平成16年2月3日 十方山系坂根谷左俣  M、F(会外)

 西中国山地の雪山は尾根歩きが主体でワカンラッセルである。毎年同じようなスタイルでのラッセル山行が続き、何かもっと可能性があればこの山域もまだまだ楽しめるのでは、と思っていた。西中国山地の冬期バリエーションの模索をし、坂根谷左俣は雪がつまればいいルートになると思っていた。1月下旬の大雪で期待ができる。

 天気は曇りで雪もちらつく。吉和村から戸河内の谷筋はまだ多量の雪。林道を少し進み、大堰堤の1つ下流の堰堤から入る。右段に積もった雪、アイゼンを装着する。今日はピッケルとバイルのダブルアックス。谷の中も雪が詰まって露岩が少ない。二俣の奥の岩壁が大きくうつる。雪はついていない。『これはあたり・・・・。』沢登りとしては右俣のほうが比較にならないほど困難で面白いが、積雪期は左俣も興味深いルートとなる。

 左俣へ入るといきなりデブリ。特に左岸は30〜50mの黒い側壁からの雪がほとんど谷を埋めている。右岸からも木のない個所から一気に落ちたと思われるデブリが何箇所もある。F1まではゴーロ、ガリー状であり、滝は無いのだが、割と傾斜はきつい。アイゼンとダブルアックスが効果的である。谷は進むにつれV字形状となる。デブリの上は堅く歩きやすいが、他は軟雪ばかり。F1は滑で露出していた。ここからV字側壁にはまだ雪がついており、進むラインに気を使い、できる限り雪が少なく雪崩なさそうなところを通過する。

 F2からF4は雪で埋まっていた。F5は姿が見える。『このまま谷筋を進むのは危険だ・・・』左岸側の小尾根を30分かかって這い上がる。四つんばいのラッセルが続く。尾根ははっきりとした急なやせ尾根で奥三ツ倉のピークに達している。ずぼずぼのラッセルだが、谷を抜けたので雪崩の心配は無いが、とにかく深い。やっとピークに出るが、視界が悪い。コンパスで十方山へ進む。広い稜線はクラストして快適に歩ける。やっと十方山頂上へ。取りつきから6時間かかった。早く安全圏へ行きたい。遭難碑から樹林帯へ入ってやっとほっとする。

 冬のバリエーションとして坂根谷は十分すぎるほどのルートである。雪の状態によっては大変危険でもある。デブリは20箇所以上あった。

記:M

 

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