が全く違う、ヒサゴ沼の周辺は雪渓ばかりで絶えず相当量の雪解け水が流入し雪渓の欠片が氷山の様に浮かんでいるのだから、直ぐ側のキャンプ指定地が低温なのは当然なのだ。連泊された方の話では前日は雨も降り零下になったそうだった。
 夕食前後の気温は10℃程度だったが、翌日夕方までの2人分飲料水6Lの作成確保も必要だったので相当長時間を要した。北海道ではキタキツネが主な感染源でエキノコックス症の発生の恐れがあるので生水は絶対に飲まず、必ず煮沸しなければならない。煮沸時間と重量のバランスが大切になる。
 出発前に避難小屋のトイレを借りた。昨年小屋と共に改修され立派になっていた。
 しかし、バイオトイレでなく極めて頑丈な無垢材製で2部屋、手すりも無く子供だけでなく小柄なら大人でも落ちそうな程大きな長方形の空間(穴)があるだけだった。相当下に巨大な便槽があった。出会ったガイドさんからバイオトイレは20年しか耐用期間が無いかららしい、溜まったらトイレ部分を蓋の様にヘリコプターで吊り上げ外して、便槽自体をヘリで運ぶと教えて頂いた。費用が掛かるのは大変だろうが釈然としなかった。
雪渓に囲まれた早朝のヒサゴ沼
ヒサゴ沼避難小屋・トイレとキャンプ指定地
 雪渓やヒサゴ沼の輝きなど早朝の光景を写真に収め、結露で重くなったテントの入ったザックを背負い5時過ぎにヒサゴ沼を後にした。
 昨日と違い化雲岳直行ルートでなくトムラウシ方向に沼の側を進んだ。雪渓は滑りそうもないのでアイゼンを装着しなかったが振り返ると雪渓の先は沼にはみ出し、雪庇の状態だった。
大きな雪渓がヒサゴ沼に到達、雪庇状態
 少し進むと相当の傾斜で長い雪渓が現れた、付けないパーティもあったが即、アイゼンを装着した、その上部は更に傾斜がきつく長かった。高度が上がる度に周囲の景観が変わりヒサゴ沼が神秘的に輝いていた。
 雪渓が終わりゴロゴロの岩のところで休憩中のパーティと一緒になった。話中に突然「ナキウサギだ」とパーティの1人が指さし叫んだ、皆がその方向を探したが誰も確認出来なかった。この方はガイドだそうで色々教えてもらった。
 昨夕、キャンプ指定地の対岸縁の雪渓にヒグマがいると皆に知らせたのもこの方だった。
雪渓から振り返る、沼の左奥が避難小屋
更に上部から振り返る
 それからは直ぐに化雲岳からトムラウシ山方面の縦走路に入った。残念ながら今回は左のトムラウシ山ではなく、右の化雲岳方面に進んだ。
縦走路からトムラウシ山方面
縦走路から化雲岳を望む
 化雲岳に着くと昨日も出会った方と再び会った。地元の方で、まれに見る絶好の天気なので化雲岳に滞在して写真を撮っておられた。
 その方から化雲岳大岩の側を指さし「北海道しかない極めて珍しい花があるよ、撮ったら」と教えて貰った。「蝦夷瑠璃草」を大事に撮影した。
 翌日、富良野岳登山予定なのでトムラウシ山の西の噴煙が気になり「あれは十勝岳?」など質問し丁寧に教えてもらった。十勝岳、美瑛富士などは遠方ながらしっかり確認する事が出来た。
化雲岳から旭岳~黒岳の大展望
南には十勝岳連峰も
 これからは登山口まで下るばかりだが、天気が良すぎて暑く水分補給で飲料水が下山までに足りなくなりそうで不安だった。
 登山口まで水場は無いが昨日は登山道を清流がたっぷり流れていたので流水を汲み煮沸することにしたが現実には登山道に流水は全くなし、24時間で全く違うのに驚いたが無いのは仕方ないと第一公園を期待していたが、ここも溜まり水が所々にあるだけでペットボトルに直接取れる深さが中々なかった。煮沸するから多少の異物や濁りも我慢して各自700cc位作成してマグボトルに入れた。
 どんどん進んだが登山口まで中々遠く、最後の九十九折の急坂も登りより楽と自分に言い聞かせながら頑張って歩いた。なかなか大変だったが充実した山旅だった。
 まとめ
 天人峡コースは距離が長いので、負担を軽減するためザックの軽量化に努めた。シュラフを外したがエアーマット、シュラフカバーや重ね着、重ね履きで寒さは凌げた。
 しかし朝食、昼食休憩及び写真撮影に時間をかけ過ぎ、軽量化したもののザック重量は飲料水3L等を含め15kgで、疲れは感じなかったが歩行速度の遅れにつながり、化雲岳到着時刻は予定より3時間遅れとなり、トムラウシ山は断念した。
 また、コロナ感染対策のため消毒液持参、避難小屋の密を避けるためテント泊にした。避難小屋は定員40人のところ1階10人、2階5人で使用されていた、テントは13張で間隔も十分とれ感染の恐れは感じなかった。
 難所は無かったものの、大雪山は距離が長くて厳しいと実感した。また、お花畑を超え高山植物の原野が続く大絶景は衝撃だった。こんなにも遠いところ、高い所、絶景の環境に自分の足で元気で行動出来たことに感謝している。
(文・写真 福山)
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