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十方山ラッセル
2008年 1月29〜30日
 
メンバー 村岡、斉藤宗、斉藤滋、F(やまびこ)、H(コンパス)
 十方山を水越峠から尾根通しに登ろうとした。参加者の都合で、29日出発と30日早朝からの歩きの 二手に分かれた。 後発の斉藤ペアの報告をする。
 30日恐羅漢スキー場下の二軒小屋駐車場を 6時50分出発。
 予想通り携帯電話は圏外。曇りだが辺りは薄明かるくライトは要らない。
 横川林道に昨日の三人の足跡が残っている。最初ツボ足歩行が、膝まで埋まり始めたので ワカンを着ける。彼らも着けたようだが  しばらくするとツボ足に戻している。
 自分達は今朝の新たな新雪の深さを考え、ワカンを着けたまま進むが、はかどらない。
 彼らは昨日作ったであろうイグルーで待っている筈だ。 気はあせるが、昨夜の重い雪に垂れた木々に行く手を遮られ 時間を要する。
林道とも思えない程 狭くなった道 横川はモノトーン
 やっとシシガ谷入り口に たどり着くと、踏み跡はシシガ谷に入っている。水越峠への足跡は無い。
 計画では水越峠周辺で泊まる筈だが 足跡を 追いかけなければ合流出来ない。
 しばらく進むとGが「登山道を外れている。もっと上の筈」と言う。でも合流するには、足跡を辿るしかない。
 数分先で 足跡は上に上に登り、沢から離れ 登山道に戻っているので一安心。それにしても水越峠から十方山の尾根歩きの話は変更されたのだろうか。
下山で尾根を下るつもりなのだろうか。携帯電話は圏外のままで交信できない。
 道はしばらく水平のまま進み、又 沢に近づく。一箇所流れの中を通過するが この後 Gのワカンに不具合が生じることとなる。
 ワカンの底の紐がたっぷり水を吸い、歩く度に雪を付け 段々成長し高下駄のようになる(今までなかったこと)。
 時々立ち止まり除去するが、 氷のように堅い。さぞかし重いと思うが 今日の重い雪に慣れているせいか 文句を言わない(気がつかない)。
 9時15分 シシガ谷コースの中間辺りで 先行3人のイグルーに到着。
沢でワカンを濡らす 先行3人が雪中泊したイグルー
 「寝心地はどうでした?」と聞くと 「寒くて一睡もできなかった」「でもお互いイビキが聞こえた」 なら大丈夫。
 「熱いコーヒーを作りたいがマッチがありますか」
 ははーん、高い湿度のため コンロの放電ができなくなったらしい。ライターを渡す。
 筆者も若い頃、3月に西穂高から奥穂高に縦走したが、軽量化のためテントは持参せず、稜線直下で雪洞泊まりをしたことがある。風は防げるし 中でホエブスに火を付けると急速に温かくなり快適と思ったが、煮炊きを始めるともうもうと蒸気が立ち込め、通気孔を増やした覚えがある。
 40年も前のことで、衣服は粗末で たっぷりと湿気を吸い保温力が低下し、寒い思いをしたことがある。
 昨日彼らは小雨の中、重い雪に ワカンでは引き上げる時の体力消耗が激しいので ツボ足に戻したそうだ。さぞかし難儀であったろう。
 ここからGと筆者で新雪のラッセルを開始する。注意深く見れば、適当な間隔で赤や黄の目印がありこれを辿る。
 雪は湿度が低くなり、歩き易くなる。でも所々吹き溜まりがあり 落ち込む。
 脱出に労力を費やすのでこれを予知し避けながらの登りを続ける。
 標高差200m位登った広い鞍部で全員が揃う。





交代でラッセル 1
交代でラッセル 2
 この鞍部は大き過ぎて 現在地をピンポイントで特定できないし、ガスで廻りの地形が見えない。
 樹木に着雪しているのでテープ類も見えない。
 無雪期なら踏み跡がはっきり分かるが 1m超えの積雪ではこれも駄目。
 そこで西にある筈の1328mの最高点を目指す。急斜面も現れたが、重い荷のはずのイグルー組の頑張りで登りきる。
新雪のラッセル 1 新雪のラッセル 2
 このピークに来たのは初めてである。
 頂上の東側には大きな岩がある。
 ここで十方山頂上にシルバコンパスをセットする。
 視界がきかず地形に特徴がない積雪の上では、有力な道具になる。
 緩やかに下り やがて前方に登り返しが見えてくる。
 赤テープも現われ 登山道に戻っていることも確認できる。後は見覚えのある木々の間を抜けて 頂上へまっしぐらに進む。
 12時15分 1318.9mの頂上到着。展望は無し。
 簡単には人を寄せ付けないぞという雰囲気で、標識がポツンと寒々立っている。
 頂上到着
 視界は悪く、全員少々疲れ気味。
 帰りもあの長い林道歩きが待っている。そこで無理せず 水越峠への尾根通し下山は諦めて、往路の踏み跡を使い シシガ谷へ下山することにする。
 風を避ける為 先ほどの1328m東側の岩陰に行き昼食とする。
 立ったままのカロリー補給だが 一応ほっとする。 ここから下り一方なので気が楽である。
 急坂も楽
 事件?は始まる。
 一気に下っている時の筆者は 前から4番目、途中話をしながら下っていたが、前方に倒木があり踏み跡はこの下を通っている。
 かがむのがイヤだなと辺りを見渡すと ここはヘアピンカーブで 左すぐ下に登ってきた踏み跡が見える。
僅かな距離だが 筆者だけショートカットする。
 このショートカットした間に3人が泊まったイグルーがあり、Gは物珍しく中に入って見たりしたらしい。
 すぐ来ない後続に ここで声を掛けるべきだが 筆者の姿は見える筈と勝手に判断してしまう。
 実は、筆者は年末より坐骨神経痛を患い かがんだり 立ち止まっていると、臀部と股関節が痛む。
 先ほどの昼食時もしかめつらして食べたぐらいである。そのため 歩いているほうが楽なので、ついつい前進する。
 少し遅れて5番目を歩いているMさんを皆が待っているのかな。そのうち皆が追いついて来るだろうと思っていたが、それにしても、かなり先行したようだ。
 後ろに向かって大声で呼ぶが返事はない。側の沢の音で声が届かないようだ。
 さすがに心配になり 200m位引き返しイグルーで Hさんに会う。
 連絡のため動かずHさんは残り、他は筆者を探しに登り返していると聞く。
 ちょっと声かけをしなかったばっかりに、疲れている皆に多大な迷惑をかけたことになる。
 Fさんが先に下りているはずと冷静に判断し、大騒ぎしたGも納得して下りて来たので、どうにか騒ぎが治まったが申し訳なくて以後しょんぼり、声も無し。
 横川林道は相変わらず歩き難く、時間がかかる。
 二軒小屋の駐車場に着いたのは16時前。約9時間の行動である。
<<今回の雪山は反省すべき点が多く、 今後に活かしたい。>>
 1.携帯電話や無線で交信出来ない地域では、山中の連絡方法に工夫が要る。
    それが困難な場合はパーテイの分割は慎重に考えるべきである。

 2.(数m、数十秒でも)列を離れる場合は 必ず近くの人に声をかける。
  3.木製ワカンの紐素材によっては、濡れると雪が堅く付着し取れなくなるので注意。
文・写真: 斉藤(宗)
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