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大雪山~トムラウシ山 登山
その① 天人峡~化雲岳~ヒサゴ沼キャンプ指定地
 
 
日 時  令和2年7月17日(金)
山 域  大雪山(表大雪)
天 候  17日 晴れ
メンバー  福山 清二 他 1名
行 程  <7月16日(木)>
 福岡空港(14:25)~新千歳空港(16:40)・レンタカー(17:30)~燃料缶購入(岩見沢)(19:00)~温泉施設・旭川(20:30)

 <7月17日(金)>
 温泉施設・旭川(2:00)~車~天人峡温泉(3:30)~化雲岳登山口(3:45)~滝見台(5:10)~第一公園(7:50)~第二公園(11:50)~ポン沼(13:10)~化雲岳頂上(15:05)~ヒサゴ沼分岐(15:20)~ヒサゴ沼キャンプ指定地(16:20)(泊)
 大雪山には過去2回挑戦、最初は14年前の6月下旬に観光で、ロープウェイで姿見の池付近を散策、残雪が多くガスも濃かったので旭岳は断念した。2回目は9年前の9月末、初めての単独山旅、シュラフ持参で利尻岳、礼文島を経由した後、層雲峡から旭岳までの大雪山縦走を狙ったが雨(雪)になりお鉢平展望台付近まで散策したものの黒岳石室で1泊して帰宅した。
 いつか複数人で表大雪を大縦走したいと念じつつも日程、力量、費用等々でパートナーが得られず北・中央・南アルプス等の単独縦走を毎年続けていた。
 ところが近年若くて体力充実の仲間と北アルプスや八ヶ岳を小屋泊で一緒に縦走するようになり、大雪山は避難小屋かテント泊なので、格安航空券を利用すれば経費も変わらないと冬明け頃から準備し訓練登山もして来た。
 その後、新型コロナウイルス感染が大変なことになり不安だったが3密対策をすればOKとなった。しかし、初日に宿泊予定だった白雲岳避難小屋が今年は建て替え工事で使用禁止、野営場も資材置き場やコロナ間隔で非常に狭くなり、土日祝日に加え金曜日も使用禁止となった。当初は旭岳~白雲岳~化雲岳~トムラウシ山~天人峡の大縦走を予定していたが、天人峡からの往復登山に変更せざるを得なくなった。
 17日、旭川の温泉施設を2:00に出て、天人峡温泉に3:30到着、柱状節理の険しい渓谷沿いに大きなホテルもあったが相当に寂れていた。すぐ近くの化雲岳登山口から登山開始、最初から九十九折の急坂、ゆっくりと高度310mを登って919mの滝見台に到着、渓谷の向こうの岩壁から流れ落ちる落差270m,7段の「羽衣の滝」は豊富な雪解け水で壮大・華麗だった。
 これからは緩い登りが延々と続く、天候は晴れ、草刈りは大変だったろうと思いながら1時間半も進むと木道が現れ、直ぐに第一公園に到着した。
 青空の下6km程先に多数の雪渓を抱えた旭岳の雄姿があり、その連なりの向こうに黒岳も見えた。標高1,361mの湿地帯、周囲の花々、樹々、緑の草と木道の環境に感動し幸せを感じた。朝食など少し長居して男性の単独登山者3人に抜かれたがシーズンなのに非常に少ないと感じた。
旭岳~黒岳、水と緑の第一公園
 ここから先は高山植物、豪雪に潰されながら逞しく生きる「ダケカンバ」、ハイマツ林等が続いた。登山道は長年にわたって雨や雪解け水に深く削り取られ「川」になっており、前日までの雨を受け水量が増し歩ける状態ではなかった。
 本州なら出来る脇道も登山者が少ないため全く無く、ハイマツの枝等にたよりながら登山道脇を進んだ。一方、ハイマツの枝が伸びて登山道を塞ぎ掻き分けながら進んだ個所も何か所かあり、花粉もずい分吸い、テント泊用具の入った大きめのザックでの通過には苦労した。翌日出会ったガイドさんに聞くと「天人峡コースは長く厳しいので地元の人は余り通らない、ハイマツは2~3年毎に刈込するが今年はコロナで中止した。」とのことだった。
 しばらく進むと登山道の周りがお花畑になりハイマツが地面を這うようになると第二公園に到達した。コマクサもあちこちに咲き、少し前方に雪渓も見える広大な平地の一画で昼食にした。
高山植物とハイマツ林、広大な第二公園
 小化雲岳方向に進むと見渡す限りの丘にチングルマを始めとした高山植物の大群落が続いた。丘を越えたらまた違う大群落の光景が続いた。抜群の時季に遭遇したのだろうがここまで素晴らしい高山植物の光景は登山人生で初めての体験だった。
 写真撮影で予定時刻が遅れるのも心配だったが予定を変えてでも浸りたかった。こんな感じがポン沼過ぎまで続いた。
見渡す限り高山植物の大群落を行く登山道
雪渓とお花畑に囲まれ青空を映すポン沼
 ポン沼を過ぎてしばらく登ると突然、新たな光景が飛び込んだ。
 左の雄姿はトムラウシ山だが当面の目標の化雲岳が想定の位置に見当たらない。よく見ると想定よりズート先、約2km向こうに化雲岳はあった。途中に小山もあり既に14時近いのでトムラウシ山までは行けないとヒサゴ沼キャンプ指定地泊に変更を決めた。
左に化雲岳、右に雄大なトムラウシ山
 小さな雪渓を超えトムラウシ山方面の豊かな雪渓などを見ながら高山植物の中を化雲岳に向かって進んだ。化雲岳に近づくと裏手の見事な雪渓を蓄えた大きな爆裂火口跡に驚いた。
 なだらかに見える大雪山のとてつもなく巨大な造山の歴史を感じた。
化雲岳の裏手は広大な爆裂火口跡、見事な雪渓
化雲岳頂上
 これからはヒサゴ沼避難小屋まで下りるばかりと歩を進めたがヒサゴ沼分岐からの登山道は無残に崩壊したままで、危険個所とぬかるみで大変だった。
 11年前のトムラウシ山の遭難事故とは関係ないが、損壊の程度から事故以前からと見受けられた。例え雪解け時の登山者が多くないルートであっても補修されるべき状態での放置に違和感を覚えた。
 一方、分岐を過ぎると凄く長大な雪渓がヒサゴ沼まで続いていた。最後の部分の雪渓を下りていたら突然登山道が川になり前方は背丈以上の熊笹林になった。30m程の距離ではあったが先の見えない藪漕ぎで沼付近の登山道に出たものの、日没後や早朝のライトでは大変危険、分岐付近の危険個所の階段の崩壊放置と同じ感じを抱いた。
ヒサゴ沼までの斜面に長大な雪渓が続く
雪渓の先にヒサゴ沼、避難小屋も
 まとめ
 天候と時季に恵まれ高山植物と抜群の景観に感激し写真撮影に時間をかけすぎたこと、登山道の荒廃やハイマツ林の藪漕ぎ、キャンプ用品等に加えエキノコック症対策で生水は飲めないため3Lの飲料水持参でザック重量15kg超での長時間の登りは厳しくて時間超過してしまい、トムラウシ山登頂は断念した。
 しかし、こんなに遠く奥深い所に元気に登山が出来た事に幸せと感謝の念を深く感じた。
(文・写真 福山)
その② ヒサゴ沼キャンプ指定地~化雲岳~天人峡 → 
 
      
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