四国・三嶺

2006年10月24日〜26日

斉藤 他4名

 前々から行きたかった三嶺へ高知県側から登った。 南国ICを降り、光石登山口へは
結構時間が掛かる。おまけに小雨まで降り始め、登山口周辺はテン場も水も無い。仕方なく歩き、八丁ヒュッテまで行くことにする。作りおいたオデンが重いが 明るい内に到着したくて頑張る。ヒュッテは小さく見えたが奥が広く、30人位は泊まれる。今夜は我ら5人で貸切であると思ったが 「2階ロフトに何か動いている。」「タオルの下で何か判らん」「蛇かネズミか」「火挟みが有るからそれで捕らえたら・・」恐る恐る掴んで小屋の外へ。タオルをはぐると???「可愛い!」ヤマネである。(冬眠場所に選んだのか、)起こされて きょろきょろ辺りを見ていたがゆっくりと林に入って行った。

「ヤマネ君」

さて オデンを温め直し、別メニューのカラスミ他台湾土産の珍味で酒宴である
 翌日は6時半出発。小屋前の分岐から 緩やかに下降しフスベヨリ谷へ向かう。谷には太い木を使った吊り橋などがあり良い雰囲気である。道は谷沿いに登ったり下ったりしながら奥へ続く。周辺の木々は紅葉が始まっている。流れは清く大小の岩の間を静かに滑り落ちている。時々 鹿のなき声が聞こえる。

「フスベヨリ谷を何度か渡渉」

 ブナ等の倒木が多い。ルート上の倒木を跨ごうとするときれいなキノコがある。辺りを見ると、たくさん有る。大きいものは15cmもある。毒きのこのツキヨタケと区別するため傘から柄まで縦に裂いてみる。きれいな白色で黒褐色のしみは無い。表面の皮もするりと剥ぎ取れる。立派なムキタケである。今晩のスープの具に適量採取させていただく。次の人へも幸せになれる程残しておく。
 「盗人岩」を過ぎると川原が広くなる。右岸の段丘はきれいな林である。紅葉やマユミの桃色の実もある。

「河川段丘」

ところが右に大きく曲がり「さおりが原分岐」あたりから、谷は荒れ果てている。分岐の標識も流されたのか見当たらない。幅広く直線的で見通しのきく荒れ谷の途中で休憩をしていると、一人の登山者が上がってきた。「これほど酷いとは思っていなかった。昔のあの いい雰囲気の谷は無くなった。2年前の台風で大崩落した。谷の幅は4〜5倍に広がった」と言っている。
 荒れ谷を直上し 樹林帯に入る。苔むした良い所だ。紅葉した樹木越に周辺の山々が見える。南国なのにダケカンバがあり黄葉している。負けじとドウダンツツジの紅葉が盛りである。

「沢を抜ける」

 左に「青ザレ」を見る辺りは 道が細く段差もあり慎重に通過する。 右上の大きな岩にびっしりと岩茸がついている。「採る」と言うと「危ない」「時間がない」「あれは食べるまでシゴが大変」と猛反対を受け、断念。

「稜線から霧が降りる」

 水の無くなった浅い沢をジグザグに登ると、稜線にでた。コメツツジの紅葉の最盛期は過ぎていたが、笹の中のポイントになっている。
 三嶺の頂上(1893m)に達したが、霧に覆われ視界不良。
 
 しばらく待ったが好転しないので 西熊山に進む。笹(ミヤマクマザサ)は丈が低く展望を妨げないどころか 原はとてもきれいである。

「西熊山に進む」

 途中 後ろを振り返ると、三嶺の頂上あたりの霧は流され青空も見える。残念もう少し待つべきだったか。南には太平洋を進む大型タンカーも見える。
 西熊山に近づくと一旦下る。ここが大タオか。 笹がきれいで広々していて全く苦にならない。少しの急坂の後 道は稜線から右にそれながらトラバース気味に登っていく。この右下も広大な笹原が続きどうしても目線はそちらに向く。おっと足元も要注意。このトラバースは意外に長い。

「三嶺を背に。西熊山頂上は近い」

やっと稜線に戻るとすぐに西熊山頂上(1816m)だ。
 ここからの展望は申し分なく、初めての山域なのに主なる山々の同定ができる。近くには天狗塚や、眼下には今日の目的地であるオカメ岩ヒュッテも見える。
 ここで昼食後 稜線の右を巻き気味に下りオカメ岩のコルに降り立つ。ここの水場の案内が面白いのでクスリと笑う。ヒュッテに主ザックを置きサブザックで天狗塚へ向かう。
 結構な急坂と細い道を越すと 笹原とコメツツジの散歩道となる。目の前の天狗塚はカッコ良く「早く登って来い」と招いている。

「天狗塚」

足取りも軽くどんどん登りついた先は(1812m)、これ又 大展望と眼下の錦織り成す紅葉の美しさに大満足。特に綱附森への尾根が見事で、この先はどっしりした笹の頂上(1643m)へ続いている。
 天狗塚から四方の笹原を見下ろすと沢山の線(踏み跡)が有り、意味不明?。「ここにもナスカの地上絵?」との意見もあったが「鹿の道じゃろう」に納得。
 いつまでも居たいがヒュッテに戻り、水を汲み夕食の仕度にかかる。ヒュッテの前からのカンカケ谷も紅葉で美しい。
 今夜の楽しみは フスベヨリ谷で採ったムキタケである。ワンタンスープに入れることにする。でも5人中2人は明日まで様子見をすると言っている。
 貴重なアルコールと昨日とは別の台湾の珍味でイッパイやりながら、夕食作りに参加。
全てが出来上がり 先ずはムキタケ入りワンタンスープから「いただきまーす」・・「うまい」スープを程よく取り込んだムキタケは食感も良く、いくらでも食べられる。3人で「おいしい、おいしい」と食べるが 警戒心の強い2人は、無言で普通のスープを啜っている。

「ムキタケ入りワンタンスープ」

 昼間の山歩きと夕食に満足し、しかも今晩も貸切りのヒュッテで足を伸ばして熟睡。
夜間 トイレに行くためドアを開けてビックリ。空は満天の星で、天の川も見える。こんなに近くはっきり星を見るのは、何十年ぶりだろうか。しばし見上げる。
 朝5時半頃 部屋に薄明かりが差し込み始めた。夜明けは近い。朝日を見るため起きたが、モルゲンロートは長く続き、目の前の白髪山の左の肩から朝日が矢のようにヒュッテに届いたのは6時25分。あっとゆう間に旭日はあがった。
 このヒュッテは 素晴らしいロケーションにあることを感心しながら朝食をとる。
 昨夜 ムキタケを口にしなかった2名を含めて全員でムキタケ入りの味噌汁を賞味する。
 下山は東から南へ急坂が始まる。紅葉に見とれると足元がおかえる。小さな枝沢が数本合流する所まで下ると、傾斜は緩くなる。植生もかわり素晴らしい林である。
 流れに沿って緩やかに下るとカンカケ谷本流に出る。赤テープを探し右岸側に渡渉する。ふみ跡は川床から離れ、高巻くようになる。このトラバース道は細く崩れ易いので要注意だ。眼下の清流や魚影、見事な植生を見る時は歩みを止めよう。
 沢登りの対象になるか、考えながら進んでいると沢音から離れ 枝尾根を廻り込む。ワサビ田跡を過ぎ、植林帯に入る。間伐された杉が放置されている景色は、見覚えがあり八丁ヒュッテが近い。いきなりこのヒュッテの横に出る。あのヤマネ君はどうしているかな。
 ここからの道は広くなったが結構高低差がある。初日は歩くのに一生懸命で廻りが見えていなかったことに気が付く。紅葉もあり谷もきれいだ(フスベヨリ谷とカンカケ谷の合流点から下流を西熊渓谷というらしい。機会あれば沢身を登ってみたい。)堂床キャンプ場の下流左岸には人字草がたくさん咲いている。

 10時半 光石駐車場到着。素晴らしい景色と植生に出会えた山行を終えた。

                 記  斉藤

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