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四国 剣山〜三嶺・天狗塚縦走
2007年5月26〜28日
 
< 斉藤 他4名(K,I,A,G) >
 いつかは この長いコースを歩いてみたいと思っていたが 急に話がまとまり 天候の良さそうな 頃を見計らい出掛けた。
 5月26日

 日の出を待って 車で宇部を出発。
四国に渡る頃は 天気が良いのに視界は悪い。 ここ最近黄砂の影響で、青空も見えない。
明日からの稜線歩きが心配である。
 池田から祖谷川沿いに南下して、かずら橋で昼食。
そこには大駐車場が新設されその上あの かずら橋のすぐ横に並行して 鉄とコンクリートの橋が出来ている。
遠目に見るだけにして先を急ぐ。
 道巾があまり広くないR439を辿り、久保の集落に13時到着。
ここで予約していたタクシーに 乗り換えるつもりで「車はどこに駐車すればよいか」と聞くと「どのコースを歩くか」と尋ねてくる。
予定をつげると「ジャンボタクシーについて来なさい」とのこと。
 ついその辺りと思い気楽について 走ると、随分長いし標高もかなり高くなる。
 Gは「下山時の樹林帯の楽しみが減る」と文句を言い始めるが先行するタクシーには聞こえない。
 かなり登ってやっと止まった所には車が3台駐車している。
タクシーの運転手は「林道が出来て 登山者は皆これを使うようになった。ここから下 久保までの登山道は廃道になりつつある。道迷い が多く ここが登山口で下山口でもある」と涼しい顔である。
タクシー料金が跳ね上がるので少々不満 であるが おとなしく従う。(しかし最終日にこれが吉となった)
 タクシーに荷物とともに乗り換え、見の越に向かう。
快適とは程遠い道を長くゆられ、料金1万円 支払う。一人当たりなら安いものだ。
 見の越からは観光登山リフトがあり これを利用する。
1000円だが明日の長丁場を考えると、体力温存のため仕方ないと割り切る。
リフト沿いにシャクナゲが咲いている。終点の西島から20分歩く。 
 地図1 剣山から三嶺
 剣山頂上ヒュッテには予定より随分早く着いたので、荷物を置いて散歩に出掛けたが黄砂が酷く 見通しが悪い。目指す三嶺ははるか遠くに霞んでいる。風も冷たく早々にヒュッテに帰る。
 風呂が沸いているとのことで行ってみる。浴槽は家庭用サイズだが全てが新しく気持ち良い。
 18時半言われたとおりに食卓につくと温かい食事が運ばれる。
山菜の天婦羅やヤマメの唐揚げは 熱々である。
野菜類の煮付けは薄味なのにしっかりした味付けでとてもおいしい。(我が女房がここで 味付けを教わればよいのに) ビールは勿論 ご飯もすすむ。
女房は三杯食べた。いい山の宿だ。
 5月27日

 日の出と共に出発する。
 
剣山山頂スタート
 黄砂は昨日より少ない。今日の縦走路は約15km。
 剣山頂上(1955m)から一旦下ると 目の前に次郎笈(ジロウギュウ)が大きく立ちはだかる。
北面の斜面に水平なトラバース道が見えるが、全員初めての山なので頂上を目指す。
 次郎笈へ
 笹に覆われた山肌がきれいである。
ミヤマクマザサと表示がしてある。
 次郎笈の頂上(1929m)に樹木は無く360度の展望が得られる。
ここからの三嶺は秀麗で人気の山であることが頷ける。
 この頂上から急坂を下るとトラバース道と合流し尚進むと大岩がある。
ここで風を避け湯を沸かし朝食とする。
 眼下に剣山スーパー林道が見える。緑資源機構が関係したのだろうか。
 気持ち良い笹原が続き、広い鞍部となる。(道標があり左・スーパー林道とある。)
縦走の次の目標地の丸石までは、穏やかな笹の尾根が続いている。二つ目のコブが丸石山頂だ。
 振り返ると次郎笈が大きく、右下には自然林の中に剣山スーパー林道が痛々しく見える。
 丸石山頂からは樹林帯になる。シラベかモミの幹それも根に近い所の樹皮が、鹿に食べられている。
 幹の全周が食べられるとその木は枯れる。既に枯れ死した樹もたくさん有る。 展望がきかない林の中なので 鹿の喰痕がやたら目につく。
動物か植生か地元では自然保護の難しさに 答えを出しかねているのだろうか(適正頭数に管理するには大変な労力を要する)。
 ダケカンバやブナは鹿の好みに合わないのか大木がある。
 ブナの大木
 林の中に避難小屋があらわれる。丸石の避難小屋とのこと。
先ほどから三嶺までの距離標示が減ったり 増えたりしてその度に??。
 この先で右側に奥祖谷二重かずら橋への道標がある。相変わらずウラジロモミの穏やかな林が続く。
いきなり視界が開け 高ノ瀬が見え始めた。周りにはツツジが沢山咲いている。
 ここから尾根を忠実に辿るか、トラバース道を進み伊勢の岩屋で水を得るか思案のしどころである。
ガイドブックには一長一短と書いてある。皆さんは元気そうなので、藪覚悟でトラバース道へ入る。
 斜面に笹が倒れているので歩きにくい。登り下りもあり快適な道ではない。
 伊勢の岩屋に到着したGが ヤマシャクヤクの群生を見つける。苦労した甲斐がある。
 岩屋下にはヤマシャクヤク咲く
 Kは目ざとく 岩茸の群生を見つける。でも見るだけにする。 岩屋下に水があるが少ない。この先のガレ場下には水が豊富に流れている。
 ここからのルートは不明瞭で、縦横にあるケモノ道に惑わされた微かな踏み後が沢山ある。
慎重に見極め歩を進める。正解はコンター沿いよりやや斜め上を目指し、途中の浅い涸れ沢の中の露岩 を3〜4m登る。
ホールド、スタンスは豊富である。この上に踏み後が明瞭である。ほぼ水平に進むと 又 岩が現れここから尾根に登る踏み後がある。
 尾根道に合流すると一安心。しばらく下ると新しい石立分岐の標識がある。
剣山から6km、三嶺まで9kmとのこと 時間は10時半。先ほどの難路でかなり時間を費やしたようだ。
 道は南斜面になり 眼下の緑がきれいである。振り返れば石立山が見える。前方の笹の斜面には白い露岩が現れ始め景色にアクセントとなる。
 1732m辺りからは 谷をはさんで三嶺が大きく横たわる。後ろには次郎笈とその左に剣山が懐かしい。一面の笹原で気持ち良い所なので中休止。
 1732mからの三嶺
 ここから少し下るとウラジロモミ林になり 北側には白い花(オオカメノキ)が多く咲いている。
1700mで展望が開け、左に白髪山が近くなる。ここで本日始めて登山者5名に出会う。
「今日は三嶺一帯の清掃登山日で、白髪側から林道を使って登った」と言われる。なるほど南東方向には(峰越)林道が見える。「ご苦労さまです」そこを去りながら思いおこすに四国の避難小屋や登山道はどこも きれいに保たれていて感心する。
 緩やかに林や笹原を過ぎ、いきなり白髪避難小屋に到着。
20人近くの若人のグループが出発準備を終えたところである。彼らは高知のK大学とのこと、水場を尋ねると親切に教えてくれてその上 三嶺の水事情(悪い)まで話してくれた。礼を言って別れたが 若い人が山と取り組んでいるのが嬉しい。
 12時も過ぎたので 水場に下りて昼食をすることにする。覚悟はしていたが急な下りである。 全員が降り切るのは不経済なので、途中の緩斜面で止まり昼食にする。
 元気な3名が水汲みし、体制を整えて登り返す。満腹時の急坂はこたえる。 やっと縦走路に上がり、左折。
このすぐ先に ふるさと林道への標識がある。白髪の別れにはまだ距離があるので、先ほどの峰越林道への道なのだろう。
 しばらく緩やかに登ると 白髪の別れに到着。三嶺まで4.5kmとなった。北西に三嶺、西熊山、天狗塚が見える。目の前のカヤハゲは東熊山とも言うらしい。
 前方はカヤハゲ
 三嶺は近くに見えるが結構なアップダウンがあり、長丁場の後なのでこたえる。Kが「歩幅が小さくなった。脚が出ない」と言っている。
 カヤハゲ頂上直下の大きな白い岩のかげで中休止とする。 先程汲んだ水がまだ冷たいのでこれに粉末ポカリスエットを溶かし込み、皆で200ccずつ飲む。 これが効いて当面の元気がでる。
 カヤハゲから下りながら 三嶺を見ると 尾根道の真ん中に大きな岩が立ちはだかっている。 白い巨塔かジャンダルムか。
 難所を前にもう一度 中休止してカロリー補給しモチベーションを高める。 問題箇所は 向かって右側に鎖が設置されているので以外と楽に登れる。でもこの後の急坂は疲れた体にはこたえる。Iが四つんばいで頑張っている写真もあるが 本人の名誉のため公表しない。
 やっとの思いで三嶺頂上(1893m)到着は15時20分。360度の大展望があるのに 目線は剣山・次郎笈を探し丸石〜カヤハゲの稜線をたどる。素晴らしい縦走路である。
 頂上から東側に下った所に、三嶺ヒュッテがある。新しく大きな建物で60名収容可能。 先客は30名足らず。そのうち大半は兵庫のK.G大の学生さんで行儀良く、楽しそうに夕食の支度を始めている。重い根菜類を運び込み栄養バランス良い献立のようである。
 それに比べて我がパーテイは 軽い・簡単・後片付け不要をコンセプトに献立を考えている。但し 彼等に無いものを担ぎ揚げている。それはアルコール飲料。(全く自慢にならない&自己満足のみ)
 夜中にトイレに起きる。月が満月に近くきれいである。でもトイレは遠いので完全に目が覚める。 帰って寝袋に入ると 遠くで動物の声が聞こえる。鹿か猿か判断出来ない。この晩 いびきについて 新発見?新認識?をした。
 30名が寝ているとは思えないほど とても静かであったり、一人がいびきをかき始めると大半が 大いびきで合唱する。申し合わせたようにこれが何度かくり返される。
 5月28日
  山小屋の朝は早い。外に出ると 剣山の左の方が明るくなり始めている。名頃の灯も少し見える。
上空は青く黄砂は無い。最終日に好天のプレゼントがありそうである。時間に余裕があるのでしっかり 楽しもう。
 地図 三嶺から天狗塚
 5時には明るくなった。朝食には食べ易い雑炊をつくり ユックリ食べ出発。
6時15分再度 三嶺山頂に立つ。素晴らしく晴れわたり、はるか西には 石鎚山・瓶が森・笹が峰などが見える。
 三嶺頂上、遠くに石鎚山など
 何時までも見ていたいが 今日は下山の日 先に進もう。
右側には雲海の上に矢筈山・烏帽子山の山並みが見える。
前方は西熊山、天狗塚。これだけの好天気の下 展望のいいコースを歩ける巡り合わせを 感謝、感謝である。
 西熊山へ
 7時には西熊山との鞍部大タオにさしかかる。空は青く笹原は優しくいい場所だ。
 大タオからの登り
 30分かけて 西熊山に登る。ここも四方の展望が良い。地蔵の頭といざり峠の間に天狗塚が頭を出している。
その手前づっと左下には昨秋泊まったお亀のヒュッテが見える。とてもいい小屋だったので しばし思い出話が続く。 お亀の岩への下りで後ろを振り返ると、樹木の若葉が色とりどりで紅葉と見間違う。秋には色彩豊かできれいなところであった。 お亀の岩8時半 2回目?の朝食とする。GとAは「こっちの水はあまいよ」の水場に新鮮な水を汲みに行く。未知の下山路には水場が無さそうなので やや多目の水をザックにいれる。
 ここからきれいな笹原を過ぎ、林を登り 地蔵の頭越えに到達。後ろを振り返ると 剣山、次郎笈、 三嶺、西熊山のスター達が一望である。
 地蔵の頭越えから振り返る
 緩やかに笹原を登れば いざり峠である。峠と名前がついているがなだらかな台地である。
久保別れには右に西山と標示してある。西山林道方面と言うことらしい。
 天狗塚の秀麗な三角錘のピークを見ると(前回登ったが又) 登りたくなる。ザックをここに置いて往復する。Iさんは膝に痛みがでて 残念ながらここで待機。
 空荷のせいか短時間で天狗塚に到着。
 天狗塚へ
 なだらかな牛の背の向こうに石鎚山がより近くに見える。しばらくはこの景色からお別れと思うと立ち去り難い。
 振り返るといざり峠にIさんの姿が見える。現実に戻り急いで引き返す。いざり峠からいよいよ下山である。
 10時55分に三嶺・剣山・次郎笈にお別れである。
素晴らしい山々、又 来ます。その時も機嫌よく迎えてください。
記: 斉藤
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